秋山黄色の話をソノダマンと行ってみた件

秋山黄色の話が誰かとしたい。なぜそう思っているかというと、秋山黄色の音楽が好きだからだ。とはいえ、誰でもいいから話がしたいのかというと、そんなことはない。ある程度は秋山黄色の音楽を知っていて、できれば秋山黄色の自分の魅力を知っていて、秋山黄色であれば一晩語ることができるぞ、という人と話したい人がしたい。

はて・・・。

そんな人、自分の知り合いにいただろうか?

そんなことを考えていたとき、あるライブレポ職人であり、インフルエンサーであり、生粋のセトリ職人の顔が頭に浮かんだ。

ソノダマン(https://x.com/yoppeleah)だ。ということで、久しぶりにソノダマンとブログ上で対談することにした。題材は「秋山黄色」。この記事では、その一部始終を公開してみたいと思う。

秋山黄色の音楽やライブの話

ロッキン・ライフの中の人(以下ロキ中):そもそもソノダマンさんが秋山黄色を聴くきっかけって何だったんですか?

ソノダマン:スペシャでMVが出たばかりの「やさぐれカイドー」が流れたのを聴いた時ですかね。イントロを聴いた瞬間に「何だこの曲!?」って思いました。最初はちょっとNUMBER GIRLの影響を感じたりしてましたね。ロキ中さんは?

ロキ中:きっかけは忘れましたが、BUG TYPE RECORDSから作品をリリースしているときに秋山黄色を認知しましたね。その中でも、僕は「猿上がりシティーポップ」がすごく刺さりました。当時のソロアーティストはボカロっぽいアーティストが増えていたり、宅録っぽい音使いや歌い回しが多い中で、このアーティスト、ちょっとほかのソロアーティストと毛色が違うなーと感じたことを今でも覚えています。ソノダマンさんのおっしゃる、「NUMBERGIRL」の影響というのは、どの辺に感じたのでしょうか?

ソノダマン:ベースラインの重さですかね。後に本人がベースも弾いていることを知りました。

ロキ中:あ、そっか!秋山黄色ってベースも自分で弾けるんですね。

ソノダマン: 最初はベースだったって話を見たことがありますね。

ロキ中:確かにこの「生感」とか、ある種の「重さ」が秋山黄色の魅力なのは同意ですね。一方で、テレビアニメからの影響から音楽を始めた、というのは当時のアーティストのエピソードとしては珍しい印象でもありました。

ソノダマン:ロキ中さんが言うアニメって「けいおん!」ですか?自分は全然見た事がないんですよね。

ロキ中:そうですね、京都アニメーションの人気アニメで、僕はシリーズ通して観ていて好きで、今でこそ、バンドとアニメってかなり距離が近くなりましたが、当時はこういう影響元も、口にするケースはあまりなくて、新鮮だったと記憶しています。

ソノダマン:自分は全くアニメに詳しくないんですが、何かしら秋山黄色に通じる要素ってあったりするんですか?

ロキ中:それはあんまり感じないですかね…。ただ、秋山黄色の音楽を紐解くと、日本語を大切にしている感じとか、作品の中に宿るある種の物語性は、アニメをはじめとした他のエンタメを咀嚼しているからこそ、と思う場面もあります。

ソノダマン:アニメのタイアップも何曲もあるのもそうした親和性があるからこそかもしれないですね。「SKETCH」なんかめちゃくちゃヒロアカじゃないですか。

ロキ中:ヒロアカは観たんですね。

ソノダマン:ちょうどその前あたりまでかジャンプアプリで一気読みできた時期だったんで、そのままアニメも観ました。もしかして観てないんですか?

ロキ中:そうですね、シリーズの長いアニメはなかなか時間取れずに観れないもので・・・。

ソノダマン:「SKETCH」の爆豪特殊エンディング会を見てないんですね・・・。

ロキ中:観ていないですね。いずれにしても、そういう間口の広さが秋山黄色の魅力になっているのは間違いないですね!そういえば、ソノダマンさんは秋山黄色のライブもよく観ますよね?

