個人的10年代邦楽ベストアルバムランキング
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某雑誌が10年代の音楽を総括するような特集を組んでいたので、せっかくなので、自分のブログでも10年代のアルバムランキングを総括してランキングをつけてみようと思う。
この10年代というのは、けっこう自分にとって怒涛の10年間だった。
10年代の始まりはまだ大学生で、数年経つと社会人になる。
そこからさらに数年が経つと音楽ブログ(というほどのものでもないけど)を更新するようになり、今に至る。
音楽を聴く、ということに関しても、CDを購入したりレンタルして聴いていた時代から、いつしかサブスクメインで視聴するようになり、色んなレベルで視聴環境が変化した10年間でもあった。
なので、10年を見通すと音楽の好みだったり、「良い」と思うベクトルがけっこう変わっていってる部分もあって、なかなかひとつの軸で10年を語るのは難しいなーと思うんだけど、それぞれの年の感覚と今の感覚を帳尻をあわせながら、ランキングにできたらなーと思う次第。
ただ、いきなりばーっと10年を総括したランキングをはじめるのは、選ぶうえでちょっと難しいので、各年それぞれ個人的に「良い」と思うアルバム5枚セレクトして、その上で最終的な「個人的10年代邦楽ベストアルバム」を決めたいと思う。
なお、別記事で下記のような記事をあげたが、今回の記事ではバンドもポップスも関係なく、選べたらなあと思う次第。
2010年の個人的ベストアルバム
andymori 『ファンファーレと熱狂』
BUMP OF CHICKEN 『COSMONAUT』
フジファブリック 『MUSIC』
ONE OK ROCK 『Nicheシンドローム』
サカナクション 『kikUUiki』
2011年の個人的ベストアルバム
サカナクション 『DocumentaLy』
ももいろクローバーZ 『バトル アンド ロマンス』
andymori 『革命』
the band apart 『Scent of August』
SiM 『SEEDS OF HOPE』
2012年の個人的ベストアルバム
くるり 『坩堝の電圧』
クリープハイプ 『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ
Fear, and Loathing in Las Vegas 『All That We Have Now』
The Mirraz 『言いたいことはなくなった』
米津玄師 『diorama』
2013年の個人的ベストアルバム
サカナクション 『sakanaction』
ゲスの極み乙女。 『踊れないなら、ゲスになってしまえよ』
BRAHMAN 『超克』
KANA-BOON 『DOPPEL』
星野源 『Stranger』
2014年の個人的ベストアルバム
くるり 『THE PIER』
銀杏BOYZ 『光のなかに立っていてね』
きのこ帝国 『フェイクワールドワンダーランド』
WANIMA 『Can Not Behaved!!』
KOHH 『MONOCHROME』
2015年の個人的ベストアルバム
星野源 『YELLOW DANCER』
パスピエ 『娑婆ラバ』
Not Wonk 『Laughing Nerds And A WALLFLOWER』
ken yokoyama 『ken yokoyama』
cero 『Obscure Ride』
2016年の個人的ベストアルバム
宇多田ヒカル 『Fantome』
スピッツ 『醒めない』
クリープハイプ 『世界観』
きのこ帝国 『愛のゆくえ』
UNISON SQUARE GARDEN 『Dr.lzzy』
2017年の個人的ベストアルバム
米津玄師 『BOOTLEG』
Suchmos 『THE KIDS』
パスピエ 『&DNA』
indigo la End 『Crying End Roll』
Hi-STANDARD 『THE GIFT』
2018年の個人的ベストアルバム
三浦大知 『球体』
RADWIMPS 『ANTI ANTI GENERATION』
UNISON SQUARE GARDEN 『MODE MOOD MODE』
星野源 『POP VIRUS』
クリープハイプ 『泣きたくなるほど嬉しい日々に』
2019年の個人的ベストアルバム
サカナクション 『834.194』
THE NOVEMBERS 『ANGELS』
ヨルシカ 『だから僕は音楽を辞めた』
Official髭男dism 『Traveler』
長谷川白紙 『エアにに』
というわけで、各年の個人的なベストアルバムを5枚選んでみました。
それでは、ここから10年代の個人的ベストアルバムを決めたいと思う。
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個人的10年代邦楽ベストアルバムランキング
第10位:ももいろクローバーZ 『バトル アンド ロマンス』
