ポップスしか聞かない人にも邦ロックを勧めたいみたいなこと、どんな人でも一度や二度はあると思うのだ。

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あいみょんの「君はロックを聴かない」的なお話。

まあ、ロックを勧める相手への関係性は脇に置いておくとして、ロック愛好者がロックをまったく聴かない人にロックを勧めようするとき、たまにロック愛好者のロックに対する愛がすごすぎて、そこで重大なるミスを犯すことがある。

ありがちなミスとして挙げられるのが、入門編として勧めたロックがやたらと重すぎる例。

僕の知り合いは、ポップス大好きな友達をロックの世界に引きずり込もうとした際、ロック入門編として誤って最初にFear, and Loathing in Las Vegasを聴かせてしまっていた。

以後、そいつはロックというジャンルに恐怖心を覚えてしまい、ロックに対する恐怖心を解いて、ライブ童貞を捨てるまでに以後数年の月日を費やすことになる。

果たして、そのとき彼にCrossfaithやCrystal Lakeなんかを聴かせていたとしたらどうなっていたんだろうと想像すると、夜も怖くなって8時間くらいしか寝れなくなってしまう。

まあこれって、それぞれが音楽に求めてる部分がまったく違っていたから、そういう拒絶反応が生まれてしまったという話だと思うのだ。

メロディーを聴いたり口ずさめたりするものこそが音楽でしょ?みたいな人が、声をつぶしながら発狂しているようなボーカルを聴かされてしまったら、その音楽をどう楽しんだらいいのか理解することができず、拒絶反応を示してしまうというわけである。

そういう意味で、ロックと一般リスナーとの間に溝って生まれがちだったりして。

そんなロック嫌いの人でも安心してオススメすることできるバンドがいる。

sumikaである。

まあ、このバンド、iTunesではもはやロックというカテゴリーではなく、ポップというカテゴリーにされてしまってはいるのだが。

前置きはさておき、この記事ではsumikaの話をしていきたいと思う。

メロディーが良い

sumikaって何がいいんだろうと話をしたとき、まず最初に挙げられるのがメロディーの良さだと思う。

一度聴いたらメロディーが頭に残るし、そういう頭に残るメロディーを一度や二度ならず、リリースするたびに生み出している。

それが凄い。だから、sumikaにハマる人がたくさん出るわけだ。

邦ロックの歌って、ロック特有のリズムに慣れていない人にとっては口ずさみにくい歌が多いけれど、sumikaの歌って、いわゆる90年代のポップスに親しんでいる人にとっても馴染みやすい歌メロ感があると思う。

純粋なメロの良さでリスナーの数を増やしているバンドという意味では、back numberなんかに似ているなーと個人的には思う。(上記に歌においては、歌詞の共感のさせ方もback numberに似ているように思うし)

「Answer」ではそれこそ、back numberの代表曲でアレンジャーとして関わっている蔦谷好位置をアレンジャーに迎えていたし、わりと共通点の多い両者。(バクナンの「大不正解」は蔦谷好位置アレンジの曲である)

ただ、sumikaに限って言えば、良い意味でアレンジャーに依存していないというか、sumika自身の曲に対するアプローチの幅が広いなーと、初期のアルバムなんかを聴いても感じる。

間違いなくその名前を全国区にした代表曲である「Lovers」だって、当時のsumikaにしたら異端中の異端な楽曲だったんだけど、そういう変わり種のアレンジ曲を隙のないクオリティで生み出せるのがsumikaの凄さと言えるわけだ。

件の蔦谷好位置だって、sumikaの曲に関しては、自分が手を加えてなくてもデモで既に完結しているって言ってたみたいだし。

こういうアイデアの引き出しの多さがsumikaの強さだし、「ポップス好きな人」にも愛される理由なのだろうし、曲を出すたびにファンを増やしている最大の理由なのだと思う。

