SEKAI NO OWARIの「ターコイズ」を聴いて感じる、このバンドの”枠”に収まらない感

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サウンドだけで、どのバンドの「音」かぴーんとくるバンドもいれば、サウンドを聞いただけでははまったくぴーんとこないバンドもいる。

後者の場合、楽曲ごとにチャレンジするからこそ、ひとつのイメージで語ることが難しい、ということがあるように思う。

前者のバンドには前者のバンドには良さがあって、後者のバンドには後者のバンドの良さがある。

で。

前者のタイプでも後者のタイプでもいくつかのバンドが頭に浮かんで名前を挙げることができるんだけど、後者のバンドのカテゴリーに属していて不動の存在感を放つバンドが明確に一組存在しているように思う。

それがSEKAI NO OWARIである。

SEKAI NO OWARIのことをよく知らない人は、「え?そうなの?」と思うかもしれない。

そこで、いやいやいやSEKAI NO OWARIって枠を超えた存在で、マジでやばいんすよ〜ということをお伝えするだけの記事を書いてみたいと思う。

SEKAI NO OWARIの話

例えば、2021年にリリースされた「Diary」は、上質でしっとりとしたミディアムソングである。

ザ・歌メロであるように思うし、洗練されたメロディーと安定感のあるアレンジと、真っ直ぐなFukaseのボーカルが印象的な楽曲である。

確かに、SEKAI NO OWARIって鍵盤がメンバーにいるバンドということもあって、こういうしっとりとした歌を歌うことがある。

でも、そういう「顔」を見せるのって、本当にたまにでしかない。

なぜなら、すぐにまったく違ったテイストの楽曲を世に放つからだ。

例えば、2022年の音楽シーンにおいても強い存在感を放った「Habit」は、びっくりするほど「Diary」とは異なる世界観の楽曲だった。

「Diary」が優しさを滲ませた歌なのだとすると、「Habit」はどこまでも辛口の楽曲である。

「Diary」の歌の軸が歌にあるのだとすれば、「Habit」は歌以上にビートの面白さを楽しむ楽曲になっている。

ダンスで話題を集めた辺りでも、リズムがキーの歌であることがよくわかる。

考えたら、この振り幅、えげつないように思うのである。

さらに先をいくSEKAI NO OWARI

「Habit」はYouTube上で1億以上の再生回数を誇っているということもあり、SEKAI NO OWARIというバンドにおいても代表曲と言えるだけのヒットソングになった。

並のバンドであれば、これだけのヒットを放ったのであれば、どうしても似たようなテイストの歌をリリースしたくなるところである。

というか、タイアップソングなんかだと、そういう発注をもらってしまうことだってあるだろうから、自ずと似たテイストの楽曲が続くことになりがちだ。

でも、SEKAI NO OWARIはそういう状況にならない。

「Habit」ですら、ああいうテイスト「も」あったに変えてしまう。

それがSEKAI NO OWARIなのだ。

2023年、最初に配信でリリースされた「サラバ」は、「Diary」とも「Habit」とも異なるサウンド、音楽世界を展開していく。

軽妙なるギターが印象的だし、ホーンセクションで華やかでメルヘンチックな世界を作り上げる。

ありそうでなかったタイプのSEKAI NO OWARIの音楽世界を作り出していく。

そして。

2023年はCMソングとしても話題の「ターコイズ」もリリースした。

が、この歌もまた異なるテイストを提示するのである。

聴いてもらったらわかるが、なんてこったってくらい、サウンドの衣装も楽曲のトーンも変えていくのだ。

鳥山明みたいなテイストの作品を描いたかと思えば、うすた京介みたいな作品を作るくらいに、音楽世界を自由自在に動き回る。

良い意味で、4曲とも共通点がない。

軸となる楽器の音も変わるし、リズムアプローチも大きく変わる。

根底にあるバンドは同じはずなのに、音を通じて映すだす世界はまったく異なるわけだ。

SEKAI NO OWARIが凄いのは優しいテイストの歌も、爽やかなテイストの歌も、ダークな世界観の歌も、ニヒルな世界観の歌も綺麗にハマるということだ。

しかも、無理をしている感じがしないし、変に背伸びをしている感じもしない。

強引に変化球を放っている感じもなくて、良い意味でどの歌もSEKAI NO OWARIの歌として収まりが良い。

ここも、このバンドの凄さであるように思う。

まとめに替えて

SEKAI NO OWARIって、たまに少し過小評価されているのでは、と思うことがある。

部分的な話題を勝ち取ることはもちろんあるが、そこだけで終始するのが勿体無い凄さがあるバンドなのである。

近年リリースされた4曲を聴いただけでも、そのことを実感する、というのがこの記事の結論である。

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