ガールズアイドルグループとしてはもちろん、日本のポップス的にも新たな視界が開けたようなアルバム。
東日本大震以降という文脈を背負いつつも、気張ったメッセージ性ソングに落とし込まない軽やかさも絶妙だし、ももクロだからこそのキャラクター性をきちんと発揮しつつも、間口の広いポップソングとしても求心力が高い歌が目白押しものも秀逸で。
冒頭の「Z伝説 〜終わりなき革命〜」はもちろん、ボーナス・トラックのような位置づけの『ももクロのニッポン万歳!』まで、ももクロにしかできないアプローチと高いパフォーマンスで発揮されているのが流石すぎる。
キュートさもあるし、アグレッシブな迫力もあるしで、無双状態。
前山田の楽曲を中心に、ジェットコースターのようなな爆発力のある展開も流石だし、アイドルソングという観点からみても楽曲精度、キャラクターの魅せ具体、キャッチーさや中毒性どれをおいてもレベルが高いよなーと思ってしまう作品なのである。
なんにしても、ももクロにしかできない表現が詰め込まれたこの作品は、日本のポップスシーン的にも、ガールズアイドルグループとしても、圧倒的なキラメキを放った作品だと思うわけだ。
第9位:サカナクション 『sakanaction』
バンド名をタイトルにした意欲作。
実験的音楽という装いがありつつも、きっちりキャッチーさも伴わせている辺りが流石だし、アーティスティックなアルバムでありながらも単なるマニアックな作品に堕していないところも良い。
全体的にダンサンブルな印象が強く、よりバンドが持つクラブミュージック的な性質を色濃くした印象のアルバム。
ダンスとロックの融合がトレンドになり、ロックフェスシーンにおいても「踊らせること」=直接的な盛り上がりに繋がるため、バンドの多くが「フェスで盛り上がるためのアプローチ」を楽曲に取り込むことで躍起になっている中、「夜の踊り子」や「ミュージック」でシーンを沸かせたサカナクションのアウトプットは、やはり凄まじいものがあると改めて思ってしまう。
あと、本気で音楽シーンを変えていこうとするサカナクションの気迫も音にのっているような気がして、そこも良い。
10年代のバンド音楽を語るうえでも重要な作品のひとつだと思う。
第8位:BUMP OF CHICKEN 『COSMONAUT』
<宇宙>に視座を向けたBUMP OF CHICKENらしい魅力が詰まったアルバム。
個人的には、バンドサウンドを研ぎ澄ませるだけ研ぎ澄ませて、その中で極限まで高いレベルのアウトプットを行うという気迫がこのアルバムには感じられて、そこがとても好きなのである。
冒頭の「三つ星カルテット」だって、今までのBUMP OF CHICKENではあまり行わなかった複雑なビートメイクの歌だし、バンドとしてのBUMP OF CHICKENのテクニカルな面での本気を随所に感じる。
BUMPらしいモチーフを出発点としながら、はっきりと楽曲の中でバンドとしての円熟みを感じさせていく。
結果として、こういう<バンドの限界に挑戦する>みたいな路線のアルバムはこれっきりになってしまったが、個人的にはまたいつか、こういうバンドアレンジで手掛けたアルバムを聴いてみたいなとぼんやりと思っている。
第7位:米津玄師 『BOOTLEG』
海賊版という意味を名付けたこのアルバム。
ボカロだったり、影響を受けたバンドだったり、自分の音楽を構成するうえで土台となったエッセンスを作品に投影させることで、結果的に他のアーティストにはない革新的なポップスを生み出していくスリリングさがこのアルバムにある。
内向性が強かった米津玄師のアルバムにおいて、大きく外に向けて開けた感触を持つのも面白さの要因のひとつ。
菅田将暉をはじめ、ゲストを招聘して自身のアウトプットに新たな変化を与えている部分にも、このアルバムの深みを生み出しているように思う。
米津玄師が色んな意味で大きな飛躍を遂げたアルバムとなったし、米津玄師の大きな飛躍が日本のポップス全体にも大きな影響を与えたという意味で、このアルバムが持つ影響は想像以上に大きいよななんてことも思うのである。
第6位:andymori 『ファンファーレと熱狂』
初めてこのアルバムを聴いたときは、なんだかとんでもないアルバムと出会ってしまった、という形容のしがたい興奮を覚えたのである。
凛とした鋭さを持つ歌声にもそれを感じたし、爆撃のように突き進むシャープかつスマートに研ぎ澄まされたバンドサウンドにもそれを感じた。
生き急いでいるような妙な切迫感も覚えるんだけど、どこまでも音楽に対しての自由なような、牧歌的な性質も感じる。
ほんtに、不思議な魅力をもったアルバムなのである。
とにかく今まで自分がワクワクしてきたバンドとは違う衝動をこのアルバムから感じたことは、確かだった。
「1984」で美しくはじまったかと思ったら、次の「CITY LIGHTS」では一瞬で駆け抜けていき、そのまま息をつく間もなく、終息を向けて突き進んでいく感じがたまらない。
