KANA-BOON「SUPERNOVA」が貫く中毒性の考察

谷口 鮪が生み出す不動の中毒性

楽曲を聴いていて、つくづく思ったんだけど、KANA-BOONの中毒性はえぐい。2010年代の邦ロックをそれなりに浴びてきた自分としては、本能レベルで突き刺さる波動がある。

KANA-BOONって、バンドとしてはあまりにも色々あった。

2010年代のあの頃と今を比較すると、想像していなかった変化を遂げた。

でも、KANA-BOONだからこその中毒的なビートメイクや、言語化不能な、でもどこまでも強烈なエネルギーを与えてくれるKANA-BOONだからこその魅力は、今なお変わることなく輝いている。

「SUPERNOVA」を聴いて、改めてそれをひしひしと感じている。

谷口 鮪のセンスが、詰まりまくったこの感じ。

疾走感のあるビートメイクの上で、高速的なメロディーなのに口ずさめるキャッチーなメロディーラインを折り重ね、そこに変化球のない日本語歌詞をのせたときの圧倒的なセンス。

谷口 鮪って、マジでこういう歌の組み立て方が信じられないくらい上手い。

故に、楽曲から漏れ出る中毒性は、半端ないことになるのだ。

カレーって本来飲むものじゃないし、いくら美味しくても飲むのはけっこうきついじゃないですか?

でも、本当に絶妙な味付けのカレーは”飲める”ように食べられると思うんですよね。

例えるなら、KANA-BOONの音楽にも、そういう半端なさがあるのだ。

本来の要素ひとつひとつは、それだけでお腹いっぱいになるような情報の集積のはず。

でも、谷口 鮪にかかれば、それがミックスされて「飲める」ものになる。

絶妙なバランスで、それらの要素に味付けを与えてくれるから。

まるで”美味すぎてカレーを飲めちゃう”くらいの奇跡的な体験を、音楽で与えてくれるのだ。

てんこ盛りなのに、何杯でも軽やかに聴けちゃう=圧倒的な中毒性、という等式がなりたつような音楽がそこにあるのだ。

では、「SUPERNOVA」のどこに、そういう魅力があるのか、という点を掘り下げて話をしてみたいと思う。

KANA-BOONらしいけれど、最新感もある構成

今作って、これまでのKANA-BOONの楽曲に通底するようなキャッチーさがある。

でも、原点回帰って感じでは、特にない。

むしろ、今のKANA-BOONが詰まった最新感がある。

遠藤 昌巳が生み出すハツラツとしたビートメイクと、エッジの効いたギターリフが組み合わさった最強攻撃的な音のフォーメーション。

そこに加えて、タイトかつ激しさのあるドラムが組み合わさるからこその、新境地のアグレッシブさが爆発的に展開される。

よくよくドラムのビートを聴くと、この歌ってそこまでビートは”細かく”はない。

んだけど、谷口 鮪が細かくボーカルの中で展開を作るからこそ、ビートの装い以上に、体感としての歌の疾走感を覚えるし、どこまでも楽曲がドライブしていく高揚感を感じることができる。

こういうメロディーやリズムに瑞々しい輝きを与えるのは、谷口 鮪のボーカルが為せる技。

甘いのに鋭くて、聴きやすいのに突き抜ける感じ。

しかも、谷口 鮪の熟達した表現力が合わさって、よりそれが最高潮になっている感じ。

だからこそ、これまでのKANA-BOONらしさもあるんだけど、新しい魅力も随所に感じることになるのだ。

あと、間奏ではしっかりギターソロで展開を作るのも良い。

ぎゅいいいんとか、きゅいいいいんとか随所にみせる。あのギターの展開だけでも、何倍もメシが食える。

あと、楽曲の後半の展開も良い。

少しリズムを落として、もうひとつ展開を作る流れ。

そして、最後の大サビで、ぐっと歌に引き込まれる展開させるなのが良い。

・・・と思ったら、谷口 鮪がカウントしたら、最後の最後は楽曲をフルドライブさせて、イントロと同じリズムアプローチのままに、楽曲を終わらせる流れなのも良い。

日本語ロックの新境地

近年、日本語のロックの様相が変わりつつある。

あえて言えば、”泣き”を誘発するか、”踊り”を誘発させる歌が多い印象。

でも、KANA-BOONってそのどちらとも少し異なるワクワクを与えてくれる。

ロックバンドとしてのゴリゴリと、ワクワクするビートメイクの組み合わせ。

10年代のフェスシーンにどっぷりだった人からすると、遺伝子レベルで組み込まれた何かを爆発させてくれる、そういうリズムアプローチがあるのだ。

KANA-BOONはそういうハツラツとしたリズムの上、どっしりした日本語ロックで展開する。

英語読みの歌詞においても、日本語としての魅力をまぶした歌い方をする潔さ。

かつ、それがもっとも歌として「良い」に着地させるのは、谷口 鮪の手腕が為せる技。

こういうところがしっかりしているからこそ、テンポは早いのに、しっかり口ずさめる歌を生み出しているように感じる。

まとめに代えて

KANA-BOONはやっぱり今でもこの日本のバンドシーンにおいて、不動の存在である。

「SUPERNOVA」を聴いて、改めてそんなことを感じた自分。

KANA-BOONにしかない高揚感を、ぜひ色んな人に堪能してほしい。そんなことを感じる夜。

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