UNISON SQUARE GARDENの「カオスが極まる」が想像以上にカオスっている件

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バンドってどんどん進化するものだ。

それは間違いない。

ただ、往々にしてバンドにおける<進化>って、サウンドの豪華さを指差していることが多い。

どういうことか。

例えば、インディーズ時代は制作にかけられる予算が限られている。

そのため、荒削りなサウンドと、シンプルなサウンドで魅せることが多い。

本当はこんな表現もしたいけれど、今できる全てをここに詰め込んだ・・・みたいな歌が多い。

しかし、キャリアを重ねていくと、それが改善されていく。

少しずつ制作にかけられる予算が増えたり、様々な人たちとタッグを行えるようになり、バンド以外のサウンドを加えるケースも多くなる。

そして、気がつくと、サウンドが豪華になっていくわけだ。

このことを指差して、<バンドの進化>と形容することが多い印象なのだ。

いや、単純にサウンドが豪華になるだけではなく、そのサウンドに然るべき歌詞やメロディーを与えるからこそ、の部分もあったりはするんだけどね。

でも、サウンドの豪華=そのバンドの進化に感じられるケースは多いと思う。

ただし、だ。

上記のケースに当てはまらずして、明確にバンドの進化を音に落とし込むケースもある。

つまり、シンプルなバンドサウンドだけで、バンドの進化を感じさせる、というケースがあるということだ。

UNISON SQUARE GARDENは、そんなバンドの筆頭である。

UNISON SQUARE GARDENは斎藤・田淵・鈴木の3人が紡ぐバンドサウンドのみで、明確な進化を提示するバンドである。

もっと言えば、楽器同士が生み出すアンサンブルに、圧倒的なユニゾンの進化を感じさせる。

そして、どれだけ進化していったとしてえも「あ、これはユニゾンのサウンドだなあ」も感じさせてくれる、そんな稀有なバンドだ。

つまり、ジャンルが広くなるとかアプローチできるフレーズが触れるとか、そういうのとはまたちょっと違う形で、進化を提示してくれるのである。

手数の多いテクニカルなドラムアプローチ。

容赦なく動きまくるベースライン。

小刻みなギタープレイを行なっているのに、それを難解かつ息継ぎが大変そうな歌を歌いながら行なってみせるギター・ボーカル。

個々が明確な荒ぶりをみせているのに、アンサンブルは歪になることなく、美しい音符を紡ぎ出す。

このあたりの、激しいのに洗練されている部分に、UNISON SQUARE GARDENの<らしさ>と<進化>を感じるのだ。

「カオスが極まる」を聴いて、改めてそんなことを感じたのだった。

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「カオスが極まる」の話

UNISON SQUARE GARDENのサウンドを聴いていると、<カオスが極まる>とはまさしくこういうことだよな、と思わせるほどに、「カオスが極まる」のサウンドは荒ぶっている。

UNISON SQUARE GARDENってざっくり分けるとふたつのパターンがあって、激しさで突き抜けるタイプと、美しいメロディーラインを軸にするタイプの楽曲があると思っている。

で、今作は明らかに前者。

とにかく展開が凄まじくて、楽器が紡ぐ情報量がえぐいのだ。

特に鈴木のドラムの存在感がえぐいと思っている。

特定のパートでは、低音のドラムをどかどかしばきあげる部分があるんだけど、この躍動に触れるだけでも鈴木の凄さを実感することになる。

しかも、そこだけに終始せず、メロ・サビ・間奏問わず、ドラムが様々に展開を変えていくのだ。

さっきまでタムをどかどか叩いていたかと思えば、次は小刻みにシンバルを刻んでみせる。

・・・かと思えば、瞬間的な余白を丁寧に使ったアプローチをみせるパターンもあって、一度ビートを刻みあげると、最後の最後まで疾走感の波にのってさまざまなリズムを提示して、楽曲の高揚感を生み出していく。

そう。

とにかくドラムの動きを追うだけでも楽しい、激しさに満ちた歌なのだ。

でも、単に荒々しいだけの歌なのかというと、そんなこともなくて。

田淵らしいキャッチーなメロディーラインも健在で、サビのメロディーが妙に印象に残るのだ。

Aメロ→Bメロ→サビの流れとコントラストが秀逸で、毎回サビの前に用意されたメロディーが絶品だからこそ、サビでの爆発感が圧倒的になる。

ほんと、全体を通して細かな展開が多くて、どこを切り取ってもハイライトになる面白さに満ちている。

今作は、コーラスパートのタイミングも絶妙で、楽曲の流れをがらりと変化させてみせている。

あと、この歌、展開がめちゃくちゃに複雑なので、ギターのプレイも煩雑になっているはずなのだ。

にもかかわらず、このバンドのギターはボーカルをしながら弾いてみせる。

これ、音源だけの話ではなく、ライブで披露したときも同じ・・・いや、それ以上の迫力でもってアウトプットしてみせるので、そういう意味でもワクワクが半端ない歌だよなあと思う。

まとめに替えて

言ってしまえば、「カオスが極まる」は、ユニゾンにしかできない展開とアンサンブルで魅了する、爆裂的なナンバーになっているということだ。

まだ聴いていない人は、カオスが極まっているこの歌をぜひ聴いてみてほしいと思う。

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