前置き
それぞれの音楽ブロガーさんが議題を持ち寄って、各ブログごとに座談会をしましょうよーー。
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そんな提案をしたワタクシ。
前回は、むらたかもめ氏のブログ「オトニッチ」にて「春フェスといえばビバラだけど、ビバラって運営にちょっと難があるよね〜。そんななかでもビバラをより良く楽しむにはどうしたらいいだろうか?」という議題で、各ブロガーさんと意見交換をした。
当該記事はこちらである。
当該記事はテーマがテーマなだけに「フェスの運営」についての話がメインとなった。
が、フェスの根本はバンドであり、ライブである。
というわけで、当ブログでは、テーマをごろっと変えて「バンドのライブ」について、話し合うことにした。
テーマはずばり『今年の春フェスでグッとときたライブは何か?』。
お題はシンプルだが、バンドに熱い想いをお持ちの方ばかりが集まったため、話は意外な方向に向かうことになった…。
参加ブロガー
年間100本のライブにいく、ミスター音楽ヒッピー・ソノダマンさん(@yoppeleah)
BRAHMANと近しい名前だけど、居酒屋に行くと徹底的なまでの「カシオレ縛り」をする、softmanさん(@softman_mfrdkok)
奥さんの今の髪型がSHISHAMOの朝子と同じらしく、アイドル分析にも定評があるむらたかもめさん(@houroukamome121)
今回の参加者のなかでは最年少。学生目線で今のロックシーンを語ってくれるSugarさん(@Sugarrrrrrrock)
そして、僕(ロッキンライフの中の人)は司会者として、討論会を生暖かく見つめさせて頂きました。(@rockkinlife)
今年参加した春フェスの中でのベストアクトは何だった?
各々のベストアクトをあげてもらいつつ、なぜそれが「ベスト」なのかの理由も述べてもらった。本当は一つに絞ってもらう予定だったが、バンドに対する愛溢れる皆様がアクトを一つに絞れるはずもなく、止めどないバンド愛が溢れ出る結果となった。
ソノダマン
・キュウソネコカミ (VIVA LA ROCK 5/5)
「STAR STAGE(メインステージ)に出れなかったことと、ホルモンに客を取られたことが本当に悔しくて泣きそうだった!」という悔しさを全て演奏に乗せたライブ。キュウソネコカミというバンドの本質が最もよく見えた瞬間だった。
・BRAHMAN (VIVA LA ROCK 5/5)
決してホームとは言えない客入りと客層。それを笑いを交えながらも、フェス主催者と自身が長い付き合いの中で変わったことを語るMCでその場の空気を全て持っていく。フェスとなると喋りながら見ていたりする人も多いが、「鼎の問」の誰しもがステージとスクリーンをじっと見つめる様はBRAHMANがフェスにおけるジョーカー的な存在であることを証明していた。
・四星球 (JAPAN JAM 5/6)
前日のビバラでも痛快なライブを見せたが、翌日のこの日は04 Limited SazabysのGENを1曲目からゲストに迎え、その後もほぼ全曲でGENを呼び出すという、JAPAN JAM史で前例のないコラボを展開した。その発想力と実行力、その場のルールや曲に合わせたパフォーマンスができる地力の強さ…このバンドが天才の集団であることを確信させた。
・エレファントカシマシ (JAPAN JAM 5/6)
年齢と経験を重ねるとテンポを落としてゆったりとしたアレンジにしたり、アコースティックにしたりという変化を見せるバンドも多い中、エレカシの新曲はまさかのパンク。そのバンドへの衝動は全く失われず、経験のぶんだけグルーヴはさらに増している。全ての若手バンドが目指す存在はこのバンドなんじゃないだろうか。
softman
・CHAI(VIVA LA ROCK 5/3)
トップバッターという重要なポジションだったが、初見に痛烈なインパクトを残していった。これまでにありそうになかったエレクトロとロックンロールの融合。(このライブを観ただけでも)これからシーンを引っ張っていく存在になると確信。
・サカナクション(JAPAN JAM5/5)
サカナクションを見るまではTHE ORAL CIGARETTESをこの日のベストアクトにする予定だった。しかしオープニングの「サンプル」からノックアウト。「シーンを変えたい」と願う若手は多いが、シーンを変革させるには野外フェスのトリのポジションをサカナから奪わなければならない。それくらいの横綱相撲。絶対障壁として立ちはだかる瞬間を見た。最後の「新宝島」でフェンスに「新宝島」を投影することは予想していたが、実際にやられるとインパクト大で完全勝利。(他のバンドが)どんなライブをしても、サカナがかっさらうことを証明した瞬間。
むらたかもめ
・DragonAsh(ビクターロック祭 3/17)
「天使ノロック」始まりの「陽はまたのぼりくりかえす」で終わったというまさかのセトリ。ビクター主催で、フェスや主催のビクターに対する強い想いやリスペクトがあるからこそのセットリストと、いつも以上に熱いパフォーマンスにも感じて鳥肌も立ちました。この日しか絶対に見れないDragonAshのライブって感じでした。
Sugar
・ストレイテナー(JAPAN JAM 5/4)
ホリエさんがMCでも言ってたんですけど、「CLARITY」で “目に見える世界なんて嘘だらけさ”と歌っていたのが10年経って、「月へ読む手紙」で”愛しています”と歌えるようになった。ただ単に尖っていたのが丸まったのではなくて、20年間キャリアを重ねて変化していく中で手に入れた人としての温もりみたいなものを感じました。っていうハイライトに加えて、ラスト「Sunny Suicide」「クラッシュ」って初見殺しの曲で締めるっていう。最後は尖りまくりやないかいって(笑)あと、盟友ゴッチ氏「ROCKSTEADY」のコラボもあったり、めっちゃ豪華でした!