ソノダマン:私は「Hello my shoes」リリースライブ以降、ツアーは毎回必ず1公演は行ってますね。フェスやイベントでも行ける限りは行ってます。

ロキ中:ライブのときの秋山黄色の印象ってどうですか?

ソノダマン:私はロックってある意味では衝動の音楽だと思ってるんですけど、そういう意味ではステージからその衝動=ロックをこれ以上感じさせてくれる人はいないと思ってますね。だから、セトリが同じだとしても全然その日ごとに全く違うライブになるというか。ロキ中さんのライブのイメージはどんな感じですか?

ロキ中:確かに僕もパフォーマンスはアグレッシブだなあという印象が強いです。「上手く歌う」よりも、パッションをパフォーマンスに乗せることを趣きにしている印象があるというか。そういうところに、ある種のロック性を感じますね。ソノダマンさんからみて、秋山黄色のライブのどの辺りの”衝動”を感じたのでしょうか?

ソノダマン:まさにその歌い方もそうですけど、例えばrockin’onのフェスみたいな、「ステージから降りたらダメ。物を投げたりしてもダメ」みたいなライブで、ステージ最前で寝転んでギターを客席側に放り出すようにして弾いてるんですよ。別にそれやらなくてもいいじゃないですか笑 でもやっちゃう、やらざるを得ないっていう。それって頭で考えたり準備したりしてるってよりも、その場での感覚でやってるんじゃないかと。前に「MCは実は全部台本を書いてる」って言われた時は嘘でしょ!?って思いましたけど。

ロキ中:台本の話が、本当なのだとしたら面白いですね。

ソノダマン:後、多分あんまり時間を気にしてないと思うんですよね。

ロキ中:たしかに、そんな感じがしますね。

ソノダマン:だからワンマンが終わって時計を見たら、2時間40分とか経ってるんですよ。めちゃ長いじゃないですか。でも見てる側からしたらめちゃくちゃあっという間に終わる感じがする。っていうのも、やっぱりその長い時間でずっと衝動を放出してるから、見ていて飽きないどころか、一瞬も見逃せないと思うっていうか。

ロキ中:なるほど…!確かに、歌そのものというよりパフォーマンス全体で惹き込まれるライブの場合、体感時間が早いですもんね。秋山黄色はそういうライブである、と

ソノダマン:それを確かめるために、ロキ中さんもツアーの大阪に行きますよね。私はすでにFC先行で豊洲PITを取っていますが。

ロキ中:そうですね…!これはぜひ行かねば、ですね・・・!

秋山黄色の好きな楽曲

ロキ中:ところで、ソノダマンさんは、秋山黄色の楽曲だったら何が好きですか?

ソノダマン:これがですねぇ、マジで難しいなと(笑)全然決められないなと思ってたんですけど、もう思い入れという意味も込めて

・猿上がりシティーポップ
・とうこうのはて
・スライムライフ

ですかね。3曲にまで絞るのならば。

ロキ中:なるほど…!僕も「猿上がりシティーポップ」が好きで、初めて黄色のライブを観たきっかけは、この曲が生で聴きたかったからなので、思い入れ深いですね。最近だと「蛍」も、個人的に好きですね。この3曲にしたのは、具体的な理由があるんですか?

ソノダマン:「猿上がりシティーポップ」は本当に同じような理由でもあるんですけど、いろんなところでこの曲を聞くと、「もう一度どこかで会えたらいいなって」って歌詞がよりリアルになるじゃないですか。フェスとかだったら、もう一度ここで、願わくば次はもっと大きなステージで、みたいな。それを繰り返してきたことによる思い入れが1番強い曲ですね。

ロキ中:ふむふむ。

ソノダマン:「とうこうのはて」はライブで大合唱する楽しさももちろんなんですけど、歌い出しの「今現在の残金の総額とあふるる夢の数がスレてて笑っちまう」っていうフレーズが衝撃的で。これって一言にすれば「夢はあるけど金がない」「金はないけど夢はある」ってことだと思うんですけど、それをこんなに詩的な言い回しができる秋山黄色の詩人としての才覚を改めて感じた曲ですね。

