2023年個人的ベストアルバムランキング その2

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先日、個人的ベストアルバムランキングの記事を上梓したんだけど、その記事では一旦ベスト10~4位までの紹介とさせていただいた。

 

関連記事:2023年個人的ベストアルバムランキング

 

そこで、この記事で残り3枚を紹介できればと思っている。

なお、このランキングはあくまで個人の好みに基づいたランキングであり、音楽の優劣などを順位付けしているわけではないこと、また、ランキングに入っていないものでもよく視聴した作品はいくつもあるんだけど、その中でもあえて10枚に絞ったうえで今回紹介させてもらっている点は、ご了承いただけると幸いである。

とはいえ、今回選ぶ3枚は、自分的に2023年のアルバムの中でも特にお気に入りの3枚であることは間違いないので、自信をもって名前を出させてもらおうと思う。

それでは、早速紹介していこう。

どうぞ!

本編

3位:スピッツ 『ひみつスタジオ』

約3年半ぶり、17作目のオリジナルアルバムとなるスピッツのアルバム『ひみつスタジオ』を3位に選ばせてもらった。

スピッツの作品って不思議なワクワク感が作品に漂っていて、キャリアを重ねたバンドとしての円熟みもある一方で、音楽だったりバンドへの憧憬がすごくピュアで瑞々しさも覚える。

今作は『名探偵コナン』の映画主題歌にもなった「美しい鰭」が収録されているので、あえて喩えに出してしまうけれど、スピッツの音楽って”コナンくん”みたいな不可思議さがあるのだ。

コナンは見た目は小学生だけど、頭脳は名探偵高校生であり、そのギャップが作品の面白さの基盤を作っている。

スピッツの音楽やアルバム作品にも、そういう部分が通じていると思っていて。

音楽の手触りや言葉から漂うニュアンスやボーカルのトーンはどこまでもピュアだし瑞々しいんだけど、スピッツのバンドが紡ぎ出すサウンドはキャリアを詰んだバンドだからこそのどっしり感もあって、不思議な手触りを覚えるわけだ。

もっと言えば、バンドが鳴らしている音も”青く”はないんだけど、初期衝動が漂っていて、ドキドキとトキメキを感じるのだ。

「跳べ」のようなシンプルなロックサウンドだと、よりそういう要素を強く感じる自分がいる。

アルバム全体でみると、「i-O(修理のうた)」のあたたかみと絶妙な切なさを与えてくれるミディアムソングで幕をあけたかと思うと、すぐに「跳べ」で疾走感のある衝動的なロックサウンドで心をぐっと掴みにくる。

だから、「ひみつスタジオ」ってアルバムに、どんどん惹かれる自分がいるのだ。

アルバムの中盤では、メンバー全員がボーカルを取る「オバケのロックバンド」を投じることで、アルバムに違う刺激を流れ込む展開も秀逸。スピッツの音楽って、こういう一面もあったのかとハッとさせられる瞬間である。

民謡を取り入れることで、これまでのスピッツの楽曲とは違う空気感や世界観を構築している「未来未来」、スピッツが持つ切なさがとても美しい形で全方位に表現に落とし込まれている印象の「ときめきpart1」と、中盤から後半にかけても、ぐっとくるポイントが多い。

さらに言えば、アルバムのラストには、ライブの一曲目に披露しそうなスカっとして楽しい雰囲気の「めぐりめぐって」を収録する曲順も絶妙。

曲単体としてみても曲順としてみても、スピッツが秘密基地でワクワクを続けていて、その様子をのぞかせてもらっているような気分になるアルバムなのである。

近年のスピッツのアルバムは、ロックバンドでいる楽しさが詰まった作品が多い印象だけど、「ひみつスタジオ」はコロナ禍を経て変化したものと、それでも変化しなかったものが十全にアルバムの中に落とし込まれている気がして、それがより明確にドキドキとトキメキを感じさせてくれるアルバムになったのかなーなんて思っている。

今年も色んなアルバムがリリースされたけれど、そういう惹かれ方をしたのはスピッツの『ひみつスタジオ』が屈指だったので、3位という形で、ベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