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メロが良くて売れなかった下積み時代

まあ、そういうポップな路線にsumikaが行ってしまったことを嘆く昔のファンもそれなりにいるっちゃいたりはするんだけども。

というのも、sumikaってポッと出のバンドじゃなくて、banbiという前身バンドで10年間以上のキャリアを積んできたわけだ。

ちなみに、banbiの頃から片岡健太のボーカルの強さとメロの強さは健在である。

sumika名義で最初にリリースしたミニアルバムは「新世界オリハルコン」になるが、このアルバムはわりと男臭さというか、banbi臭が強い作品になっているように思う。

以降、そういう空気を継承しつつも作品をリリースするごとに「こんなこともできるんだぜ」「あんなこともできるんだぜ」という引き出しの多さを見せつけることになる。

「ふっかつのじゅもん」はそんな流れで生み出された名曲だとも思う。

やがて、高校生の時にフジテレビの番組とんねるずのみなさんのおかげでしたの人気コーナーである「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」で圧倒的な存在を放っていた、元from a novelであるボーカル・キーボードだった小川 貴之がメンバーに入ることで、バンドの色はさらにカラフルなものになる。

いや、ほんと、この小川 貴之、マジで芸達者なんですよね。

めっちゃええ声やんけ、という話で。

まあこうやって過去を紐解いていくと、むしろようやくsumikaは売れたのか、逆に時間かかりすぎでしょ?ってくらいのバンドだし、きっちりと下積みを重ねたからこそ、出す曲出す曲が良い曲だったり、ライブも圧倒的なんだろうなーって思ったりもするわけで。

苦労しながらも芯を持ってバンド活動に取り組んだからこそ、ようやく不動の地位を手に入れたんだなー的な。

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個人的にはリズムの当て方が好き

sumikaって人によって歌詞が好きとか、ボーカルの声が好きとか、メロディーが好きとか色々あるけれど、個人的にはポップスっぽいメロディーとアレンジながら、リズムに対する意識がすごく強い歌が多くて、そこが好きだなーと感じる。

出世作と言っても過言ではない「ふっかつのじゅもん」なんて、まさしくリズムゲー曲みたいなところがあって。

絶対これやったらフェスでやったら盛り上がるに違いない!っていうリズムの刻み方をこれでもかと詰め込んでいる。

冒頭のこ、こ、こ、こ、って始まりもそうだし、全体を通じて裏打ちを意識させるシンバルのドラムもそうだし、2番のAメロではテンポを一度落とすところもそうだし、それ以外でも言葉とリズムの当て方が本当に細かくて。

「Lovers」でも、全編を通してはねるようなリズムで奏でられているところが、フェスシーンなんかでもウケが良いポイントのように思うし。

サビで「ねえ!」と合いの手を入れるリズム感覚もそのひとつだと思うし。

新曲の「ファンファーレ」でも、イントロのドラムの打ち方が小節ごとにコロコロ変わっていることがわかる。

メロラインでも、ドラムが細かいリズム誘導を行うことで、単純に良いメロディー以上のワクワクする仕掛けをたくさんつくっていることがわかる。

また、逆にドラムが静かなときは、きっちりとギターでメリハリをつけるように音を重ねていたりするなど、音の魅せ方・表情の変え方がすごく細かくて気配りされていることがわかる。

だからこそ、sumikaの歌ってまずはメロからハマることが多いんどけど、聴けば聴くほどそれ以外の要素でもクセになっていく、っていう流れがあるのかなーなんて。

まあ、GrantzがMAN WITH A MISSIONに変わったのと同様、ビジュアルの補強をして女子ウケするように変更したことも、売れていったポイントとしては大きいように感じるけども。

そんなsumika。

気がつけば、新作「ファンファーレ」では大型タイアップとがっつり組んで作品をリリースするようになった。

まだまだsumikaって売れていくと思うし、こういう歌メロバンドみたいなジャンルなら、バクナンの次にスタジアムレベルで大きくなるのはsumikaだろうなーと間違いなく言えるそんなバンドで。

諦めずに地味に音を鳴らし続けたからこそ、たどり着けた境地だと思うし、芯が強いからこそ今後も安心して大きくなるサマを見ることができるそんなバンドでもある。

Mステのパフォーマンスも期待だなーとそんなことをただただ思うそんな日々。

関連記事:sumikaのアルバム「Chime」の良いところと悪いところ

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