Travis Japanの「JUST DANCE!」「Moving Pieces」「Candy Kiss」の話
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作品としては聴いていても、なかなかブログには取り上げられていないアーティストは、たくさんいる。なぜ、取り上げていないかといえば、単純に自分がそこに時間を避けていなかったから、の一言に集約される。
Travis Japanもまた、そんなアーティストの一組になっていた。
ただ、Travis Japanのリリースする曲が毎度、ぐっとくるものであったこと、音楽の日で他事務所のボーイズグループとタッグを組んだパフォーマンスが素晴らしかったことを受けて、これはそろそろ何かしらの形で記事にせねば、と思い、こうしてパソコンをカタカタしている自分がいる。
ところで、Travis Japanは2022年10月にメジャーデビューを行ったアーティストなのだが、Travis Japanが他のアーティストと大きく違っている部分が一点ある。
それは、デビューの際の方向性。
というのも、Travis Japanは国内のみに活動を留めるのではなく、世界を視野に入れた方法でデビューを果たしたのだ。
具体的には、アメリカの名門レーベルであるキャピトル・レコードとも契約することで、世界同時に配信するという形でデビューを行ったのである。
ジャニーズ事務所所属、という肩書きを持っていながら「世界」「配信でのデビュー」という、これまでにはない方向性でもって、このキャリアをスタートさせたことになるわけだ。
この記事では、そんなTravis Japanの話をしてみたいと思う。
Travis Japanの話
率直に言うと、Travis Japanのデビュー曲である「JUST DANCE!」は、世界規模で活動する意欲を感じさせる、音色とメロディー構成の楽曲であると感じた。
日本のポップスが好きな人だけではなく、もっとたくさんの人に自分たちの音楽を届けよう、という意識をもっているように、節々から感じたわけだ。
K-POPが世界を席巻している、という背景を踏まえながら、自分たちの音楽を刷新している部分はあるのかなーと感じる。
実際、K-POPの躍進が世界基準のダンスミュージックの音像は大きく変えた。もちろん、K-POP自体は意図的にアメリカのポップスの構成を参照しながら、「世界の様々な人たちに刺さるポップスを生み出した」という背景があるわけだが、BTSなどのアーティストが世界に進出することで、今流行りのワールドワイドなダンスミュージックってこういうものだよね、の”こういうもの”の色合いが変わったことは確かだ。
で、Travis Japanの音楽は、ワールドワイドなポップスになっている”こういうもの”を参照しながら、よりたくさんの人に目配せしながら楽曲構成している印象を受けたわけだ。
これは音像や楽曲のトーンに表れているように思う。
「JUST DANCE!」を聴くと、全体的にカラフルで華やかな雰囲気を感じさせる。
そのカラフルな感じが、いわゆるJ-POPのそれとは少し異なる空気感を出しているように思うわけだ。
また、「JUST DANCE!」はリズムのフリが強く効いているので、直感的に音楽のビートに乗ることができる楽曲になっているようにも思う。
言葉そのものを届ける以上に、リズム的な音楽的なものを直感的に楽しむことできるビートメイクになっている印象を受けたわけだ。
また、この歌はまくしたてるようにメロディーを積み上げるのではなく、少しゆとりを持ったスピード感でもって楽曲が進行していく。
なので、丁寧にリズムにのって音楽を楽しむことができる。
まさに、タイトルにあるように、JUST DANCE!な楽しみ方ができる音楽になっている。
2回目のサビが終わると、ラップのパートに入る流れもあるが、ここでもテンポをぐっとあげることはせず、丁寧にリズムを追いながら音楽に戯れることができる構成になっている。
そして、こういうテンポで楽曲が進むからこそ、ボーカルとリズムの絡み合いが歌の中の魅力にもなっているわけだが、Travis Japanのボーカル構成や歌割りが秀逸なので、ここが効果的に響くことになる。
サビも後半になると、掛け声のような合いの手のようなボーカルが挿入されるパートも出てくるが、そういうタイミングでも各々のボーカルの独立のさせ方が見事で、心地よいリズムにのったまま最後まで楽曲を楽しむことができるのだ。
こういう部分に、「JUST DANCE!」のワールドワイドなポップスみを覚える自分がいる。
ただし、「JUST DANCE!」を聴くと、単に自分たちはK-POPの真似事をしました、という空気感を感じることもない。
どちらかといえば、良い音楽は良い音楽として学んで楽曲の中に落とし込んではいるが、その「良い音楽」ってもっと広い枠組みとして捉えている印象を受けたので、全体の装いとしてJ-POPをワールドワイドな音楽に仕立てました・・・という雰囲気が強い印象を受けた。
結果、それってTravis Japanだからこそのポップスになっているように思う。
Travis Japanのポップス
「Moving Pieces」や「Candy Kiss」でも、そういう根本は同じなのかなーと思う。
確かにJ-POPというシーンでみたとき、独特なく洒脱というか、他のポップスとは違うトーンで楽曲を構築している印象は受けた。
でも、極端に「何かに寄せている」というのではなく、Travis Japanが目指すものを極めて行った結果、他とは違うテイスト・色合いのダンスミュージックになっただけ、という感覚を覚えるのである。
実際、「JUST DANCE!」と比較すると、「Moving Pieces」や「Candy Kiss」はTravis Japanが次のフェーズに進んでいる心地を感じさせてくれる。
というのも、「JUST DANCE!」は初々しさとか、フレッシュさをどことなく楽曲に忍ばせていたような心地を覚えた印象だった。
のだが、「Moving Pieces」と「Candy Kiss」とリリースが新しい楽曲になっていくにつれて、よりスタイリッシュになっていくし、ボーカルの表情や温度感にも成熟したものを感じるのだ。
「JUST DANCE!」はフレッシュ度合い70%、スタイリッシュ度合いが30%の楽曲なのだとしたら、「Candy Kiss」はフレッシュ度合い30%、スタイリッシュ度合いが70%の質感になっていた・・・とでも言えばいいだろうか。
「Candy Kiss」なんかは大人びたアレンジを行なっているということも大きいのだろうが、Travis Japanがアーティストとしてどんどん洗練されていくからこそ、な部分も大きいのだろうなと思った。
実際、音楽の日のパフォーマンスをみたときに感じたが、Travis Japanのパフォーマンスのポテンシャルの高さを実感する瞬間が多かったし、洗練されていくスピード感が速いのも、Travis Japanの魅力のひとつなのかなーと思うし、そういうアーティストとしての力を感じさせるからこそ、Travis Japanは「世界」を視野に入れた音楽を生み出す説得力があるのかなーとも思ったりするのである。
まとめに替えて
要は、これからTravis Japanの活動、楽しみだな、というのがこの記事の結論になる。
おそらくここからリリースもコンスタントに行うのかなと思うので、つど、Travis Japanがどのように進化するのか注目しながら、今後の楽曲を聴いていきたいなと感じている、そんな今。
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