Official髭男dismの「Chessboard」を聴いた結果、小笹大輔がやらかしたことに気づいた件
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Official髭男dismが「Chessboard」という楽曲をリリースした。
今作は、第90回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲として書き下ろされた楽曲だと伺っている。
なので、ピアノのサウンドがベースで、コーラスにしやすい、そういうトーンの楽曲になるのかなあと思っていた。
・・・と思って再生ボタンを押してみると、いきなり予想を裏切られることになる。
最初に流れてきたのは、イカつめのギターのサウンドだったからだ。
文化部の部室に入ったら、水泳部にいそうなゴリゴリの筋肉野郎に出会った感じ。
それくらいの戸惑いを感じさせるギャップがあった。
そう。
今作のイントロ、小笹大輔がクールな顔をして、ゴリゴリのギターを鳴らしている姿が目に浮かぶ音づかいになっているのだ。
ONE OK ROCKだったり、UVERworldだったり、そういうバンドが好きな人がぐっときそうな、スケールの大きなどっしりとしたギターのサウンドになっているのだ。
仮にも、「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲」で、だ。
まさかとは思うが、「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲」で、ゴリゴリのラウドな楽曲を書き下ろしたのか・・・!?いや、でも、色んな意味で意表をついてくるOfficial髭男dismであれば、そういうことを行うこともありえるのか・・・!?これは、これは・・・これはとんでもないことになるぞ、どうするよ、中学生諸君・・・!!!!!と思って楽曲を聴き進めていくと、13秒くらいでギターがすっと身を引いて、鍵盤の音が軸を握ることになる。
すると、さっきまで楽曲内に充満していたゴリゴリの空気感はナリを潜めて、優しくて穏やかな空気が楽曲を支配することになる。
行ってしまえば、一気に 「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲」にふさわしい空気感になってきたのだった。
そして、ここを聴く頃には、思わずニヤリとしてしまう自分がいたのだった。
おそらく普通のバンドであれば、13秒後の、「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲」のモードになったところから楽曲を始めるだろうし、イントロが仮にあったとしても、鍵盤でメロディーを紡ぐ構成にすると思うのだ。
でも、Official髭男dismはそれをしない。
俺たちはメタルにもルーツがあるバンドなんだぜ、というのを「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲」でも匂わせるようなイントロでもって、幕をあけるのである。
思えば、今作のテーマのひとつが「二色のチェスボード」であり、二つの色合いが折り重なるように楽曲が展開していく。
優しく穏やかなサウンドがある一方で、ゴリゴリな空気感を解き放つバンドサウンドが折り重なっているのは、そういう楽曲世界を踏まえたうえでのアレンジなのかもしれないなと思う自分がいる。
以降、軸としては優しくて穏やかな楽曲を展開していくのだが、それでもサウンドを丁寧に聴いていくと、要所要所で小笹大輔がゴリゴリなギタープレイしてみせる。
歌詞で言うと、「王様もいないこの盤上で」の部分では、鍵盤の裏でゴリゴリにギターをプレイしているサウンドを堪能することができる。
このテーマで、ここまでこっそり(いや、大胆に)ギターをプレイする小笹大輔のサウンドにぐっとくる。
一方で、小笹大輔以外はみんなとにかく優しくて穏やかな音を響かせる。
特に藤原聡のボーカルは、近年の楽曲の中でも、群を抜いた優しさを感じさせてくれる。
そして、今作を聴いて感じたのは、藤原聡の低音のボーカルの良さだ。
音楽番組で、藤原聡のボーカルの魅力を語るとき、ハイトーンボイスの凄さに着目したものが多いけれど、個人的には藤原聡のボーカルは低音のときの表情もすごく良いんだよな、と思うのだ。
哀愁とはちょっと違うんだけど、何とも言えない艶のある表情をボーカルの中で見せてくれるのだ。
低音ではその表情が高音のときよりくっきりとするので、ぐっと心を掴まれる心地になるのである。
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後半で大きな盛り上がりをみせる「Chessboard」
「Chessboard」は「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲」ということもあって、後半ではコーラスが盛り上がるような展開を楽曲に入れてくる。
ギターのかっこよさとか、ボーカルの心地よさとかもこの歌の魅力ではあるんだけど、ちゃんと「NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲」であることを踏まえて、この壮大なコーラスがちゃんと楽曲で1番の盛り上がりポイントになっているのも、何気にOfficial髭男dismの秀逸さだなと感じる。
俺たちはメタルにもルーツがあるバンドなんだぜ、も見せるし、高音ばかりじゃなくて低音のボーカルもイケてるんだぜ、も見せるけれど、そこをピークにはしない。
最終的には、与えられたテーマを踏まえて、実際に中学生が歌うときのことも考えられた「楽曲の良さ」を全面に押し出す構成になっているのだ。
端的に言えば、Official髭男dismの楽曲構成の素晴らしさが際立つ歌になっているわけだ。
この辺りの後半の怒涛の展開は、ぜひ実際に楽曲を聴いて堪能してみてほしいなあ、と思う。
まとめに替えて
今年は、なかなかOfficial髭男dismのライブを見ることができない一年になってしまったが、”お休み”の一年で終わらせることはしないことを痛感した今作。
しかも、「Chessboard」は、今年リリースしたどの楽曲とも違う魅力を提示しているのが良い。
Official髭男dismってこういうバンドだよねもあるし、Official髭男dismってこういうバンドでもあったんだ、の魅力も入っているのがすごくよくて、気がつけば、2023年もOfficial髭男dismは盛りだくさんで突き進んでいることを実感するのだった。
つくづく、恐ろしいバンドだなあと思う。
ただ、今作の感想を最終的にまとめるのであれば、小笹大輔は色んな意味で「ヤってんなあ」というのが「Chessboard」の感想。
それくらい、穏やかに突き進3人のメンバーに対して、小笹大輔はあまりにもゴリゴリに突き進んでいたから。
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