よくバンドを勧めるとき、○○さんは○○が好きだから、○○とかオススメかな〜みたいな切り口でオススメバンドを勧めたりする。

スポンサーリンク

これはその人の好きなバンドと勧めたいバンドから類似点を汲み取り、好きなバンドとこれだけの類似点があるから、これ勧めてもハマるでしょ?って寸法なわけだ。

勧めるならこのやり方が一番良い。

けれど、これってそのバンドが売れる売れないで考えたら、けっこう微妙なところがある。

流行のなかで売れる、というときには類似点の強調というのはすごく役に立っていて、実際、インディーズシーンでは、劣化版マイヘアがそこそこ人気になっている現状がある。

けれど、本当の意味で売れるバンドというのは、類似点よりも差異がポイントになるはずなのだ。

差異=他のバンドとは決定的に違うポイント。

ここが明確に打ち出せるかどうか。

誰かに勧める際も、差異がきちんと説明できるバンドが本当の意味で強いバンドだし、売れるバンドだと思うのだ。

このバンドは○○ちゃんの好きな○○とここが似ているから好きになりやすいと思うんだけど、ただこのバンドは他の○○と違って、○○があるから(秀でてるから)すごく良いんだよね〜みたいな。

まあ、別に勧めるときにここまでいう必要はないけれど、ここがちゃんと言えるバンドは、素直に売れる!といえるバンドだと思うのだ。

もちろん、どこのどういう部分に差異を見出すのかはリスナー判断になるわけだけれども。

さあ、死ぬほど枕が長くなってしまった。

今、もっともあらゆる観点で差異を突きつけているバンド。

そのひとつが、King Gnuだと思うのだ。

King Gnuの差異とは?

これだ。

King Gnuの音楽ってKing Gnu感がすごくある。

似ているバンドを出せって言われても少し困ると思う。もうこの時点で勝利している。だから、King Gnuはブレイクしているのだ。

もちろん、King Gnuの特徴を言葉として表すなら、色んなジャンルを横断して、それをミックスさせていて「洋物の香りがするけれど、ポップな感じもするし、きちんと歌モノとしても着地させている、そんなバンド」みたいな評になっちゃうと思う。

仮にこういうふうに表現したとき、洋物の香りがするけどポップというキーワードをプッシュしたとき、それだけの要素ならば、今のバンドシーンでも他に似ているバンドはいくつか思いつきそうなものである。

けれど、King Gnuと似ているバンドはあまり聞かない。

仮に○○は似ているんじゃないすか?と突っ込まれたとしても「いや、でもここはちゃうくないっすか??」とすぐに突っぱねることができる

なぜなら、King Gnuにはセールスポイントが死ぬほどあるから。

例えば、ボーカル。

メインボーカルは井口理である。

井口理は甘い歌声で、あえて言うならぼくりり君のような、中性的な声質をしている。

一方、King Gnuにはもう一人ボーカルがいる。

常田大希である。

彼の声はガレージ感があるというか、ロックバンドのボーカルって感じの声をしている。

この二つの声が見事に融和しているのだ。

これだけでも、King Gnuの音楽は他に比べて大きな差別化をしていると思う。

聴いてもらったらわかると思う。

この歌だと、メロパートは常田大希が歌っていて、サビは井口理が歌っている。

二つのボーカルがしかるべきパートを歌うことで、歌詞の世界観も、バンドサウンドやメロディーにも立体感が出てくる。

特に、井口理のボーカルは、洋楽の影響を受けているバンドにありがちな、取っ付きにくさとか、偏差値が高い感じのする退屈さみたいなものを上手く解体してくれていて、King Gnuの歌モノ的な部分をしっかり魅せる武器になっている。

このバンドの頭脳は常田大希なのだが、もし仮に常田大希一人がマイクを取っていたとしたら、もう少し取っ付きにくいというか、人を選ぶ音楽になっていたと思う。

けれど、井口理がボーカルを務めることでKing Gnuのメロディーの良さが見えやすくなっているように感じるし、ポップス感、メロディーのセンス、歌モノ感が際立つようになっている。

逆に言えば、井口理だけがマイクを取るのではなく、曲に応じて常田大希がマイクを取っていることもすごくポイントだ。

曲に応じて、二人のボーカルが絶妙なバランスをとるから、King Gnuの音楽はより立体感が出てくるし、メロディーの良さ、サウンドの良さが際立つのである。

スポンサーリンク

バランスの取り方が秀逸

King Gnuって何事に対してもバランスの取り方が上手い。

先ほど述べたボーカルの話でもそうだし、バンドサウンドの話にもそれは敷衍できる。

例えば、King Gnuの曲ってギターはゴリゴリのくせに、リズム隊はブラックミュージック感が強いことが多い。

あるいは、メロパートはすごく洋楽チックなのに、サビはJ-POP感があってすごくキャッチーだったりもする。

楽器のパート単位でいっても、ボーカルが歌っているときのベースは基本に忠実だけど、ボーカルがなくなったら、急に存在感を出すということもあるし、先ほど動画で挙げた「Flash!!!」で言えば、ギターはゴリゴリなのに、EDMくさいシンセをボリボリ載っけてくる、そのバランスの取り方も秀逸である。

もちろん、曲に応じてバランスの取り方は色々と違ってくるんだけど、総じて言えるのは、とにかくバランスの取り方が上手いということ。

そして、このバランスの取り方というのは、バンドシーンの立ち位置をみても感じることだ。

例えば、洋楽の香りのするバンドは今のシーンにもたくさんいる。

普通に洋楽のエッセンスを自分たちの音楽に還元するだけならば「ただの上手いバンド」で終わっていた可能性もある。

けれど、彼らは違った。

きちんと、自分たちはどういう立ち回しで音を鳴らすべきなのか?みたいな、そういうシーンを俯瞰したうえでバランスを取っている、そんな音の組み方をしているように感じるのだ。

というよりも、ひとつひとつのことに対して客観的、俯瞰的になりながら音を組み立てているから、自然と最適なバランス感覚、距離の取り方でモノを作り、ライブができていると言うべきなのかもしれない。

だからこそ、King Gnuの音楽って唯一無二になっているし、他と比べて〜の部分がしっかり見えて、差異が明確になってくるから、はっきりと「これが良い」と言えるのである。

部分部分だけでみれば、King Gnuが使うモチーフというのは、新しい発明は少ない。(あくまでも要素の組み合わせで個性を作っているバンドだから)

けれど、ひとつひとつの組み合わせ方、バランスの取り方が非常に巧みであり、そこから見事に差異を生み出しているからこそ、King Gnuの音楽はグッとくるのだ。

もちろん、それができるのは、メンバー全員の演奏やボーカルがすごく上手いからであり、技術的なアプローチに文句のつけようがないから成立しているんだけどね。

技術的に上手いというところから、さらに発展させたところで音を鳴らしているから、グッとくるポイントが高いんだよなーという話。

あとは、ライブの立ち振る舞いもわりと独特だったりする。ドラムとかすげえカッコよく叩くし。なによりギターの常田大希の立ち振る舞いが、圧倒的なオーラを放っているし。

まあ、色々と褒めるポイントが多いからKing Gnuは凄いし、魅力的なんだけど、その中でも特にバランス感覚が優れていて、きちんと差異が見えてくるからこそ、その魅力ポイントが何倍にも膨れ上がっているんです、っていうそういう話です。

たぶん。

関連記事:なんでKing Gnuってバズったの?

関連記事:ボーカルの顔面のちらつき方が気になるMV特集

スポンサーリンク

LINEで送る
Pocket