UNISON SQUARE GARDENの「恋する惑星」で煌めくポップでロックなセンス

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タイトルにあるように、この記事ではUNISON SQUARE GARDENの「恋する惑星」の感想を書いていこうと思っている。

んだけど、その前にUNISON SQUARE GARDENの楽曲全体の話をしたいと思っている。

というのも、UNISON SQUARE GARDENの楽曲って、個人的にふたつの軸に分けることができると思っている。

それは、ロック寄りであるか、ポップ寄りであるか、という軸だ。

『Ninth Peel』に収録されている楽曲でも、ロックとポップを軸にして楽曲を大別できるし、ロックとポップの行き来というか、この揺さぶりをかけている感じが、アルバムを通して作品の楽しむひとつのキモになっているように思う。

おや、ポップの方にえらく比重を置いてきたな、と油断させてきたら、ソリッドなテイストのサウンドでお見舞いしたり、怒涛のバンドアンサンブルで魅了したりする。

ただ、ロックな部分がより鮮烈に響くのは、ポップな部分がしっかり効いているからだ。

田淵智也って、つくづくこの揺さぶりの掛け方が上手いよなーと思う。

『Ninth Peel』の楽曲の全ての作詞作曲を手がける田淵智也は、どっちの軸に立った楽曲でも作り方が絶妙かつ精巧である。

この辺りは、アニメ主題歌を歌うアーティストやアイドルへの楽曲提供も行っているという部分も大きいかなと思っている。

これにより、「誰がどのように歌うのか」という点でロジカル的に楽曲を作るのが巧みになっていた印象だからだ。

さらに『Ninth Peel』に収録されている楽曲でもいくつか散見できるが、UNISON SQUARE GARDENはアニメタイアップの楽曲が多い。

アニメのタイアップの場合、枠と尺の中で起承転結をしっかり作り、かつ耳馴染みの良いキャッチーさも要求されるわけだが、こういうある種の縛りの中で”魅せる”のも田淵智也はすごく上手いように感じる。

だからこそ、UNISON SQUARE GARDENの楽曲って、画曲そのものにスポットをあてた際の、楽曲そのものの良さがクリアに際立つわけだし、これが効いているからこそ、ポップに振り切った際の響き方も鮮烈なのである。

一方で、UNISON SQUARE GARDENは自分たちだけのサウンドをシャープかつかっこよく研ぎ澄ませていたバンドだとも思っていて、外部的なアレンジを使わずとも、バンドサウンドだけで複雑かつスリリングな展開を作るのが上手いバンドである。

なので、究極ボーカルレスな楽曲だったとしても聴けちゃうし、魅了されてしまうのだ。

こういう土台があるから、ロックに振り切ったときのかっこよさが、より印象的に残るのである。

結果、UNISON SQUARE GARDENって、楽曲のメロディアスな部分を際立たせる楽曲構成のときも痺れるけれど、一方でバンドサウンドだけでグイグイ魅せる構成の時もかっこいいという話。

で。

そういうことを考えたとき、「恋する惑星」は完全にポップ寄りの一曲だなあと感じた。

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「恋する惑星」の話

ポップに感じる要素はいくつもある。

例えば、楽曲全体のアレンジが実にマイルドである。

バンドサウンドもそこまでゴリゴリではないし、ホーンセクションや鍵盤のアレンジを要所に入れていることもポイントになっている。

鈴木貴雄も過剰な畳みかけは行わず、バランスをとりながら楽曲を進行している印象を受ける。

また、斎藤宏介のボーカルは終始甘さが際立っており、”恋する惑星”というタイトル通りの世界観に寄り添うようなボーカルテイクが録られている。

何気に、サビのコーラスの差し込み方もポップさを演出させる、ひとつのギミックになっている印象。

この楽曲に優先事項があるとすれば、バンドアンサンブルの妙で魅せるというよりは、ある種かわいいという印象を与えるような洗練されたメロディーをするすると耳に入れるところにある、そんな風に感じるのである。

ただ、確かにポップに傾倒した楽曲ではあるものの、ちょっとした変化球を楽曲に突っ込んでいるのもポイントだと思っている。

例えば、2番のサビが終わったあとにDメロに入っていくが、ここではドラムがやたらとクラッシュシンバルを強調する流れになっている。

ドラムだけでも、明確に楽曲の調和を崩すようなアレンジを放り込んでいるのである。

さらに決定的なのが、そのあとの間奏。

ちょっと面白いのが、この間奏ではギターソロではなく、ベースのソロがメインになって展開されていくこと。

ベースという楽器がどんな音を鳴らしているのかわからない人に対しても、今うねうね聞こえているアレがベースだよ、と説明ができそうなくらいにはベースが際立つ間奏になっているのだ。

しかも、その尺がわりと長め。

それまではそこまでバンドサウンドを際立たせない構成だったように思うのに、急にちょっと違った形でバンドサウンドの存在感を際立たせることになるのである。

最後のサビが終わったあとのアウトロでは、よりバンドサウンドが顔を出すアプローチになっていて、ギターが明確に顔をだすようなストロークを放り込んでくるし、ドラムに至ってはドラっぽい音を鳴らして「おれ、ここにいるぞ」と言わんばかりのアプローチをする。

単にメロディーを聴かせるだけではなく、こういう構成で魅了する辺りも、UNISON SQUARE GARDENっぽい変化球感があって面白いし、好きである。

まとめに替えて

『Ninth Peel』というアルバムはポップとロックの揺さぶりをかけるアルバムと書いたが、実は「恋する惑星」という楽曲そのものが、ポップとロックの揺さぶりをかける楽曲になっていることに気づく。

だからこそ、この歌は面白いし、UNISON SQUARE GARDENってバンドは面白い。

そんなことを思うのである。

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