アーティストが大阪でライブのMCをするときに感じた違和感の考察

自分は大阪在住の人間なので、大阪でライブを観ることが多い。で、どの地域でライブを観るときもそうだけど、アーティストの多くはその御当地に触れるようなMCをしがちだ。特にそのアーティストが遠方の方の場合、逆コンビニおでんよろしくな味付けで、御当地MCを展開する。

せっかく大阪に来たので、たこ焼き食べましたっ!

とか。

美味しいラーメン屋さんってどこですかね??よかったら教えて下さい!

とか。

USJに行きたいんですよね〜。ってか、大阪の方ってUSJのこと、ユニバって言うんですか???

とか。

再放送されてこすられ続けた長寿番組のテレビ番組のような安定感。実家にあるこたつですらもうちょい余所余所しいレベル。それくらいに、テンプレ化した絶品の味わい。

いやね、切り口はアーティストによって様々なんだけどね。

でも、本当の初手で投じる大阪のエピソードは、わりとベタなトピックに着地しがちだ。逆にマジで本当に大阪に行って訪れた、マジであんまりよく知らない飲食店の話とかをすると、あまりにもマジでそれが何なのかわからず、MC的にはすごい空気になりがち。

世の中は無情である。あと、客層と世代によって「あるある」の水準が変わるのも、地味にむずいんだろうなーと想像する。

いずれにしても、ツアーで各所をまわるアーティストだからこそ、大阪にゆかりのある「何か」の話をする時間は尊い。お、このアーティストはそういう切り口で触れてくれるのね、という嬉しさもある。

ちゃんとオチ付きで面白いMCをするアーティストのMCが最高ではあるが、アーティストに求めているのは話芸としての面白さではない。あなたたちが今日も存在していて、一緒の空間で言葉を発してくれているという事実の尊さ。そう、MCというのは質がどうとかではなくて、存在することそのものが素晴らしいものなのだ。

が。

そんな自分が、ひとつだけ大阪のライブのMCを聞くときに「本当だろうか?」と勝手に気になっているアーティスト側の考察

大阪でのMCを聞くとき、ついつい本当だろうか?と感じてしまう切り口がある。

大阪が一番、お客さんの返しの声がでかい。

いやね、全アーティストが大阪でそういうMCをしているわけではないし、そういうMCをするアーティストは、もしかしたらどの地域でも同じようなことを言っているのかもしれない。

けれど、ロッキン・ライフ調べでは「大阪が一番声がでかい」というMCをするアーティストが多い。奈良とか和歌山のライブに足を運んでみたこともあるが、そういうMCは自分の経験では確認されなかった。なので、きっと、たぶん、そういうことなのだと思う。

アーティスト側が率直に感じて、そのようにMCをされたのであれば、それは良いことだと思う。だって、ライブはアーティストとお客さんが協奏して作り上げるものだから。

そして、傾向として、確かに大阪のオーディエンスの方が、他の地域に比べて、返しの反応が良いというケースは、あるのかもしれない。

けれど、たまに思うのだ。

それって本当なのだろか、と。

というのも、そう感じたからそういうMCをしたのではなく、パブリックなイメージに影響されて、ついついそういう風に言ってしまったのではないか?という説をほんの少し、疑っている。

いわゆるオールドメディアの場合、大阪人ってノリが良いとか、すぐにボケとツッコミの応酬をするとか、そういうイメージを植え付けがちだ。関西吉本芸人の全国進出により、そういうイメージをより強めている。

確かにそういう文化が根付いている側面は否定しない。しかし、それは安易な見立てでもある

「ねぇねぇ、ジャパンってまだサムライいるんでしょ?なんか、チョンマゲしてカタナ持ってフォーマルな格好してるんだよね?」

仮に、そういうよくわからんことを言う外国人がいたとしたら、「いや、何を言うとるねん」とツッコミたくなると思う。

とっくにジャパンは鎖国の時代を終えて、サムライの時代も終えて、日常で着物を着る人間もほぼいなくなって、あなたの国と同じような格好をしとるぜよ。from JAPANの先駆を走るNI・N・TE・N・DOが作った新しいガジェット、見てみろよ?えらくクールだろ??って感じもあるわけで。

つまり、大阪人=お笑いに脳みそを支配されていてノリが良くて声がでかい、という等式もわりとそういう節がありつつある。ヒョウ柄おばちゃんがジュラシック・パーク化するのも時間の問題だ。

いやね、確かにそういう人もいる。

なんなら、そういう人の比重が、他の地域より多めというのはあると思う。

が。

それはあくまで傾向の話でしかない。亡霊のような覇気の大阪人をたくさん観てきたのだから、それは断言できる。

だから、やっぱり大阪が一番声でかいね!みたいなMCを聞くと、「やっぱり・・・????」と気になってしまうわけだ。

なんなら、自分の観測範囲でいくつか地域でライブを観たことがあるが、イベントによっては大阪の会場の人の方が妙に行儀が良くて、大人しかったというケースに出くわすことも多い。地方の方が選別された遠征民と地元民の融合によって、オーディエンスがカオス化していることがわりとあるし。

少なくとも、洋楽のアーティストのライブなんかに行くと、関東のライブの声の返しが100だとすると、関西はマジで50くらいだったりすることもある。

関西の方がシャイの人の割合が多かったのか、英語が単にわからない数が多かったのか、意識が高い人は関東に行きがちで、結果として関東の方が「返し」が強くなったのかはよくわからんが、マジで、大阪の方が「大人しい」というケースは、わりとよくあるわけだ。

だから自分は、「大阪の会場が本当に一番声が大きいのか?」は、コナンの黒幕と同レベルの謎として掲げ、提唱していきたい。

なぁあ〜んてことを書くと、今のインターネットだと、

@grock ファクトチェック

って書かれて、闇を暴かれ、惨殺されていく、そんな無慈悲な世界。

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