関連記事:スピッツの「オバケのロックバンド」の歌詞と歌割りがえぐい件

2位:BIGMAMA 『Tokyo Emotional Gakuen』

約5年ぶり、9枚目のフルアルバムとなるBIGMAMAの『Tokyo Emotional Gakuen』を2位に選ばせてもらった。

なぜ、BIGMAMAのアルバムを2位にしたのか。

自分の中では、わりと明確な理由があって、それは「アルバムとしてのロマンを強く感じた」からだ。

当然、どのアーティストでもアルバムにはアルバムなりのこだわりを入れているとは思うんだけど、リスナーである自分の視点で、アルバム単位で聴くことのワクワクがより強いなあ、と感じた作品をアルバムランキングにおいては上位に置くようにしている。

それは作り手の意図が踏まえたものであるケースもあるだろうし、単純にリスナーである自分が「そう感じた」というだけのケースもある。

BIGMAMAの場合、きっと意図的な部分もあるだろうし、リスナーとして聴いたときの聴き心地がそこに噛み合っている部分が多いように感じた。結果、アルバムのロマンをより色濃く受け取ったので、こういう順位にさせてもらったのだった。

今作は、青春エモーショナルロックがひとつのキーワードになっている。

そのため

・青春
・学校
・教科
・学生生活

上記をイメージしたうえで、リンクするように楽曲のタイトルや世界観が構成されていることがわかる。

ひとつのコンセプトが通底しているのもいいし、新メンバーの加入や事務所の移籍など、このアルバムをリリースするまでのBIGMAMAとしての物語を考えたうえでも今作が”青春”をテーマにしていることに必然性が感じられる気がして、より作品にぐっと入り込めたのだった。

また、上記のコンセプトを持ちつつも、音楽ジャンルとしての一貫性もきちんと統一されているのが、ポイントが高い。

今作はジャンルとしてのエモと向き合いながら、アルバムの構成が組み立てられている印象を受ける。

かつ、同じジャンル性だから、同じようなテイストの楽曲が並んでいるということもなく、アルバムの流れも秀逸だし、押し引きの展開の作り方も見事だし、シンプルにアルバムをぐいぐい聴き入ってしまう。

金井政人というストーリーテラーがいて、そこで生まれた楽曲に秀逸なアレンジを組み立てるバンドメンバーがいて、しかも新メンバーであるBucket Banquet Bisがバンドの中に良い刺激を与える印象があって、アルバムとより良いものができた印象を覚えるのだ。

アルバムとして曲順で聴くことのロマンがあること、言葉的にもアレンジ的にもコンセプトが一貫していて、それがアルバムの良さに繋がっていること、しかもそれが今のBIGMAMAの物語ともリンクしている気がして、よりアルバムの世界観に入り込めたこと、一曲一曲が良いしアルバムとして楽しめること。

そういった諸々を踏まえて、2位という形で、ベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

関連記事:今のBIGMAMAが最高であることを感じた『Tokyo Emotional Gakuen』の話

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1位:King Gnu 『THE GREATEST UNKNOWN』

約4年ぶり、4枚目のアルバムとなったKing Gnuの『THE GREATEST UNKNOWN』を2023年の個人的ベストアルバムランキングの1位とさせてもらった。

実は、このアルバム、リリース前はそこまで期待してなかった。

21曲という曲数を聴いたとき、もしかしたら、流れもへったくれもないベストアルバムになるんじゃないかという懸念が生まれてしまったからだ。

しかも、既出曲が多く、タイアップソングも多い(これは今のKing Gnuの立ち位置を考えたら、仕方ない話だが)。確かに一曲一曲のクオリティーは高いけれど、アルバムとしての繋がりを考えると、微妙なことになるのではないかと考えていたのだった。

