2023年個人的ベストアルバムランキング

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毎年勝手に自分が好きなアルバムをセレクトしてランキング形式にして紹介する記事を年末に挙げている。

ジャンルも評価基準も違う中で、音楽をランキング付けをするのは野暮と考える人もいるかもしれないし、人によってこのアルバムが入るなら、このアルバムだって入るべきでしょ、という指摘をしたくなることもあるかもしれない。

ただ、そういう凸凹があるからこそ面白いと思うし、音楽メディアとは異なる、恣意的な価値基準で運営する個人ブログで年間ベストランキングを発表する面白さもあるとは思うので、今年もそういう記事を上梓しようと思う。

自分の好きなアルバムは出てくるのかな?という視点でもいいし、このアルバムは知らなかったので聴いてみようという視点でもいいし、好きにこの記事を楽しんでもらえたら嬉しい限り。

それでは、早速紹介してみようと思う。

どうぞ!

本編

10位:Subway Daydream 『RIDE』

Subway Daydreamの1stフルアルバム。

とにかくバンドが鳴らす音が素晴らしくて、オルタナやインディといったサウンドが好きな人であれば、刺さる感じ。全編にそんな気持ち良さが宿っている。

サウンドの軸がブレることなく、「Skyline」から「The Wagon」まで展開されていくので、アルバムに没入することによる高揚感が半端ないのだ。

ただ、そういった枠の中で展開される楽曲にはそれぞれの味があって、「Timeless Melody」のような爽快感のあるナンバーもあれば、「Skyline」は幻想的なギターサウンドが印象に残るナンバーもある。

リードトラックである「Radio Star」は突き抜けたサウンドと、たまみの弾けたボーカルが印象的で、これまた気持ちよく楽曲を聴くことができる。

その上で、どの楽曲も人懐っこくて、ポップな手触りがあるので、本当にすーっと音楽が入ってくるのだ。

懐かしさと同時に新鮮味も覚える不思議なワクワクをこのアルバムからもらったので、今年のベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

9位:Sexy Zone 『Chapter Ⅱ』

Sexy Zoneの通算9枚目となるオリジナルアルバム。

曰く、”Sexy Zone第二章”という意味も込めて、 『Chapter Ⅱ』というタイトルとしたらしい。

このアルバムのポイントは様々なクリエイターに楽曲提供されながらも統一された世界観・サウンドメイクがあるところだと思う。

前作「ザ・ハイライト」で、80’s 90’sのレトロ感のある演出やアレンジを意図的に盛り込んだSexy Zoneは、今作でもその延長線上に立ちながらも、より己のポップスを拡張するような舵をきった印象。

結果、聴けるタイムマシーンみたいな面持ちがあった世界観は、未来の音楽シーンに向けて、新たな地平を切り拓きつつある・・・そんなイメージを今作に持っている。

iriが楽曲を手がけた「Cream」、アルバムのリードトラックである「Purple Rain」をはじめ、それぞれの楽曲のアレンジの世界観やジャンルに対する解像度が素晴らしいのは言わずもながなのだが、こういうアレンジの歌を歌ううえで、Sexy Zoneのボーカルのマッチ感がずば抜けている。

メンバー全員、ボーカルに優しさと大人っぽい色気があって、それが少しレトロ感のあるアレンジと美しく、混じり合うのだ。

持っている個性と、楽曲が組み立てている世界観の化学反応が絶妙で、ぐっとくることが多かったこと、しかもこういうポップスって今年のJ-POPみてもほとんど見当たらず、独自のポップスを確立してきた印象を受けたことを踏まえて、今年のベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

関連記事:Sexy Zoneの『Chapter II』というアルバムの感想

8位:ずっと真夜中でいいのに。 『沈香学』

ずっと真夜中でいいのに。 の3rdフルアルバム。

今作もカラフルな楽曲が収録されており、様々な刺激を感じることができるんだけど、今作の特徴としては、初期からずとまよの楽曲のアレンジを手がけてきた100回嘔吐が全曲のアレンジに関わっている、というところがある。

というのも、これまでのずとまよの場合、楽曲ごとにアレンジの担当が変わっていたため、メンバーを固定することが新しい試みになるのだった。

これまで、楽曲はボーカルであるACAねが手がけてきたが、それ以外の部分でも布陣の固定化を進めた結果、作品全体の統一感がより明確になった印象を受けるのだった。

とはいえ、楽曲の幅は毎度のごとく広く、そこが作品の面白みになっている。

演奏隊が心地よく踊りくるようにファンクなサウンドを響かせる「花一匁」、『チェンソーマン』のEDとしても話題となり高速スラップなベースのイントロも印象的な「残機」、バンドサウンドはいかつめなのにそこに口笛を添えるセンスが絶妙な「馴れ合いサーブ」など、幅の広さを指摘したら枚挙にいとまがない。