ロッキン・ライフの中の人
・スピッツ(VIVA LA ROCK 5/3)
スピッツというバンドの存在が天使だし、(この日披露された)スピカはやっぱり神曲だし、あれだけのベテランバンドでありながら半径50センチにしか語りかけないようなMCをしているし、毎回ギターチェンジするのにトロさを感じさせない間合いだし、ベースの田村はテンション上がりすぎてベースを食おうとするし。全てが尊い。
以下、各々のベストアクトを発表しての反応
むらたかもめ(以下むらた):スピッツはベストにしようと思ったけど誰かあげると思って避けました笑
softman:スピッツは安定すぎて外しましたね。『さわって・変わって』のイントロが鳴った瞬間に「うおおおお!!!」と叫んでしまったけど笑
ソノダマン(以下ソノダ):個人的には(softmanが挙げてた)サカナクションに関しては全くの同意で。東京のMETROCKって、近年はサカナクションか[ALEXANDROS]しかメインのトリをやってないっていう状況なんですけど、その前に出てるバンドたちの後にその2組を見ると『これはまだ勝てねぇなぁ』って思うくらいに圧倒的なんですよね。
ロッキン・ライフの中の人(以下ロキ中):サカナクションの凄さって『曲がメイン』という根本はありながらも、『音以外の部分で表現したいこと』を完璧に形にしているってことだよなーとは思います」
ソノダ:そうそう。多分シンプルに音だけでも勝てる(野外でそれを見たのはベボベの野音にゲストで出た時だけ)んですけど、そこに照明やらが完璧に決まってるからより一層凄さが増してくっていう。
むらた:サカナクションは音楽のライブというよりもディズニーのエレクトリカルパレードぐらい誰が観ても楽しめるエンタメになってる気がします。あの方向性では日本で勝てるバンドはでてこないんじゃないかと思ったり。
ロキ中:エレクトリカルパレードって意味ではセカオワ、BUMP、あるいはPerfumeなんかも(形は違えど)やってる部分なんでしょうけど、それをちゃんとフェスでやりきるのがサカナクションの凄さですよね。
むらた:perfumeやセカオワはフェスでワンマンみたいなライブはできないですからねえ。あの2組は演出にしてもセットやステージがかなり重要になってくるんで。そう考えるとどこでも対応できるサカナは凄いと思います。
Sugar:音と演出が評価点にガッツリ含まれるならビバラの環境が貢献したって可能性もあるんですかね。
ソノダ:サカナクションを野外で見ると、レーザーってあんなとこにも使えるんだ!?って思いますね〜。フェスでそれができたからこそ、今の位置まで来れたところもあるでしょうけど。
Sugar:サカナクションはフェスの尺でも『お腹いっぱい堪能させて頂きました』ってなりますよね。良い意味でワンマン行かんでも十分だなってぐらいの満足度(笑)」
むらた:でも、久々に昼の野外のサカナクションも観てみたいなと思ったりします。
softman:昼のサカナクションは想像つきませんね。それこそ「なんたって春」とか春の野外で聞きたい。
ソノダ:今、野外フェスで昼にサカナクションを見れるとしたら、18時前に終わるフェスじゃないと無理でしょう。
softman:後はサマソニ?数年前に出てましたね。
むらた:サカナクションも6年ぐらい前は昼も出てたんですけどねえ。『バッハの旋律を夜に聴いたせいです』で、山口メンバーが1人でMVと同じ個性的なダンスを披露してました。
ロキ中:(今年は)フジロックでワンチャン?