第5位:サカナクション 『DocumentaLy』
人によっては『sakanaction』を10年代のサカナクションの名盤に挙げる気がするが、個人的には『DocumentaLy』の方が好きだったりする。
なんというか、『DocumentaLy』の方が生のバンドとしてのサカナクションのエッセンスが残っていて、ロックとダンスの融合をよりスリリングに感じられる気がして、良いのである。
アートに対する嗅覚だったり、アウトプットに対する妥協のなさは『DocumentaLy』でもいかんなく発揮されている。
タイトルひとつとっても<R>ではなく<L>を使って『DocumentaLy』という言葉にしていて、細部へのこだわりを感じさせる。
「ルーキー」や「エンドレス」のように、バンドとダンスミュージックの融合のさせ方へも妥協がなく、曲が進むにつれて楽曲の表情と音色が大きく変わる展開は流石の一言。
ある種の内向性と、外側のシーンを貫くような溌剌さの両方を持ち合わせているところも、グッとくるポイント。
第4位:星野源 『YELLOW DANCER』
星野源の作品は膨大な知識をベースにして生み出された対象に対する圧倒的な愛とリスペクトで構成されることが多いと思っていて。
『YELLOW DANCER』は、先人が生み出した音楽に対する愛とリスペクトをベースにしながら自分のクリエイティブに落とし込んでいる凄まじさを感じる。
ソウルやファンクのエッセンスを再解釈して構成しなおし、自分のポップスの土壌にのせていく。
オタク的な眼差しが大きく視界を開き、大衆的なレベルの輝きに満ちた快作、と言ってもいいのかもしれない。
日本のポップシーンに新たな風を送り込んだという意味でも、『YELLOW DANCER』は名盤だと思っている。
第3位:くるり 『THE PIER』
くるりほど、どのアルバムが一番好きか、を決めるアーティストもいないと思うのだ。
その理由は単純で、どの作品もクリエイティブの方向性が大きく違うのに、完成度が高いからだ。
「THE PIER」が凄いのは、●●っぽいとか●●と●●の融合みたいな言葉で作品を評価させないような、細かな織物のような刺激性をはらんでいるところ。
ストリングスやホーンセクションを組み合わせることはもちろん、民謡的な響きを持つ歌も登場するし、異国情緒溢れるサウンドの楽曲もある。
しかも表面的なサウンドの装いを色替えしているのではなく、サウンドの裏の音(というと変な言い方になるが)も細かく作り込んでいて、澄まして聴けば聴くほどサウンドにおける凄まじいクリエイティブのこだわりを体感できるのである。
バンドそのものの形を変えて、様々なアウトプットを手掛けてきたくるりだからこそたどり着けた境地。
凄まじい音楽作品の結晶のような作品だと思う。
第2位:宇多田ヒカル 『Fantome』
8年ぶりにリリースされた宇多田ヒカルのアルバム。
8年ぶり、というところにテンションが上がったのも事実だが、その8年の進化が想像のレベルを超えていたところが、このアルバムの凄まじさ。
ひとつひとつの音の響きにこだわっていて、ドラムの何気ない響きひとつとってもドキドキさせられる作品になっている。
「道」や「花束を君に」のように自身のこと、母のことを赤裸々に語った私小説的な歌があるかと思えば、「忘却」のような外部とのクリエイティブを華麗に融和させることで、宇多田自身のクリエイティブを拡張するような凄まじさも合わせて魅せつける。
言葉選び、音色、楽曲展開、曲のレパートリー含めて、宇多田ヒカルにしかなし得ない表現に落とし込まれていて、ゾクゾクとドキドキが止まらなかったので、この順位に。
第1位:三浦大知 『球体』
アルバムというフォーマットの表現として、新たな視座を与えたような革命的な作品。
計算された言葉遣いやアートワーク、近未来的な世界を感じさせる物語的な歌詞群たちも大きな魅力のひとつだが、サウンドのひとつひとつも革新的。
騙されたと思って一曲を聴いてもらえたら、きっと言いたいことがわかる。
<アルバムを通して表現する>ことに対する気迫が圧倒的に美しいのである。
ポップスとアート性を華麗に融合させつつ、超越的なエンターテイメントに着地させていくのだ。
ほんとに色んな観点で楽しめる作品となっていて、もっと色んなところで話題になったらいいのにとずっと思っている。
観ても、聴いても、読んでも驚かされるNao’ymtと三浦大知の本気がこの作品には、余すことなく細部にでもぎっしり詰め込まれているのだ。
10年代全体を振り返ってみても、このアルバムは良い意味で異質で、圧倒的な存在感を放っている。
そのように思う。
まとめ
とりあえず、自分の趣味はコレです!ってそういう記事です。
あれがない、これがないという意見は人の数だけあるかと思いますが、何らかの参考にしてもらえたら嬉しい限り。
では、今回はこの辺で。
ではではでは。
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