でも、蓋を開けてみると、それは杞憂だったことを知る。

今作は曲数こそ多いが、これはインタールードがいくつも収録されているからだ。

インタールードを的確に挟むことで、耳馴染みのあるヒットソングが、アルバムの中ではまったく違った表情を魅せることになっていたのだった。

しかも既出曲の多くはリアレンジが施されているため、よりこの曲順で曲が並ぶことによる美しさが際立つ。

・・・まあもちろん、上記の手法自体は他のアーティストでも見られるものであるし、それ自体が斬新なアプローチではない。

でも、『THE GREATEST UNKNOWN』という作品においては、インタールードの挿入と既出曲のリアレンジがどこまでも見事なのである。

点になっていたはずの既出曲が、見事にアルバムの流れの中で”あるべき作品”として繋がっていくのだ。

聴けるタイプのピタゴラスイッチとでも言えばいいだろうか。

作詞作曲を手がける常田大希はそもそもアルバムの美学を大事にするタイプのアーティストということもあり、『THE GREATEST UNKNOWN』の芸術性にも、きっとこだわりを持っていたからこそなのだと思う。

素晴らしいのインタールードと既出曲のリアレンジだけではない。

今作のアルバムの新曲として発表された楽曲も見事だ。

時にエレクトロに、時にブレイクビーツに舵をきっており、King Gnuというバンドのカラーを拡張させながら、既出曲では足りていなかったピースを確実に埋めるように輝きを放ち、アルバムの中でしかるべき並びの中に組み込まれていく。

単に良い曲を量産したいみたいなマインドのバンドであれば、こういう聴き心地にならなかったように思うし、仮にアイデアがあったとしても、そのアイデアを表現できる技量がバンドになければ、こういう聴き心地のアルバムが誕生することはなかったように思う。

常田大希という頭脳がまずいて、その頭脳がもったアイデアを高いレベルで表現できるメンバーがいて、しかもおそらくはメンバーがアウトプットしていくなかで、そこからさらに常田大希が刺激を得て、バンド全体が相乗効果でより良いものを生み出していく。

そんな流れがあるように思うからこそ、King Gnuはどこまでも孤高の存在として、このようなアルバムを生み出したのかなーなんてことを考える。

一曲一曲が良いのは当然として、それを踏まえたうえで、きちんとアルバムとしてのロマンも作り上げる。

ここが凄いなあと感じたのだった。

しかも、美学とか表現に妥協がないことは前提したうえで、特定の人だけ満足するものを生み出すのではなく、老若男女問わず、ライトな音楽好きも巻き込んで、その音楽に魅了している間口の広さを考えても、『THE GREATEST UNKNOWN』が生み出すパワーは驚異的なものだと感じずにはいられない。

millennium paradeでのアウトプットを巧みに作品の中に組み込んでいるし、海外の音楽にも目配せしながらアレンジの引き出しを増やしている印象の楽曲もいくつも確認できるし、色んな視点でアルバムを咀嚼すると、その分だけ面白さを見つけることができるのも今作の特徴だ。

ということを踏まえた結果、2023年の個人的ベストアルバムはKing Gnuの『THE GREATEST UNKNOWN』とさせてもらった次第。

関連記事:King Gnuの『THE GREATEST UNKNOWN』の話をしようとしたら、どっか違うところに突き進んでしまった痕跡

まとめに代えて

というわけで、10枚のアルバムを選出しました。

ランキングとして紹介したアルバムは、下記となる。

1位:King Gnu 『THE GREATEST UNKNOWN』
2位:BIGMAMA 『Tokyo Emotional Gakuen』
3位:スピッツ 『ひみつスタジオ』
4位:a flood of circle 『花降る空に不滅の歌を』
5位:マカロニえんぴつ 『大人の涙』
6位:NEE 『贅沢』
7位:Omoinotake 『Ammolite』
8位:ずっと真夜中でいいのに。 『沈香学』
9位:Sexy Zone 『Chapter Ⅱ』
10位:Subway Daydream 『RIDE』

当然ながら、上記10枚以外のアルバムでも好きな作品はいくつもある。

・・・んだけど、あえて10枚に絞って選ぶなら、という視点から、この10作品を選んでみた次第。
また、
大前提としてリピートしたくなるほどのアルバム、実際にそれだけ聴き込んだアルバムから紹介しているので、どのアルバムもオススメのアルバムであることは間違いないので、何かしらの参考にしてもらえたら嬉しい限り。(まあ、知っているアルバムばかりという人もいるとは思うが)

あと、明日には「2023年個人的ベストソングランキング」も上梓しようと思っているので、よかったらそちらも読んでみてもらえたら嬉しい限り。

では、今回はこの辺で。

ではではでは。

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