なきごとの「たぶん、愛」、なんかもうてんこ盛り感

いやね、これはもう、フルコースですよ。フルコース。

って言いたくなるくらいに、俺的なきごとの楽曲好きポイントが詰まっているなーと感じたのが、「たぶん、愛」という楽曲。

世には代表曲を収録したベストアルバムという作品がある。ヒットソングだらけのベストアルバムだと、充実度も満載で満足度も高いと思う。

「たぶん、愛」は実態としてはひとつの楽曲だけど、充実度はベストアルバムのそれ。

アミューズもオードブルもスープもお魚料理もお肉料理もあるようなボリューム。

それが、「たぶん、愛」。

いやね、作り手からすると、どういう想いを入れているのかはわからないけれど、なきごとの楽曲をそれなりに聴いてきた自分としては、そういう感触があった。

歌をしっかり聴いたうえで、つくづく愛って結局どういうものかわかりそうでよくわからない部分もあるけれど、そういう大きなテーマである”愛”と向き合ううえで、相応しい充実度を「たぶん、愛」から感じた次第。

御託はいいから、何がそんなに充実しているというのか。

そういう指摘もあるだろうから、「たぶん、愛」の何がそんなにフルコースなのか、自分なりの感想として、直入かつかいつまんで、端的に言葉にしていきたい。

岡田安未の渾身のギターイントロ

なきごとの音楽を聴くうえでの絶対的な楽しみは、まずこれ。

イントロのギターのフレーズ、今回はどんな感じなのだろうか?というワクワク。

うぬぬ、と言わんばかりの音使いのギターで幕開ける「たぶん、愛」のイントロ、マジでいいのだ。

鍵盤が鳴っていて、ベースも躍動している。

でも、最初の10秒ちょっとの主役は、わて。

そんな音圧とボリューム調整で展開される、ギターのサウンドがたまらない。

しかも、イントロのギターは他のサウンドに溶け合うというよりは、ちょっと違うトゲを放っている感じなのが良い。

水上えみりらしいフレーズの玉手箱

で、イントロが終わるとボーカルが合流するわけだけど、フレーズのひとつひとつが良いのだ。

「分身」というはめ込み方が個人的に好き。

「たぶん、愛」ってワードとしては、そんなに難解だったり、物珍しいチョイスはしていない。

でも誤字の使い方とか、「たぶん」の差し込み方とかが、なきごと節感がある。

断定するところと、断定しないところのバランスが絶妙というか。

「愛」が軸のフレーズ作りだけど、他のアーティストでは聴いたことがないメッセージにたどり着いている感があって、その辺りも良い。

脱力とパワフルのバランス感のあるボーカル

ということもあって、ボーカルの温度感も絶妙。

凛としているというか、ツンとしているという場面もある。

でも、必要以上に力をいれず、ナチュラルな装いでメロディーを紡ぐ装いもある。

だから、「くしゃくしゃ」みたいなワードがすっと胸に入る感じ。

この温度感もぐっときたポイントだったりする。

あと、ラップのように紡ぐパートも良い。

耳馴染みの良い洗練されたメロディー

メロディーも良い。

シンプルになきごとのメロディーって自分のツボなのだ。

「メトロポリタン」も、「深夜2時とハイボール」も、「不幸維持法改訂案」も。

ポップというのともちょっと違って。

キャッチーというのともちょっと違って。

あえて言えば、猫っぽい空気感がメロディーにあって、まっすぐな魅力が飛び込むけれど、手を伸ばすと人縄筋でいかない心地よさがあるというか。

「たぶん、愛」もまた、そういうドキドキが続く。

独特ひねくれワードセンス

愛している?の次に来るワードが「愛していない」という言葉のチョイスが良い。

でも、「愛だよ。愛なんだよ」というワードもあるし、後半では音の響きは同じでもニアリーイコールを使って、多重的な意味合いを帯びる言葉のチョイスも秀逸。

フレーズの流れの中で、色んな含みをもたせるからこそ、なきごとの歌って歌詞で追って聴いても楽しいんだとつくづく感じる。

2番のBメロ終わりの変化球

「求心」のあとの流れが良い。

こう展開するのかなと予想したら、意表つくような展開で進む感じ。

もっと王道なメロディー展開でくるのかと思ったら、そうくるかという面白さがある。

しっかりギターを聴かせてくれる間奏パート

そして、「求心」から、再びギターが主役を担う瞬間。

そのエフェクトで、そういう歪ませ方をするのかというワクワクがある。

なきごとのギターは、ある種歌うように旋律を響かせるのが、聴いていて気持ち良い。

間奏終わりのしっとりサビ→大サビの展開

そして、終盤にかけては、ボーカルやメロディーでもう展開作って興奮を湧き起こす。

裏で響くギターの躍動も凄まじくて、一件するとミディアム調で展開するこの楽曲、裏では予想以上のゴリゴリというか、空間を塗りつぶすような迫力があって、この辺りもなきごとの魅力感があって、痛快。

なきごとらしい多幸感

でも、聴き終わったあとの感じは、なんだか多幸感で包まれる感じ。

感情に寄り添って、絶妙な温度の何かを与えてくれる。

だから、聴き終わると、また聴きたくなるのだ。

まとめに替えて

結論、「たぶん、愛」は、なきごとの魅力がてんこ盛りのフルコース、という話。

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