SEKAI NO OWARIの「Habit」に思う<は????>という感情

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ひとつのイメージで語ることが難しいバンドって、いくつもいる。

ふざけているバンドだと思っていたら、ハートフルな楽曲をゴリゴリに演奏するバンドとか。

失恋ソングを歌うイメージのバンドだと思っていたら、めっちゃ闘志あふれるメッセージ・ソングを歌うバンドだったとか。

そういうギャップを持ち合わせたバンドって、たくさんいる。

触れる楽曲の数が増えるたび、そのバンドのイメージは刷新されて、その世界観を拡張していくことになるのだ。

SEKAI NO OWARIもまた、そういう類のバンドだと思う。

ただ、セカオワが持っているギャップって、前述したような要素とはちょっと違うのかもしれない。

というよりも、なかなか単純化できない複雑さがある、と言ってもいいかもしれない。

順を追って、話してみよう。

まず、セカオワのパブリックなイメージって、人によって変わると思うのだ。

それだけ、時期や捉える楽曲によって、イメージが大きく変わるバンドだからだ。

ただ、もっとも一般的なところで考えると、きっと「RPG」のようなファンタジー色の強いバンドが、パブリックなイメージだとは思うのだ。

なぜなら、この曲の認知度が高いから。

いわゆる、代表曲だとファンタジー感のある楽曲が多いのも、特徴ではある。

でも、初期からセカオワ、それこそ世界の終わりの頃から知っている人からすると、「RPG」の時点で相当な変化を遂げたと感じてしまうことだろう。

当時からセカオワを聴いていた人であれば、当時は、内向的なギターロックの系譜として捉えていたかもしれない。

少なくとも、今とはまったく違うサウンドを鳴らすバンドではあった。

世界の終わりからSEKAI NO OWARIの変化は、当時でも大きな話題を集めたことを覚えている人もきっと多いと思う。

その変化は斬新でもあり、鮮やかでもあり、衝撃的でもあった。

ただ、ポイントはそこじゃない。

この記事で言いたいのは、「RPG」のような世界観からセカオワの話を出発させたとしても、そのイメージは一縄筋ではいかないようになるということだ。

なぜなら、楽曲ごとに想像以上のギャップを披露していくことになるから。

セカオワって老若男女に愛されそうな、ある種のテーマパーク的な空気感の楽曲を歌ったかと思えば、邪悪かつ批評性の強い楽曲を平然と歌ってみせるのだ。

「サザンカ」みたいな透明感のある歌を歌うかと思えば、「Death Disco」のような歌を歌うわけで、その変化はなかなかエキセントリックだ。

思えば、『Eye』と『Lip』のアルバム同時リリースでは、特にその色合いが鮮やかになった印象を受ける。

まあ、そういうコントラストを常に内在しているのがセカオワだったというのが、冒頭の言いたいこと。

そして、そのコントラストは、ジャンルが幅広いという言葉では説明がつかないものを内在していたということだ。

そんな中で、2022年にセカオワが発表したのが、「Habit」という楽曲だった。

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「Habit」の話

この歌が、凄いのだ。

歌詞だけでみたら、辛辣さ一辺倒。

冒頭のフレーズからキレキレだ。

君たちったら何でもかんでも
分類、区別、ジャンル分けしたがる
ヒトはなぜか分類したがる習性があるとかないとか
この世の中2種類の人間がいるとか言う君たちが標的
持ってるヤツとモテないやつとか
ちゃんとやるヤツとヤッてないヤツとか

以降も<隠キャ陽キャ>とかフレーズをはじめ、破壊力強めのフレーズをどんどんと投げ込んでいく。

これをダークな面と呼ぶかは人によると思うが、<良い子ちゃん>でいるための楽曲ではないことはわかる。

シニカルながらもメッセージの強いフレーズを、独特の疾走感をもったメロディーの中で紡いでいくのだ。

これだけでも「Habit」という楽曲が、大きな魅力を宿していることがわかると思う。

でも、ポイントは単に<シニカル>に終わっていないということだ。

というよりも、違った切り口からも楽しめる一曲になっているのだ。

MVをみると、そのことを強く実感する。

そう、ダンスがエグいのだ。

難易度の高いダンスを、絶妙な温度感で繰り出してくるのだ。

Fukaseと20名のダンサーが織りなす映像の迫力は目が見張るものがあるし、歌詞のメッセージとダンスの迫力がシンクロしているというのだから、なおのこと、その迫力は超絶というものである。

もしかすると、SNSの流行りにも目配せをしたため、こういう<マネしたくなるダンス>をMVの中に放り込んだのかもしれない。

ただ、ここで言えるのは、ダンスの展開が見事だからこそ、「Habit」は単純に<ダーク>という言葉でくくることができない楽曲になっているということだ。

なんせ、色んな切り口で語ることができる楽曲になっていて、色んな魅力を宿したテイストになっているからだ。

「Habit」を聴いて、改めてセカオワのエグさを実感した自分がいたのだった。

まとめ

これだけキャリアを重ねたら、少しずつ<こういうバンドである>のイメージが固まってくると思うのだ。

でも、セカオワは一向にそういうことがなさそうな気配。

楽曲ごとに違う表情をみせ、その世界観をさらに拡張する。

つくづく、とんでもないバンドだよなーと思う。

その感情を一言で表すなら、は????という感じ。

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