アイドルに貢ぐようなノリでバンドのことを応援しているファンは多いし、バンドのアイドル化も顕著になっている昨今。

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自分とバンドに対するノリというかモチベーションがちょっと違うんだよなーと思うことはよくある話かもしれない。

実際、バンド好きと一口に言っても色んなタイプがいるように思う。

まずは、そこから考えてみたい。

バンド好きの分類

ここを因数分解していくと、ざっと以下のような分類ができる。

1.そのバンドの音楽が好き

そのバンドの音楽が好き、という一番シンプルなタイプだ。

多くの人はここを出発点にして、バンドのことを好きになると思う。

ただ、そのバンドの音楽が好きになる、と言っても色んなパターンがある。

例えば、メロコアなら何でも好きです!みたいなタイプもいる。

こういうギターの奏で方、こういうドラムの刻み方であれば基本ハマる、みたいなそういうタイプ。

ジャンルで敬愛するバンドが固まっている人と言える。

また、高音ボーカルであれば、一発でハマってしまうようなタイプもいることだろう。

ボーカルの声ありきの人もいれば、歌詞でハマる人、メロディーでハマる人など色んなタイプがいると思う。

どこが、バンドにハマる際のトリガーとなるのか?

そこをこの記事で掘り下げ始めてしまったら話が長くなりすぎるので、この話はここで止めるが、バンドが生み出す音楽発信でそのバンドが好きになるのであれば、理由はどうあれ、ここの範疇に入ると思う。

2.そのバンドが鳴らす音楽が派生する世界観が好き

作っている音楽そのものに関わる話ではあるが、音楽だけに留まらず、そのバンドが唱える哲学だったり、そのバンドが生み出すビジュアルやブランドだったり、そこまで踏まえて好きであるという場合は、単なる音楽を超えたレベル=世界観が好きなのかなーと思う。

例えば、「僕たちはでっかい箱でやることになっても大げさな演出はしないで、ライブハウスでやる時と同じようにいつも通りやります」っていう意志を表明しているバンドがいるとする。

そして、そういうスタンス含めてそのバンドが好きである!となる場合、それはそのバンドが作る世界観が好きと言えると思うのだ。

あるいは「若い人に少しでも負荷をかけないようにライブの値段は極力安くなるように自分たちは行動する」っていう意志を表明しているバンドがいるとする。

そして、そういうスタイル含めてそのバンドがカッコいい!って感じる場合、それはそのバンドが作る世界観が好きと言えると思うのだ。

あるいは、最近はMVで話題を勝ち取るバンドも増えたし、Youtuber化しているバンドもいる。

そういう音楽と関係はしているけれど、音楽とは違う部分が好き、あるいは音楽を含めてそういうところも好きという話になってくれば、単にそのバンドの音楽が好きというもの以上の好きと言えるし、それはそのバンドの世界観が好きと言えると思うのだ。

キュウソなんかだと、グッズのデザインが可愛くて好きになったという、グッズ発信のパターンもあるかもしれない。

これだってある種、バンドの世界観に触れて、そのバンドが好きになった事例のひとつと言える。

3.バンドの音楽よりもそのバンドのキャラクターが好き

この2のパターンを派生していくと、その世界観を生み出すその人自体が好き!という事態が生まれやすい。

個人的な印象だとバンドの世界観がきっちり固まっていたり、このバンドはこういうイメージのバンド!と定まっていれば、往々にしてメンバー全員のキャラクターも出来上がっているため、バンドメンバーのキャラクターを愛する方向に流れやすい。

これはヤバTやポルカのようなキャラクター性を売りにしているバンドだけに限らず、おっさんメロコア系のバンドなんかでも言える話だと思う。

10-FEETのライブや楽曲は温かい→TAKUMAさんの温かさが好き→TAKUMAさんラブ!!!

みたいなパターン。

少し話はズレるけれど、インディーズバンドの売れる売れないは多くの邦ロックファンから見て、バンドのメンバーのキャラクターが定まっているかどうかにかかっていると個人的には思っている。

仮にバンド名は知っている、曲は聴いたことがあるという状態になっていたとしても、キャラクターの部分までそのバンドが落とし込まれていなければ、継続した人気を生み出すのが難しい。

このキャラクター化というのは、ロキノン的バンド物語にも置き換えることができる。

いずれにせよ、このバンドメンバーってどんなキャラクターなの?と問われてポカンとされてしまっては、やはり難しいと感じることが多い。

英語で歌う日本のバンドはウケるのに、洋楽は全然ウケないのは、このキャラクター化にまで落とし込めていないからだと思う。

レッチリというバンドは知っていても、レッチリのメンバーってどういうキャラクターなの?と説明できる人はほとんどいないと思うし、キャラクター化に落とし込むほど、そのバンドの情報を取り込む若いリスナーは稀だと思う。