ソノダ:フジロックだとトリ前でも夜だからな〜。WHITEのトリとかじゃないですかね。サカナクション、初めてトリをやったのが、鹿野淳がやってたROCKS TOKYOの2年目だったんですよね。豪雨で笑
ロキ中:そうなんですね。
ソノダ:サカナクションとは真逆ですけど、四星球も彼らにしかできないライブをやってるっていう。ビバラで『2年後くらいにはメインステージで会いましょう!』って言ってたけど、それもかなり現実味が出てきたな、っていう。
softman:四星球のJAMのステージはツイートだけでも絵面が想像できて笑えました。と同時に、生で見たかったという。対バンキラーになりつつありそう。
ソノダ:あと、気づいたのは(各々のベストアクトが)メインステージクラスというか、中堅〜ベテランが多いっていう。
ロキ中:(この中だと一番若いSugarくんも挙げてるのがテナーですしね)テナーはMCにグッときたということですか?
Sugar:テナーをメインで取り上げたいのはそこですかねー。それに加えてセトリもレアだしコラボもあるしって所も含めて。
softman:テナーに関しては丸くなった方ですよね。CDJ13/14ではCDJ直前にオーラルがオープニングアクトでtricotと対バンしたんですが、その時にやった曲をCDJでやらないと宣言して、本当に(テナーのライブにおけるキラーチューンであるはずの)「KILLER TUNE」や「BERSERKER TUNE」を抜いてくるドS行為に出ましたから!!それでも「VANISH」で(the telephonesの)ノブ呼んだり「SAD AND BEAUTIFUL WORLD 」で圧倒させるなど、やっぱテナー凄いと思いました。
ロキ中:(個人的な勝手な印象として)サカナクションって完成度で評価するバンドですけど、四星球とかキュウソってライブごとの事件性とかアドリブ的要素が評価軸になりがちなバンドで、皆さんのベストアクトはどっちかをとって評価したのかなーと。DAとテナーも「ライブバンド」としての完成度があったうえで、セトリとかエモいMCという事件性的要素があってベストアクトにしたのかな〜みたいな。
ソノダ:ただ、キュウソは前者に寄っていきつつあるし、キュウソ、ヤバT、四星球はそっちでも勝負できるバンドだとは思うんですよね。
softman:確かに今回の春フェスでは自分は完成度で見ましたね。オーラルも良かったけど、サカナが圧巻過ぎて変わりましたし。ビバラのCHAIもそうでしたね。インパクト=完成度ですから。
Sugar:完成度で評価されるライブってあんまりピックアップされないんですかねー。
むらた:自分は完成度も大切だと思いますけど、どれだけ感情を動かされたかで決めました。自分がベストに上げたビクターロック祭のDragonAshはセットリストからもフェスや主催への想いも感じたし、パフォーマンスもいつも以上に気合いを感じて、忘れられないライブが1つ増えた感覚です。
ソノダ:自分があげた中だとエレカシはそっち(感情を動かされた)ですかね。特になんの演出もMCもない、っていうか。で、BRAHMANのライブとかだと、もう毎回「特別」で毎回「事件」なんですよね。それはTOSHI-LOWの存在があるからこそなんですけど。銀杏BOYZもそういうバンドだし。
softman:(ネット上でのバズという意味では)事件の方が拡散されてるような…。ロッキン2013の10-FEET、靴投げ事件は物凄い勢いでバズりましたね。
ソノダ:基本的にツイッターの文字数とか速度だと事件性の方が広まりやすいですよね。ブログオンリーならまた違うとも思いますけど。
softman:個人的に凄いと思ったのはsumikaのSTAR STAGE(メインステージ)がわりと埋まっていたことですね。フレデリックが苦戦しているなかで、sumikaは埋めていてロッキンも近いうちにGRASS STAGE(一番でかいステージ)に行きそうな気がします。あと、フェスでアウェイと思われたD.A.NがVIVA! STAGE(2番目に大きなステージ)でそれなりに集客したのは希望でした。持ち時間多いところ(メインステージ)で見たいですが。
ロキ中:なるほど。
