3月。
それは出会いと別れのシーズン。
人によってはこの春から新天地でご活躍されるという人もいることだろう。
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で、今大学3回生の人だったりすると、この春からの悩みのタネとなるのが就職活動だと思う。
というわけで、今回は就職活動に絡めたお話をひとつしてみたい。
どうしたら就活が上手くいくのか。
身も蓋もないことを言えば、就職活動を成功させる一番の近道は、ちゃんとした大人に「就活の正しいやり方」を教わった上で、しっかりと企業研究と自己分析を行い、面接では統一した自分のイメージを与えるように誠実な態度で面接を行う、これに尽きると思う。
それっぽいライフハックなんかを読むと「これからは個人の時代だ」なんて平気な顔で書いてるし「今ある労働のほとんどはAIに奪われてしまうよ、これからも残る仕事はクリエイティブな仕事だけである」みたいなことが書いてる。
が、あれは罠だ。
いや、もちろんそういう面もあるとは思うけれど、その風に安易になびいて計画性も能力もないままアウトローな道を走れば、よりエグい未来が待ち受けることになる。
ウィキペディアの延長のような知識しかない脳みそで「これからはクリエイティブである!」なんてお題目を掲げて突進していたら、わりと途中で路頭に迷うことになるだろう。
余計なことは言わないから、特に大きな野望がないのであれば、新卒という肩書きがあるうちは「王道ルート」を突き進むべきである。
とまあ、そんな偉そうなことを言いつつも。
王道ルートと言えども、学歴も能力もない「普通」のままでは「ホワイトな会社」に入るのもまた難しいわけで。
そこで、今回は日本にいる名だたるバンドを参考にしながら、こういう作戦で就活に挑むのはどうでしょうか?という見取り図を提示してみたいと思う。
1.マンウィズの事例
このブログでは何度も書いているが、彼らは宇宙人でもなければ、狼でもない。
狼のフリをしたおっさんである。
そんなおっさんの彼ら。前身バンドは長い間、鳴かず飛ばずだった彼らも、マンウィズとなった今では売れっ子バンドの仲間入りとなった。
彼らが売れるためにしたことは、ふたつ。
架空の設定を作り、狼の被り物を被ったことだ。
この事例でわかるのは二つ。
売れるには見た目がとても大事であるということと、ありのままの状態ではなく、市場に合わせて自分を改変することもまた大事だということである。
就活している学生がなかなか上手くいかない場合、根本的に見た目に難がある場合がある。
それは顔が整っているとかそういう話ではなく(まあ、ぶっちゃけそういう側面も多いにあるんだけど)、自分をちゃんと良いように見せられていない、という話。
履歴書の写真とか、着ていくスーツとか、礼儀作法とか、そういう見てくれの部分でまず判断されるのが就活市場だ(面接官は基本的にその人が何ができるかなんて求めていないのだからなおのことそうなる)
だから、どんな見た目なら相手に好かれるのかを考え、その姿に寄せていく発想はすごく大事となる。
さらに、マンウィズのように自分のキャラ設定をして、自分がどういう奴なのかを説明できる奴は就活で強い。
人事は、なぜこいつを面接に通したのかという理由が説明できる奴を基本的に通す。上司から詰められて、面接を通したことに対する答えに窮するような奴は基本落とす。
そういう線引きをするうえで大きいのは、その人のキャラクターが説明ができる、ということだ。
だから、自己分析が面接のうえでは大きな要素になる。
ここで大事なのは自分が何をできるのか、という説明をするというより、自分のキャラクターをしっかり相手に提示することで、この人はきっとこういう人に違いない、と相手に納得させることなのである。
つまり、見た目の整備(履歴書の写真も含め)とキャラ設定(面接でアピールするポイントの統一)をすれば、面接に通りやすい就活ができるというわけだ。
2.ブルエンやKEYTALKの事例
ブルエンは売れるたびにどんどんと明るくなった。
ライブのやり方もそうだし、アー写でもそうだ。
昔の彼らのライブは、全然MCもしないで、無愛想に荒々しく、少し暗い感じのするライブをやるバンドだったけれど、心のままにエモいMCをしたりして「明るく振る舞う」ことを努めたことで、彼らは売れるようになっていった。
アー写も昔は暗いものが多かったが、「もっと光を」と歌い続けていきつつ、アー写も少しずつ明るくさせていくことで、彼らは売れていった。
ブルエンにおける「明るく」のあり方はともかく、就活市場だと「明るい」ことはそれだけで強さとなる。
KEYTALKだって、昔は陰キャラ感があったけれど、パリピっぽいキャラに寄せることで売れていった。
バンドであれ面接であれ、対人という意味では同じであり、やはり、明るいキャラクターの方が一緒に働きたいと思う人は多い。
好きなバンドがどのようであれば、自分はそのバンドを好きでいれるのかを考えれば、面接において自分が面接官の前でどのように振る舞えばいいのか、ということのひとつのヒントになる可能性は高い。
あと、売れてるバンドはほぼ例外なく「人当たりが良い」。
そういう要素があるから、このバンドをブッキングしたいと思われるのだろうし、なんとか売れさせたいと周りから思われたりもするのだろうし。
売れてるバンドから見習うことはわりと多いのだ。