言葉遊びの面でも卓越した部分があって、日本語と英語の融解にさせ方が絶妙だし、「言語をメロディーにのせる」の感度がさらに1ランク上がった心地がするし、楽曲をメロディーとして捉える時の爽快感がより鮮明になっている印象。

よりZTMYというチームの凄みを感じさせる、そんなアルバムだ。

その上で、作品のラストには内省的にも聴こえる「上辺の私自身なんだよ」を配置することで、独特の余韻を残し、アルバムとしての引っ掛かりを増やしているのも秀逸である。

「メイド イン ワリオシリーズ」みたいな様々な色を怒涛のごとくつぎ込む展開もある一方で、極上の物語に触れるような心の揺さぶらせ方もする今作。そういう諸々が刺激的だったので、今年のベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

関連記事:ずっと真夜中でいいのに。の「不法侵入」がタイトル詐欺な件

7位:Omoinotake 『Ammolite』

Omoinotakeのメジャー1stフルアルバム。

近年リリースした代表曲を詰め込んだ、名刺のようなアルバムという印象。

ということもあって、一曲一曲の濃度が高いし、良いアルバムができたぜ感の気合いをなんとなくひしひしと感じる次第。

実際、今作はOmoinotakeの色んな面を堪能することができる。

踊り出したくなるようなビートメイクと朗らかで伸びやかな藤井怜央のボーカルが堪能できる「EVERBLUE」、ドリルミュージックのビートを取り入れるという着想から生まれた、独特のビート構成とポップスとしてのバランス感が絶妙な「渦幕」、シンプルにメロディーラインとそれを彩る言葉選びがとても素敵な「心音」。

アルバムの決めたあと、終盤で手がけたという「Ammonite」が、アルバムの4曲目に配置されており、言葉の流れ的にもアレンジ的にもアルバムの流れを良い意味で変えている印象があって、それがアルバム全体を引き締めているような印象。

福島智朗が紡ぐ言葉の秀逸性も、今作のアルバムを楽しむうえで、ぐっとくる部分がいくつもある。

Omoinotakeが作る作品がもともと好きだったということもあるんだけど、このアルバムを通じてさらにOmoinotakeの音楽が好きになったなーと強く感じたので、今年のベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

関連記事:Omoinotakeの「幸せ」で感じたゾクゾクの考察

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6位:NEE 『贅沢』

NEEの2ndフルアルバム。

この作品については、当時、別記事で感想をまとめたのだった。

 

関連記事:NEEのアルバム『贅沢』、振り切り方がエグい件

 

ただ、今振り返って思うのは、『贅沢』って、使っている言葉や扱っているテーマだけをみると、少しシニカルというか、暗い印象を与えかねない感触がある。

でも、変に陰気臭い感じがしない。そんな不思議なアルバムなのだ。

なぜ、そう感じるのか。

それは、サウンド面がユニークだからということもあるのだろうし、それ以外の音楽的なアプローチでも刺激に満ちているからと言えそうだ。まとめると、NEEのユーモアが作品に随所に散りばめられているからなのだと思う。

「おもちゃ帝国」や「本日の正体」や「月曜日の歌」などでもそうだけど、NEEの楽曲って、瞬間的にサウンドを耳に入れただけで「あ、これはNEEの歌だ」と強烈に感じさせてくれる音色がある。

それを分解すると、ビートとメロディーの織りなし方にはどの楽曲にも中毒性があるし、打ち込みとバンドだからこその熱量を混ぜ込んだ音使いでアレンジを研ぎ澄ませるから、本質的に楽曲を通じてサバイブするぜっていうマインドがあって、それが結果的にシビアなテーマでも、テンションあげて『贅沢』って作品をグイグイ聴けるのかなーなんてことを思うかなーなんて感じている今。

・・・まあ、このようにいくつか言葉にしてみたけど、一言で語ることができない、不思議な魅力があるアルバムなのである。

そういう不思議な魅力が宿っていて、かつ、一曲ごとの中毒性が高いので、今年のベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