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愛溢れる討論が続く中、次は各々の「ベスト」ではないけれど、良きにしろ悪しきにしろ思うところのあった「むむむ」なアクトについて選んでもらった。
ソノダマン
・ポルカドットスティングレイ (VIVA LA ROCK 5/4)
演奏は非常に上手いし、楽曲もキャッチーな上にしっかりとロックファンのツボをついてくる。しかし、それ以上のものが見えない。衝動や熱量、その源泉にある感情が伝わってこない。確かに目の前にはメンバーがいて音を鳴らしているのに、音から人間らしさを感じることができない。何も感じないという違和感を初めて感じたライブ。
softman
・BIGMAMA(JAPAN JAM 5/5)
去年福岡のテナーと対バンして以来に観たライブだったが、メンバーの服装や表情から以前のような幸福空間を感じられず見てて辛かった。自粛ムードのライブは見たくない。早く元のMAMAに戻ってほしい。テナーのシンペイが福岡でのライブで驚いてましたが、その辺りから悪い意味で変わってしまいました。早く吹っ切れて欲しいです。
むらたかもめ
・SKY-HI(VIVA LA ROCK 5/3)
全然詳しくなかったんですけど、パフォーマンスもしっかりしてるし気合いも入ったライブで良い意味でイメージ変わりました。
・FLOWER FLOWER(VIVA LA ROCK 5/3)
全然話題になってないしアウェイ感があったけど、自分たちのペースを乱さずにしっかり演奏して届けていて、盛り上げる以外の方法で観た人に強い印象残した感じがしました。
Sugar
・THE ORAL CIGARETTES(YON FES 4/7)
フェスとか対バンだと、フロアもステージもフィジカルに盛り上がるけど、実際最近の曲って「フェスシーンを勝ち上がってきたロックバンド」としてはかなり独特の世界観を持っているというか。フェスのイメージと実際のバンドの現在地にギャップがあるような気がしなくもないです。ビバラではヘッドライナーを務めたし、このバンドが引っ張る若手バンドシーンって何なんだろうって。ネガティブっぽく書いちゃいましたけど、僕は純粋にこれからがとても楽しみですね。
以下、各々の「むむむ」アクトを発表しての反応
softman:オーラルはもうアリーナを見据えた動きをしている印象です。見るのはONAKAMA以来でしたが、完全に覚醒してますよあれは。
Sugar:WANIMAとかドロスみたいにこれからファン層入れ替わりとかありそうな気もしますね。ところで、最近のMAMAの幸福感が感じられないっていうのは、演奏のバチバチ感っていうのとは違うんですかねー。
softman:MAMAは男性陣が全員上着白で、なんか自粛ムードが…。バチバチぶつかり合うのは初期の『CPX』や『baseball player』で体感しているんで問題ありません。『Strawberry Feels』も好きです。でも楽しそうじゃないというか…。
ソノダ:ポルカに関してはロッキン氏の書いたブログ(こちら)を見てもらうとして、MAMAに突っ込むとなると金井の去年のあれこれを掘り返す感じになりますが笑
むらた:(話は変わりますが個人的には)JAPAN JAMのNICO Touches the Wallsで光村さんが金髪のグラサンで出てきた姿がイケメンすぎて「むむむ!」と思いました笑
softman:みっちゃん(笑)見ない間にそんな姿に(汗)
ソノダ:光村はアラバキの時にNICOクラスタの方々がすごく騒いでましたね笑 良くも悪くも笑
むらた:イケメンでした♥
Sugar:JAPANのフェスで観る度にイメチェンしてる気がします(笑)
むらた:あと、もう1つ「むむむ」あるんですけど、JAMでなんとなく観てたSCANDALのベースの右耳のピアスとパジャマっぽい服装が色っぽくて、気づいたら前の方で観てました。そういう意味ではMAMAもそうですけど、服装からオーラは出てくるとは思います。
softman:SCANDALはパジャマでレコーディングした曲があるって話を聞いたような笑
むらた:!! 参考までにその曲を教えてください!!