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3.ちゃんと哲学を持つ
全員、能力なんて皆無に等しい新卒採用面接において、重要なことのひとつ。
それは面接で統一したイメージを見せて、こいつはたぶんこんなタイプの奴だと思わせること。
その統一したイメージが企業の求めるイメージなら、なおのこと間違いない。
この「キャラクターが見える」という話、これをバンドに戻していくと、やってる音楽とその人のキャラクターだけに留まらず、メディアの関わり方とか、Twitterの使い方とか、ライブのキャパとかに対する考えとかまで含め、一貫した哲学があれば、なおのことかっこよくみえがちである。
ヤバTが「自分たちは武道館でやるくらいならライブハウスで10回ライブがしたい。だから、武道館とか大きいところにはこだわらない」みたいな話をしたのもそのひとつだし、ユニゾンは「ロックバンドは良い曲を出して色んな街にふらっと訪れてライブやっての繰り返しだし、それがロックバンドである自分たちのやるべきことである」みたいな話もそういうことである。
そのバンドの哲学が見えると、カッコよく見える。
「見える化」はバンドでも就活でも大事ということ。
逆に、前はあんなことを言ってたのに、今回はそんなこと言ってるし、なんだか軸がブレブレだな〜、このバンドって売れたらそれでいいんだ、って思われてしまったらまずい。もちろん、面接の受け答えでもそれは同じこと。
結論、面接もバンドも一緒。
4.就活市場とフェスは似ている
就活戦線とロックフェスというのは実は似ているところもあったりする。
今の邦ロックシーンにおいて、売れていくうえにおいて、フェスに出ること、そこで人気者になることはすごく大きなウエイトを占める。
そして、フェスというのが今のバンドシーンを眺める上でのカタログ的な立ち位置になっており、実際ロッキンなんかステージ割をみると、でかいステージのバンド=人気のバンドという縮図が出来上がりがちだったりするし、フェスに全然出ないバンド=そのシーンにいないバンドという映り方になりがちなので、バンド側はフェスというものとどう対峙していくか、ということがすごく大事になってきている。
けれど、フェスにはフェスのニーズがあるし、フェスごとのニーズも違う。
例えば、しっとり聴かせる系のバンドがラウド系のバンドだらけのフェスに出たらアウェーになるし人気も勝ち取りづらい。
ならば、そのフェスに出ることを目指すより(仮にそのフェスがどれだけ人気だとしても)は、しっとり系の人たちが注目しているフェスに出る方が上手くいきやすいだろうし、ブッキングもされやすいだろう。
自分はどういうことができるのか?=自己分析と、自分ができることとやりたいことができるところはどこなのか?=企業分析ができれば、マッチングはしっかりできる。
そう。就活もフェスも同じということ。
もちろん、行きたい企業があれば、そこに合わせることも必要だけど、そこの帳尻をどう合わせるのかを考えていくことはとても大事だ。
あと、ひとつ。
フェスシーンにおいて需要の少ないような音楽をやってるようなバンドなら、フェスに出ることばかりを考えること自体、あまり賢くない。
フェスからあえて距離を置いて、違う戦い方をする、という考えもアリというわけだ。
とにかく音楽をばらまくでもいいし、無料でワンマンライブに来てもらうでもいいし、とにかく良い音楽を作ることに徹するでもいいけれど、フェスがシーンにおいて重要なフェイトを占めることはわかっていても、あえてフェスをスルーすることで、自分の強みを生かしたままに邁進する、という考えはある。
これは就活でも同じで、やっぱり就活は構造上、ある程度学歴のある奴が有利だし、顔が良くないとできない仕事もたくさんある。
そういうときこそ、違うアプローチで就活してみる、という考えもある。
それはネットを使って裏技まがいにその会社の偉い人にコンタクトをとるというのも手だろうし、バイトとしてその会社に潜り込む作戦だってあるかもしれない。
ここには書けないような「王道とは違う作戦」で自分という商品に価値を生じさせ、その価値を企業に見せつけて「自分を採用することはこんなにも得なんですよ」ってことを企業に提示できたら、学歴的には足切りになるけれども採用してもらえる、という可能性だってあるかもしれない。
いま、売れてるバンドだって、最初はSNSやネットサービスを使って、裏技的に目立ちことを選びつつ、ライブもしっかりしながら力をつけることで、息を長くしてシーンに影響を与えているバンドだっている。
フェスとかリクナビ経由の面接申し込みには拘らず、あえてそこから距離をとって別の作戦を展開する、という方法だってあるという話。
バンドやフェスシーンからでも就活で学ぶことはあるということだ。
それこそ、趣味は夏フェスに行くことです、って面接で喋ったあとに、こうすればよりフェスをよりよくできると思うんですよ〜みたいな話を面接でできたら、うわあやばい奴がきた、と思ってもらえるかもしれないしね。(いや、知らんけどね)
学校と違って、正解なんてなくなってしまうのが社会人になることの大変さであり、面白いところでもある、という話。
まあ、これを読んだところで就活が上手くいくかは知らんけどね。まあ、就活生は頑張って、ということで。
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