Mr.Childrenのライブが凄かった件

Mr.Childrenって凄い。

改めてライブを観てそう感じた。

というのも、『PLUMCHOWDER 20th ANNIVERSARY SPECIAL 20/25グランドチャウデーション』という、大阪を拠点に活動するPLUMCHOWDERの会社設立20周年を記念したライブイベントで、久しぶりにMr.Childrenは観たとき、そんなことを強く感じたのだった。

余談だけど、自分もブログを始めて10年経っており、この10年だけでも、それはまあ色んなライブを観てきた。インディーズアーティストから、紅白に出るような人気アーティスト、海外のレジェンドまで、比較的コンスタントに色んなライブを観てきた。

今でもライブに心を奪われる瞬間は多い。

けれど、年々「右脳で興奮してしまう」というよりは「左脳で理解して楽しむ」みたいな感覚が増えてきたのも事実。これは良くも悪くもライブを観ることに慣れてしまうからだと思うし、自分の中で「ライブってこういうパターンが多いよね」みたいな引き出しが蓄積された結果なのかなーとも思う。

だからこそ、楽しむことができる視点が増える一方で、興奮の度合いが緩やかになるのもまた事実なのだ。

だからこそ、「うおーすげー」で終わってしまうような、本当に初めてライブを観たときの衝動はもうないのかなーなんてことを思っている自分がいたのだった。

Mr.Childrenのライブを、久しぶりに観るまでは。

振り返ってみると、前に自分がMr.Childrenのライブを観たのも、PLUMCHOWDERのイベント『ロックロックこんにちは!』だったと記憶している。

あのときは、Mr.Childrenとスピッツを1日で体験するというとんでもない1日だったんだけど、久しぶりに観たMr.Childrenもすごかった。

ああ、スターがここにいるぞ、って。

なんかね、単純な「演奏の上手さ」だけで言えば、Mr.Childrenよりもトリッキーなことをするバンドって別にいくらでもいると思う。もっと激しいパフォーマンスをするバンドだっていっぱいいるし、アマチュアのコピーの難易度だけで言えば、ミスチルよりも上の難易度のバンドはいくつもいるとは思う。

でも。

Mr.Childrenのパフォーマンスって、そういう次元とは別のところで、「誰の手にも届かない大物感」があるのだ。

この日のライブもそうだった。

神々しい登場から照明がバーンって花開いて、大御所になっても縦横無尽にステージを駆け回る桜井和寿のアグレッシブかつ軽快な感じ。ボーカルってどこまでも伸びやかで、少々動いたくらいじゃ一切乱れない。

しかも、昔の楽曲でもハイトーンボイスを安定的に歌い上げ、広いホールの隅々まで迫力あるボーカルを轟かせる凄まじさがある。あえて言ってしまえば、インターネットでテクニック的に人気を勝ち取ったアーティストにはない、どっしり感があって、売れたから凄いんじゃなくて、この人たちは凄いから売れたんだが伝わる気迫があるのだ。

知っている曲だからライブに夢中になるんじゃない(確かに知らない歌はまったくなかったけど)。そういうものを超説して、何を歌おうが引き込まれざるを得ない凄みが今のミスチルにあったのだ(そして、逆説的になるけど、そういう魅力があるから、飽きられることなく、長年ずっと売れているとも言える)。

そして、ボーカルにスポットが当たりやすいMr.Childrenだが、ライブを見ると、やっぱり「バンド」として良いんだなあと強く感じる。

まず、チームワークが秀逸。ビートを刻む安定感もそうだし、MCでの間合いの取り方もあまりにも天才的だし、やっぱりMr.Childrenの屋台骨だなーと感じる鈴木英哉のドラムの存在感。

天に向けてスティックを掲げる動きもいいし、表情豊かにドラムを叩く姿も感動的で、Mr.Childrenの歌がドラマチックに響く上で、鈴木英哉が果たしている存在感を大きさを痛感したのだった。

中川敬輔のベースも素晴らしい。他の楽器とドラムを繋ぐ偉大な橋のような安定感。必要なアプローチを必要な場面で落とし込むから、それぞれの楽器の重厚感が増すことになる。ド派手に魅せるというよりは職人的な佇まいではあるが、ドラムが躍動がある分、左右の二人の淡々と楽器をプレイする姿がまた美しいのだ。

そして、田原健一。楽曲が終わるといつも真っ先に楽器を交換して、次の楽器のスタンバイをしている姿が印象的で、ドラムがしっかり音を鳴らしている間に、粛々と田原が次の楽曲の準備をしている姿が印象的だった。この動きがあるからこそ、どの楽曲もギターの音色が変わっているのに、楽曲の間に余計な間が生まれない。実はここがミスチルのライブを迫力あるものにしている重要なエッセンスで、田原のスマートなプレイが大きく光っているなーと感じた。そして、一切の乱れを感じさせず、寄り添うようにギターをプレイするわけだ。

光を浴びやすい人がいる一方で、光が当たっていない人も見えないところで職人的なパフォーマンスを行う。だから、Mr.Childrenのライブはカットしたい場面が一切ない。これは、今のフェスにでている人気バンドと比べても、圧倒的に異なる魅力だと思っているし、Mr.Childrenのスター感に内在する要素のひとつだなーとライブを観ながら感じたのだった。

セットリストが凄かったMr.Children

あと、この日はセトリが良かった。特に後半

仮にフェスという舞台でありながら、後半は「ラララ」や「タガタメ」といった楽曲を歌い、本編ラストは「HERO」で締め括った。今回のイベントはPLUMCHOWDER 20th ANNIVERSARY SPECIALの誕生25周年であり、設立20周年だった。デビュー当時から付き合いのある主催者のために今回2024年のラストライブとしてこのイベントに出演したミスチルは、そこに言葉にはない想いを込めるかのように、それぞれの周年の年にリリースしたアルバム曲の象徴的な歌を締めくくりに捧げたような印象さえあった。

だってさ、もしフェス用のセトリで組むなら、初見の人にも刺さる楽曲を披露するなら、締めくくりは「innocent world」でもいいと思うわけだ。でも、最後は「HERO」。「HERO」はミスチル史においても印象的な歌出し、もしかしたら主催者の人となんらかの縁がある楽曲なんじゃないかなーなんてことまで想像したくなるくらいに、後半の畳み掛け方は個人的にぐっときた(前半はヒットソング中心のセットリストだったからこそ)(「HANABI」「Tomorrow never knows」という流れも秀逸ではある)

そして、だからこそ、これからも歴史を積み重ねるというエールを込めて、最後に「終わりなき旅」を歌う流れがあまりにも綺麗で、この辺りもMr.Childrenの凄さを感じる瞬間だった。

なんというか、Mr.Childrenって楽曲ひとつひとつのインパクトが凄くて、ライトなファンだと構成力の凄さみたいなところにスポットを当てて考えることは少ない印象だが、Mr.Childrenってこれまでのエピソードで聴いてみても、構成力の凄さとか、演出的な面でのこだわりも強いバンドという印象がある。

だからこそ、この日のセットリストにも、そういう魔法がかかったような印象を受けたのだった。

まとめに替えて

これ以上言うことはない。

やっぱり想像以上に凄かったという、ただそれだけの話

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