softman:曲までは覚えてませんが、確か2年前のアルバムに収録されていたと思います。僕はまだまだSCANDALニワカです(汗)
ソノダ:SCANDALの話を続けるべきなのかこれは笑
むらた:今『SCANDAL パジャマ』でググッたら、過去にパジャマパーティをしているニコ生をやったいたのを知りました。
(ここでむらた氏、嬉しそうにSCANDALのニコ生時の画像を全員に提示する)
ロキ中:まあ、サカナクションの話にも通じますけど、(色んな意味で)視覚的要素は大事ということですね。
softman:視覚の話ではパスピエがビジュアル公開してからスクリーンに(メンバーが)映るようになりましたが、映ってからの方が遥かにライブは良くなりました。(メンバーが)楽しそうだとこちらも楽しくなります。
ロキ中:この論法だと、マンウィズもマスクはいだ方がいい説も…
ソノダ:普通のおっさんだからそれはマイナスにしかならない笑
Sugar:この前初めてMWAMを前で観て、やっと夢から覚めました(笑)
softman:人間らしさという部分では、未だに6年前のフジファブリックのライブを思い出します。山内が『ECHO』で絶叫しながら歌ってる姿は今でも感動しますし。
むらた:視覚的要素ってなんだかんだ重要なんですよね。サンボマスターの見た目がオーラルだったら評価のされ方も変わるだろうし、CHAIの見た目が吉岡里帆だったら自分はツアー全通するわけだし。サカナクションも演出全くなしなら違う聴こえ方になるだろうし。マンウィズの見た目もそうですけど、メンバーのキャラ設定や人柄によっても曲やライブの受け取り方が変わるよなと思ったりします。
ソノダ:オーラルの山中が(サンボ山口のような)落語家みたいな喋り方だったらいろいろ変わってきますよ笑
softman:サカナの山口にサンボの山口が乗り移ったらどんな感じになるのか、見てみたい笑
ロキ中:このバンドってこういうイメージ!!ってのがあって、それを「確認するために」ライブを見ている!って人は多いと思うんですよね。
ソノダ:人間の内側の要素ってそのまま音や言葉になりますからね。そして、それを感じられない、っていうのがポルカだった。SKY-HIに関しては自分も近年フェスで見て、良い方で『むむむ』って思ったんですけど、彼はひっくり返してやろう、っていう意志がすごく強いんですよね。それは彼の独特な立ち位置がコンプレックスでもあり、武器でもあると思うんですけど、イケメンが好きではない捻くれた自分でも『かっこいいな〜』って思えるっていう。
softman:日高(SKY-HI)はインディペンデント精神でここまで来たのが凄い。最初の頃なんて、レコード会社に黙ってやってたらしいですしね。
Sugar:内側のカッコ良い部分が滲み出て垢抜けていくのがバンドマンだなって思います。
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さて、尽きることのない話題を一旦遮り、少しお題を変えてみた。
僕たちは私たちはバンドに、フェスに、これから先どんな物語を求めますか?
むらた:個人的にはフェスに物語はあまり求めてなかったりします笑
softman:バンドに関してはエモーショナルなサイド…でしょうか…。僕はブルエンに何度も救われてきたんで。
ソノダ:個人的には、初出演時に1番小さいステージに出てたバンドが何年後かにメインステージに出るっていうところが1番の物語だと思うんですけど、春フェスはあんまりそれがないかな、って。なくてもいいんですけど、JAMは同じキャパだし、ビバラは日によって色が変わるから、他の日ならこのステージには出れないよな、っていうバンドもいるし。
Sugar:これまで沢山(話に)出ましたけど、人の内側が良い形で垣間見えるのがロックフェスの醍醐味であり続けて欲しいですね。お客さんを盛り上げるっていうのも、視覚的だけじゃなくて、感情が動く体験をフェスでも大事にして欲しい。まさにエモーショナルサイドですよね。
ソノダ:例えばエレカシって今でもロッキンならGRASS STAGEでトリができるレベルにいますけど、一時期はLAKE STAGE(ひとつ下のステージ)に落ちて、そこすらガラガラっていうくらいに低迷していた時期もあって。それを見ていただけに、ここまで盛り返せるのか、って。勢いが落ちたバンドもまだいけるぞ、って思えたりとか。
ロキ中:世代交代をしている一方で、上の世代もまた進化しているというのは凄いことですね。
ソノダ:同世代のチャットモンチーやベボベが1番小さいステージから始まって、メインまで行った時は『ここまで来たんだなぁ』と思いましたねぇ。
むらた:アーティスト主催フェスならその物語に心動かされることもあるんですけど、例えばロッキンとかで大きなステージに行くのって<フェス向けの音楽かどうか>ってだけな気もするんですよね。自分は、バンドの物語は楽曲の売上やワンマンの規模で感じる事が多いかなあと。