5位:マカロニえんぴつ 『大人の涙』

メジャーセカンド2ndフルアルバムとなった『大人の涙』。

ヒットソングも多いし、タイアップソングも多いからアルバムとしてまとめるときはどんな色合いになるんだろうなーと思って聴いてみたときの、「おっ!」感が半端ない。

なぜなら、アルバムとしてのまとめ方が素晴らしさを強烈に感じたからだ。

テーマがきちんと通底しているのが、良い。

孤独について歌った歌が多く収録されており、それがテーマとも関わっているが、とはいえ、今作は別に孤独を悲しむような歌を並べているわけではない。

むしろ逆で、孤独を愛する、という視点に立って言葉が組み立てられた歌が多い。

「悲しみはバスに乗って」は確かにポジティブだけの歌ではなく、この先がどうなるのか不透明な空気が楽曲の中で通底しているが、歌の中で宿る感情を汲み取ることで、「単に悲しい」になるのではなく、自分の中にあるそういう感情と会話できるようなゆとりがあって、そこから色んな解釈をできる余地がある。

シンプルに言うと、歌詞の組み立て方が絶妙。

つまりは、はっとりのソングライティングにぐっとくる楽曲が多いという話。

ただし、今作はコンセプトに枠をはめただけのアルバムでもないのが、ポイントで。

作品の中ではチャンレンジ精神も発揮されまくっていて、「嵐の番い鳥」や「Frozen My Love」は特に凄いことになっている。絶対にフェスでは歌われることがないんだろうなーというユーモラスな色合いが滲みまくっている。

こういう点からもアルバムとしての面白さが出ている点で、個人的なぐっとポイントは高まった。

・・・というのもあるし、アルバム内の楽曲をみていくと、ユニコーンの色合いを感じる楽曲もあれば、ビートルズの色合いを感じる楽曲もあるし、USのメロディックハードコアなエッセンスをもった楽曲もありと、多種多様になっている。

マカロニえんぴつのサウンドって色んなテイストがあって、かつ縦にも横にも接続するような広がりを魅せてくれるんだけど、今作でもいかんなく発揮されているのが良い。

きっと昔のバンドなんて全然知らないはずのティーンにも絶大な支持がある一方で、オーセンティックなロック史に精通している人をニヤリとさせる面白さもあるわけだ。

つまり、

・アルバムのテーマがしっかりある
・マカえんのライトなファンにも刺さるど真ん中な歌もあれば、チャレンジ精神のある楽曲もいくつも収録されている
・縦にも横にも接続できる展開がある
・言葉選びも秀逸
・アルバムを通しで聴いても全然飽きない

上記の諸々を踏まえて、今年のベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

関連記事:マカロニえんぴつの「悲しみはバスに乗って」、次の方向に向かいすぎな件

4位:a flood of circle 『花降る空に不滅の歌を』

a flood of circleとして12枚目のフルアルバムとなる今作。

とにかくハングリーだし、ロックンロールが際立っている今作。

あ、a flood of circleってかっこいいなあと改めて思うアルバムになっているのだった。

なんというか、見栄をはることもなく等身大で突き進んでいる感があって、その泥臭いまでの剥き出しのスタンスがとにかくかっこいいと感じさせてくれる作品なのである。

「月夜の道を俺が行く」「バードヘッドブルース」「くたばれマイダーリン」「如何様師のバラード」・・・と、休むことなく自分の信じるロックンロールを突き進み表現している感じがするし、変に「何かを綺麗に修正」せずに、バンドの熱量が見える状態で収音されている心地がするので、ひとつひとつのテイクにぐっとくるのである。

そんな楽曲が立て続けに収録されているからこそ、とにかくアガるんだけど、、このアルバムはそれだけに留まらない。

アルバムのタイトルにもなっており、アルバムの曲順では中盤になる「花降る空に不滅の歌を」が、ここぞのタイミングで登場するのが良いのだ。

この歌は、今の世界情勢を踏まえて言葉にしたと思われる楽曲であり、色んな捉え方ができる歌ではあるが、きっと色々と思うところが出てくる歌だと思う。

「自分」がどこまでも軸になっているアルバムでありながらも、世界とか社会とかそういう部分ヘの眼差しをアルバムの核の中でしっかり落とし込むあたりにも、a flood of circleのロックンロールを感じずにはいられなくて、そこにもぐっときてしまう自分がいた次第。

こういう熱量の作品を改めて思う。

この感じはバンドにしか出せないよなあ、と。

上手いとか下手とか、技術がどうとかを調節した心の揺さぶりがこの作品にあるなーと思わずにはいられない(もちろん、a flood of circleは己のこだわりを研ぎ澄ませているバンドであることは前提ではあるが)。

心の揺さぶられ方は、今回紹介したアルバムの中でも屈指だったので、4位という形で、ベストアルバムの一枚として紹介させてもらった。

閑話休題

ベスト3位以降に関しては下記記事に記載したので、よかったら観てくださいな。

関連記事:2023年個人的ベストアルバムランキング その2

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