ブルゾンちえみとオースティン・マホーンみたいに、ある種その洋楽アーティストをキャラクター的に捉える余地があれば、また話は変わってくるが。

ちなみに、ここでいうキャラクター化というのは、別にマンウィズみたいに派手なキャラ付けをするべきという話ではなく、きっちりと良い歌を作り、きっちりと良いライブをしていたら、自ずとバンドやそのメンバーのキャラクターというのは出てくるという話。

たくさんそのバンドの曲を聴けば、そのバンドが何を表現したいのか、どういう目標があるのかが見えてくるものだし、ライブに行けばよりその輪郭がはっきりする。

これが結果的にキャラクター化に繋がるわけだ。

そして、好きになれば、そのバンドのことをもっと知りたいと思うようになり、メディアのインタビューの情報を積極的に取りに行くようになり、キャラクター化はますます推し進められるようになる。

逆に、ライブをみてもそのバンドのキャラクターが浮かび上がらないということは、そのバンドが平凡であるという話であり、=売れないという流れになるわけだ。

これは上手い下手だけの話ではない。

ちなみのちなみに、Youtubeのメタタグなんかを見たりすると、そのバンドがどんなキャラクターになりたいのかが見えたりするんだけど、それもまた別の話になるので、今回は割愛していきたい。

また、ぼくりり君のように虚像化されたキャラクター化に押しつぶされる場合もあるが、これも話がズレるため、割愛する。

さて、話の枕がとんでもなく長くなってしまったが、この記事のテーマはここからになる。

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○○ってバンドの○○が推し♡っていうやつ、どう思うか?

基本的には、こういうことを言う人って、ここでいうケース3の、キャラクターを愛する行為が過激化した結果だと思うのだ。

まあ、バンドメンバーにガチ恋するのも、そのバンドをホストに貢ぐが如く敬愛するのも、本人の自由だし、それ自体は好きにしたらいいと思う。

好きのベクトルが違いすぎて、しんどいと思う人がいるのかもしれないが、それはその人の価値観の話であって、善悪の話ではないと思うので、好きにしたらいいと思う。

ただ、アイドルと同じようなノリでバンドのキャラクターを愛する話=誰が推しなのか?みたいな言い方に少しモニョる所があるとすれば一点だけ、個人的に言いたいことがある。

何がモニョるのか?

この記事でも見ていったように、バンドのキャラクターはバンドの世界観と大きく紐付いているものだし、根本は音楽そのものに行き着く。

つまり、バンドのキャラクターは(基本的には)キャラクターありきの話ではなく、結局、音楽やライブが根本にあるわけだ。

どれだけイケメンのボーカルだって、イケメンであるということだけで成立できているバンドはいない。

仮に、そのバンドの演奏がめちゃくちゃヘタクソだったら、ボーカルがイケメンであることは「痛さ」として映ると思うのだ。

バンドの音楽って、メンバーが一人でも欠けてしまったら、バランスの取れていない演奏をしていたら、それだけで成立しなくなるのだ。

当たり前の話であるが、バンドというのはメンバーが全員揃うことでしか成立しないものなのだ。

だからこそだ。

メンバー間で不用意な優劣をつけたり、そのメンバーだけが推しであり、他はモブキャラであるという言い方をするのだとしたら、それは「ん?」って思うわけだ。

推しって言い方をするのは良いと思うけれど、仮にそれで他のメンバーを「どうでもいいもの」として扱うのだとしたら、せっかくバンドの鳴らす音楽が好きになった人の眼差しとしては、勿体ないなーって思うわけだ。

どれだけボーカルがカリスマ的で天才的だとしても、ボーカルだけでバンドは成立しない。

バンドメンバー一人一人がパズルのピースのようにカチリとハマるから、そのバンドの世界観が鮮やかに彩られるし、そのバンドのフロントマンが輝くのだ。

バンドってそういう面白さがある。

これは、ミスチルのようなボーカルだけがスポットを浴びがちなバンドでも言える。

いや、そういうバンドだからこそ明確に言える話なのかもしれない。

ボーカルがカッコいい!だから、好き!他のメンバーはモブキャラやん、という見方だってありだとは思う。

けれど、色んなジャンルの音楽がある中でバンドというものを好きになるのだとしたら、推しが〜っていう目線だけで、そのバンドの良さの留めているのだとしたら、バンドというものの触れ合い方として、単純に勿体ないなーとそんなことを思ったりする。

だって、バンドってメンバー全員がいて、初めて成立するものだから。

これは、良いとか悪いとかの話ではない。

単純にそう思うけどなーという、そういう話。

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