ロキ中:なるほど。

ソノダマン:「スライムライフ」は「Hello my shoes」のリリースライブの1曲目、つまりまだ全然リリース予定すらなかった「From dropout」の曲を、収録されてないミニアルバムのライブで最初にやったっていう衝撃(笑) しかもそれが「こんなにパンクな曲があるのか」って思うくらいのパンクサウンドで。当時はまだスリーピース編成でしたけど、だからこそ超ストレートなパンクで驚きました。後は歌詞も「何もいらない いらない いらない 君がいないのなら」って、ライブで聴くと我々一人一人に向けて歌ってるように聞こえる、存在を肯定してくれてるように聞こえるっていう。そういう意味で選びましたね。

ロキ中:なるほど!ソノダマンの思いが溢れ出ていて、素敵ですね。しかも、曲軸とライブ軸の話が交錯しているのがいいですね!

ソノダマン:「蛍」も好きだけど、あの曲だけはちょっと気軽に聴けないというか、「今からこの曲を聴きます」っていう感じで構えないとなかなか聴けないくらいに自分の中では重みがあるというか。

ロキ中:それはそうですね。でも、あのときの秋山黄色がどういう歌を歌うのか?は秋山黄色の音楽を好きな人なら、みんな気にしていたと思うので、そのずっしり感に自分は、改めて秋山黄色の音楽を聴いていこう、って気分になりましたね。

ソノダマン:あのタイミングで「クソフラペチーノ」みたいな曲はまず出てこないでしょうからね笑

ロキ中:それにしても、秋山黄色って「ロック」って言葉で形容されがちですが、リリースされている曲を聴くと、必ずしもそういうテイストの楽曲ばかりではないのが面白いですよね。

ソノダマン:しかも、そうしたロックというわけではないサウンドの曲とかも全てがちゃんと秋山黄色でしかないと思えるのが、やっぱり秋山黄色の凄さかなと。

ロキ中:たしかに、たしかに。

秋山黄色に質問仕立ての手紙を贈ってみた

ロキ中:ところで、2024年9月25日に秋山黄色は「Good Night Mare」というフルアルバムをリリースしましたが、もしソノダマンさんが秋山黄色に質問できるとしたら、どんな話を聞いてみたいですか…?

ソノダマン:そうですね・・・。

例えば、

・毎作アルバムにはしっかり起承転結的な流れがあるように感じますが、アルバムを作る時に曲のバランスや、こういう曲が欲しいなって考えてますか?

・他のアーティストのアルバムの中で好きな作品を5枚ほどあげるとしたら?

・今作はどんなアルバムにしようと思って作り始めましたか?

・今作を作る上でインスピレーションになったアルバムや作品などがあれば、教えてください

とかですかね・・・。

ロキ中:なるほど。ちなみに僕が訊けるとしたら、

・制作を行う際に行う毎日のルーティンワークはありますか?また、今までは特になかったけど、今回のアルバム制作では、こういうことをしていたな…というものがもしあれば教えてください。

・アルバムを完パケして振り返ったとき、特にこの楽曲は大変だった、という楽曲があれば知りたいのと、その楽曲に対する、他の楽曲とは異なる思い入れがもしあれば教えてください。

・アルバムをリリースしたあとの、「秋山黄色としての密かな企み」がもしあれば、話せる範囲で知りたいです。

とかですかね・・・

ソノダマン:自分は、たまに秋山黄色がXでスーパーリプ返タイムをやっているときにリプしたことがありますが、返信がきたことがないので、これらの質問の回答がきたら嬉しいですね。

ロキ中:そうですよね。それが今回裏ルートで、秋山黄色にこの質問手紙を送ったところ、回答が返ってきたようです。

ソノダマン:あ、そうなんですか?どんな言葉が返ってきたんですか?