softman:だからこそ脱フェスに舵をとったバンドもいます。andropの新作は完全にフェス戦線から離脱したアルバムでした。
ソノダ:ただ、フェス向けっぽい音楽をやってるように見えたバンドでも、そこまで行けずに消えたバンドもいっぱい見て来てるんで、そうなるとやっぱり上がってくバンドは何か違う要素があるんだなぁと。あと、昔ロッキンにミスチルが出た時、2001年の最後の曲が「終わりなき旅」で、2005年の最初の曲が「終わりなき旅」だったりとか。それは明確にそのフェスのそのステージだからこそだろうな、っていう。
むらた:たしかにミスチルのそれはフェスでならではかもしれないですねえ。まあ、自分もずっと『フェスに出たい』と言い続けてる3markets[ ]がロキノンフェスに出たら物語を感じるし泣きますけど。
softman:EVERLONGとかやっとジャパンのフェスに招かれましたしね。上がるバンドは何か持っているのは事実でしょう。メロディーとかメッセージとかエモーショナルとか。
ロキ中:個人的な印象としては、<フェス音楽>っていうのはなくなって、もっと個々がやりたいようにやるタームにくると思うんですね。それこそ、オーラルが独自路線に向かうとか、キュウソのロックバンド化とかの話もそうですし。
Sugar:僕はまさに4つ打ちとか<フェス音楽>がブイブイいわせてた時から行き始めたので、今は独自路線のタームっていうのはとてもわかりますねー。
むらた:最近のフェス受けバンドは4つ打ちとかよりも、MCがしっかり話せて笑いも取れるという部分が重要な気もします。
softman:このタイミングだから言えますが、僕はウェイウェイ音楽に2年前辺りから飽き始めました。もうその手の音楽はお腹いっぱいや‼ってなって。だからメロディアスな音楽に傾倒し始めたし気がします。あと、インディーバンドがもっと評価されるようになって欲しい。
ソノダ:そもそも自分は4つ打ちとかが果たして<フェス音楽>なのか、っていう感じもするんですけどね。意外とそこまで4つ打ちバンドっていうバンドっていなかったりするし。結局はメロディっていうところに収束していくと自分は思うんですけど。リズムやビートっていうよりは。
Sugar:でもフェスのお客さんって今でもやっぱりモッシュとかサークルがある種楽しむ目的になってますよねー。
ソノダ:ただ、そういう楽しみは必ずしも悪なのか、っていう違和感は逆にある。SATANIC CARNIVALとか100%そういうバンドばかりだし。
softman:パンクはそれでいいと思う。こっちも抑えきれなくなったらモッシュピット突っ込むし。けど、それは予定調和で起こるものではない。サークルとか未だに唖然とする。
むらた:そういう楽しみ方もありだとは思うけども、くるりやバインみたいなバンドがフェスにだんだん出なくなってきてるのは少し寂しいなと思ったりします。
softman:Yasei Collectiveとかも今の状況じゃフェス出にくいかな…。暴れることが最優先って感じだし…。
ソノダ:まぁやりたいことをやってるバンドはフェスで初見の人は難しいでしょうね。バインなんか今の感じでいきなりライブ見て好きになるか、って言われたら自分でも自信がない笑
一同:ふむう……
むらた:まあ、フェスもバンドと同じように、マーケティング的にやるのか、中間で試行錯誤するのか、やりたいようにやるのかで、フェスの色も変わってくるし、そのフェスの未来も変わるんだろうな、と思ったりします。
そして、時間がきたため、これにて座談会は終了となった……。
まとめ
未来の話にも少し踏み込んでみたが、基本的には、各々が自分の好きなバンド・推しバンドに対する愛をぶちまける座談会となった。
生まれた所や皮膚や目の色も違う五者が好きなバンドを語るのだから、そりゃあ止めどなく話は広がるばかりだけど、世代も性癖も違う僕たちがこうやって同じ熱量で盛り上がれることこそが「音楽」の素晴らしさだよなーと痛感した次第。
未来の空想を巡らして話してはみたけれど、「その向こう」がどうなるかなんて、本当のところ、僕たちにはわからない。
それでも、ただひとつだけ、強く言えること。
それは「音楽」に、そして「ライブ」に突き動かされたその衝動が消えることはないということ。
ロックミュージックにひとつ良いところがあるとすれば、頭でっかちのおっさんになりつつある僕たちでも、束の間だけ「子ども」になれる、そんな衝動性があるところなのだろう。
フェスの未来がどんなふうになっていくとしても、音楽への衝動は途切れながらも続いていくんだろうなーなんて思ったそんな座談会でした。→次の座談会は別の方のブログへと続く。
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