SixTONESの「GONG」が紡ぐ新たな歌割りの世界、そしてそこからの興奮の考察

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どんな食べ物でもこれが自分の頭の中でのデフォルトだ!ってものってあると思う。例えば、カレーであれば「ある程度は辛いのが普通」って考えている人が多いだろうし、スイーツであれば「ある程度は甘いのが普通」って考えている人が多いだろうし、漬物であれば「ある程度はすっぱいのが普通」って考えている人が多いだろう。

でも、こういう常識があるからこそ、その裏をかく旨さに出会ったときの興奮は非常に大きい。

甘いカレーに出会ったときの印象は強烈だし、渋みが旨さの秘訣になっているスイーツに出会ったときのインパクトは強いものになるし、酸っぱくない漬物が与える旨みの衝撃って大いなるものだ。

要は、王道の方向が固まったときに、その王道とは違う色合いをちらつかせたときのインパクトって強烈、という話。

SixTONESの「GONG」もまた、そういう要素を感じさせる楽曲だなーと思っている。

どういう意味か?

もう少し具体的に話をしていこう。

本編

ちなみに、「GONG」における、「その逆をいく要素」は2種類のものを感じることができる。

まず、SixTONESの楽曲の傾向を考えたとき。

SixTONESのこれまでのシングル曲やアルバムの楽曲を聴くとわかるが、SixTONESは色んなテイストの楽曲を歌う。

「音色」のように、美しいハーモニーを響かせるポップソングを歌うこともある。

今回のシングルでいうと、「ここに帰ってきて」は、そういう路線の延長線上にある楽曲だと思う。そうやってこれまでのディスコグラフィーを振り返ってみた時、SixTONESの楽曲の魅力のひとつとして、

・6人のボーカルが紡ぐハーモニー
・その上で、ジェシーと京本大我が軸になる屈強な歌の美しさ

上記があるように思う。

だからこそ、「音色」であれ「ここに帰ってきて」であれ、歌を聴かせるための構成を重視している楽曲に出会うと、SixTONESの魅力がダイレクトに伝わるし、SixTONES感を存分に堪能することができる。

ああっ・・・今自分はSixTONESの魅力をどっぷり堪能しているぞ・・・!

そういう興奮を味わうことができるわけだ。

で。

そう考えた時、「GONG」って、けっこう異端な楽曲だと思う。

なぜなら、この楽曲には甘い歌声も、ゆっくり歌を聴かせる構成もないからだ。

アッパーかつアグレシッブな歌声を披露していく。歌の系統だけで言えば、「GONG」は「音色」の逆をいく世界観を作り上げている印象。

つまり、これがひとつめの「その逆をいく要素」であると考える。

しかし、ここで疑問が生じる。

確かに今作は「音色」とは違う毛色かもしれないが、ロック調のSixTONESの楽曲はこれまでもあったぞ、と。なので、ロック色が強いだけでは「その逆をいく要素」にはならないんじゃないか、と。これまでの楽曲でいっても、「こっから」や「ABARERO」などアッパーでパンチ力のある楽曲はいくらでもあるぞ、と。

確かにその指摘はごもっともではある。先ほどとは別軸で挙げられるSixTONESの魅力として

・どんなジャンルもやりきる凄まじさ
・そして、最終的にそのジャンルを超克して、SixTONESそのものをジャンルにする凄まじさがある

上記があると思っている。結果、ポップもロックもヒップホップも関係なく、ジャンル性を研ぎ澄ませながら、SixTONESだからこその色合いも鮮烈に与えてきた印象だった。

確かに「GONG」という楽曲は、そういうSixTONESの魅力の延長線上で語ることができる。ただその魅力を考察していく中で、じゃあ「GONG」って過去のSixTONESのなんらかの楽曲と似ているか?と言われたら、個人的には思い付かない。

もちろん、ざっくりとした楽曲分類なら○○系だよね、と言えるけれど、「GONG」という楽曲が持つ核の魅力で考えると、これまで色々とチャレンジしてきたどのジャンルとも違う境地にいる。むしろ、これまでの楽曲の枝葉の魅力だけで比較していくと、「その逆をいく要素素」を感じさせる楽曲になっている。

特筆するべきは、がなり声がベースになっているボーカルにある。

歌が魅力のアーティストが、あえてボーカル全員そういうテイストで歌を魅せるのだから、やっていることは相当チャレンジングだと思う。

なんならその結果として、これまでのシングル曲とは異なり、歌割りとして田中樹が軸になっている部分が多いところも、今作の新たなポイントのひとつであると思う。

様々な楽曲を歌ってきたSixTONESとしてみても、新しい色合いを感じることができる楽曲になっている。

ただ、こうやって聴いていると、同じ方向性でもって6人のボーカルが進化と変化を遂げていき、スマートかつスリリングなマイクリレーを披露していき、楽曲が持つジャンル性を確固たるものにしていきながら、SixTONESというジャンル性を拡張していく・・・。

そういう意味では、今作もなにひとつぶれていないことに気づく。

楽曲としてのアプローチはまったく違う。完全に新しい。

でも、辿り着く境地は同じというか・・・。

そういう意味でも、SixTONESってやっぱり半端じゃないアーティストだと感じる自分がいる。

まとめに代えて

これまでの”アイドル”では取り組んでこなかったような方向からのアプローチでもって、強烈なインパクトを与える。

しかも、SixTONESらしい魅力を持ちながらも、これまでのSixTONESとは違うアプローチでもって、新たな興奮と感動を与える。

「GONG」には、そういう凄さを覚えさせてくれるわけだけど、楽曲の魅力自体は実際に聴いたら痛烈に伝わると感じたので、今回の記事では楽曲を聴くにあたるまでの、もっと事前の部分の説明を厚めにして言葉を綴ってみた。

「GONG」という楽曲をより楽しく聴くための、ひとつの視点になればいいなと思っているし、SixTONESって凄いって言われているけど何が凄いの?という疑問に対するひとつの補助線になればいいなと思っている。

そんな次第。

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