──毎作アルバムにはしっかり起承転結的な流れがあるように感じますが、アルバムを作る時に曲のバランスや、こういう曲が欲しいなって考えてますか?

秋山黄色:毎アルバムおよそ10曲の内半分はシングルだったりするので、残りの5曲でコンセプトを確保してシングルに接着するイメージです。選曲会議やチームの推薦で候補があがっていきます。楽曲のストック数の問題で、どんどん消化していかないと2度と世に出ることのない作品も出てきてしまいます。かなり過去の曲が収録されたりするのはそういった理由です。気分的には7曲入りほどのEPなんか作りたいですね。

──他のアーティストのアルバムの中で好きな作品を5枚ほどあげるとしたら?

秋山黄色:あじさいタウン「エイリアンの笑い方」
ドミコ「SOO COO?」
black midi「Hellfire」
STARVINGMAN「NO STARVINGMAN」
Serph「Vent」

──今作はどんなアルバムにしようと思って作り始めましたか?

秋山黄色:昨今は自分のような人間ですら他者のために曲を書かざるを得ないような。社会の状況でしたが、少し自分本来の研究に戻ろうという意識がありました。はじめの仮タイトルは「I’M IN THE DARK」でした。

──今作を作る上でインスピレーションになったアルバムや作品などがあれば、教えてください

秋山黄色:養老 孟司「死の壁」
中島 義道「生きにくい」
立花 隆「臨死体験」
アルボムッレ・スマナサーラ「無我の見方」

──制作を行う際に行う毎日のルーティンワークはありますか?また、今までは特になかったけど、今回のアルバム制作では、こういうことをしていたな…というものがもしあれば教えてください。

秋山黄色:モチベーションの確認、コントロールを行います。精神的に疲れがなく、やる気に満ちていると作業が進みやすいですが、どん詰まりのような心持ちでいると進みが遅くジリ貧な時間がもったいないので、精神的なニュートラルが取れていないのならそうなるように何か他のことをします。生活面では、僕は人としての感性がまるっきりないので、極力目に入ったものなどを言語化するようにしています。

──アルバムを完パケして振り返ったとき、特にこの楽曲は大変だった、という楽曲があれば知りたいのと、その楽曲に対する、他の楽曲とは異なる思い入れがもしあれば教えてください。

秋山黄色:ロンリーココアはアレンジをたくさんやり直したので大変だった気がします。生まれてよかったと思うことのギターも特殊な録り方をしたので、かなり疲労しました。今まで楽曲への個人的な思い入れは話さないようにしてきたので話せることはないかもしれません・・・

──アルバムをリリースしたあとの、「秋山黄色としての密かな企み」がもしあれば、話せる範囲で知りたいです。

秋山黄色:制作の仕方も、その出し方も少し変えようと思っています。個人的な気持ちにも大分整理がついたので、活動は大きく変化すると思います。今は話せることはあまりないですが、いつか話せるときが来たらお話ししたいと思います。

 

 

ソノダマン:何回かリプしても返信来たことがなかったので、(まさかこういう形で)質問の返事きて嬉しいですね。

ロキ中:確かにスーパーリプ返タイム、すごい倍率ですもんね。ソノダマンさんも参加しているとは。

ソノダマン:(ちなみに今は)その時に聞けないことを今聞いてます!今でもあれを続けてることはめちゃ凄いと思います。

ロキ中:確かに相当の量ですもんね

ソノダマン:だからなかなか返ってこないんですよね・・・!

まとめに替えて

そんなこんなで、以降も夜が更けるまで秋山黄色の談話は続いたのだが、あまりにもとりとめもないので、今回はこの辺で割愛とさせていただく。秋山黄色を好きという気持ちがあって、その言葉が願いとなって届いたような今回の記事。この言葉を受けて、アルバムを聴くと、味わいが変わっていたりする次第。ところで、今回の対談では言葉にできていないが、アルバムの感想を含めた続きの話は、ソノダマンのブログにて続く・・・・・・

かも。

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