BLUE ENCOUNTの「クインテット」、ダイソン並の吸引力だった件
BLUE ENCOUNTの「クインテット」を好きでよく聴いているので、なぜ好きなのか?という話をしたい。
あまりにも爽快で気持ちの良いギターロック
聴いていて最初に感じたのは、BLUE ENCOUNTの音としての気持ちよさ。
BLUE ENCOUNTのロックのジャンル性としてのルーツが、この音の中に落とし込まれているような気持ちの良いギターロックなのが良い。
その上で、BLUE ENCOUNTは激しいけど、細かいフレーズやリズム展開も見受けられる。
結果、同じようなジャンル性の先人のバンド的なかっこよさ(BLUE ENCOUNTのルーツ性)をしっかり感じさせつつ、その上でBLUE ENCOUNTらしいロックを体感できる楽曲になっている印象。
ベース、ギター、ドラムというシンプルな楽器の組み合わせであり、「発明」のような楽器の使い方が飛び出てくるわけではない。
でも、ここでこういうギターのフレーズを、こういう形で入れるんだ!とか、ベースとドラムがこういう絡み方をして、テンポを落としつつも疾走感のあるグルーヴを作るんだ!みたいな刺激が多々あるのだ。
田邊駿一のボーカルの裏で、ゴリゴリにギターがフレーズを弾いているのも印象的だし、メロからサビへ移行する瞬間のギターの「がちゃがちゃ」という音の流れも良い。
江口雄也の間奏
そして、1番のサビが終わると、しっかりギターソロを展開するのも良い。
しかも、ギターのエフェクトの掛け方が良くて、「クインテット」って全体としてはゴリっとした質感があるんだけど、ここのギターソロはそのゴリっとの中に埋め込ませず、音色の相違で違う展開を作っているのが良い。
近年のバンド音楽は、バンドではなく、歌だけにスポットを当てることも多く、バンドとしての掛け合いを堪能できない楽曲も多い中で、こういう形で音の世界に引き込む展開なのがぐっとくる。
しかも、同じロックジャンルでもサウンドとしての様式美があまりないジャンルで勝負しているBLUE ENCOUNTだからこその魅せ方なのが良い。
アプローチ的な細かさがありつつも、音の空間を自由に行き来するような心地。
BLUE ENCOUNTとしてのサウンドの面白さが詰まっている。
田邊駿一のパワフルさがありつつも、甘さもある歌声
冒頭はサウンド軸で話をしたが、ボーカルも良い。
田邊駿一の歌声って、独特のパワフルさがある。
生命力がみなぎっていると言ってもいいかもしれない。
だからこそ、エモーショナルな歌詞が似合うし、その歌声に刺さる人も多い。
でも、サウンドがごりっとめだからこそ、田邊駿一の持つボーカルとしての甘さも際立つ印象。
故に、BLUE ENCOUNTって歌も際立っている印象を受ける。
「クインテット」においては、メロパートだと日本語歌詞を意図的に英語っぽく歌っている印象で、メロに言葉を綺麗に載せるところに力を入れている感じがするも良い。
そして、だからこそ、モードを切り替えたサビの歌唱がより響くし、メッセージがダイレクトに届く心地を覚えるのである。
四人を「ぼくら」と歌うところ
そして、歌詞が響くのだ。
一番良いなあと思ったのは「ぼくら」と歌うところ。
歌詞をみると、ここの漢字表記が「四人」になっている。
歌詞って色んな解釈をすることができるで、ここでの「四人」はBLUE ENCOUNTの4人と捉えて聴きたくなるし、だからこそ、ザ・BLUE ENCOUNTのロックという感じがする「クインテット」がぐっとくるのだ。
しかも、この歌。
この「四人」のモードで終わらせない。
最後、そこに”あなた”を入れて五重奏=クインテットにしているところ
最後に今、この歌を聴いている”あなた”を招く流れなのが、ぐっとくる。
あなたがこの歌の輪に入るからこそ、この歌は五重奏=クインテットになるという流れ。
最後のサビのフレーズは、まさしくこの歌のメッセージそのものであると感じるし、そういう歌を生命力豊かに響かせるBLUE ENCOUNTの素晴らしさを感じる。
まとめに替えて
そんな「クインテット」から始まる『Alliance of Quintetto』というアルバム。
5年ぶりのリリースらしく、そんなに日が経っていたのだとびっくりした。
アルバム全体でみると、色んなBLUE ENCOUNTの一面を見ることができるけれど、こういう成熟の仕方、良いなあと感じさせる、そんなアルバムだった。
そのことを最後に記して、この記事のまとめにかえたい。