BE:FISRTの「Blissful」の話

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2020年の日本の音楽シーンって、わりと情報量が多くて、インパクトがある楽曲が存在感を示しがちだ。

YOASOBIの「アイドル」然り、Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」然り。

もちろんそうじゃない楽曲もあるけれど、圧倒的に大きな話題を生む楽曲は、そういうエッセンスを多かれ少なかれまぶしている楽曲が多い印象。

SNS、特にショート動画を起点にして音楽が話題になることが多く、短い尺でも印象に残る楽曲ほど”バズ”を獲得しやすいからこそ、そういう楽曲がシーンで存在感を示すのかなーなんてことを思っている。

そう考えた時、BE:FISRTの「Blissful」は一風変わった立ち位置にいる楽曲である。

2000年代中頃のHIPHOPのエッセンスを感じさせる楽曲で、良い意味で今の流行のど真ん中とは異なる風を吹かせている印象。

言葉の組み立て方をみても、短いセンテンスで切り取ってワードそのものでどんどん風を吹かせるというよりは、ひとつの楽曲の中で語られる物語を大切にしている印象を受ける。

もっと言えば、今作はアルバムリードトラックということもあり、もっと大きな枠組みの中で、楽曲の中で語られる物語が駆動する印象を受けるのだ。

今の時代の”流れ”があるのだとしたら、その”流れ”には目配せしつつも、自分たちの流れをきちんと作る歌。

そんなふうに感じる。

そもそも、BE:FISRTがこれまで紡いできた音楽や、シーンのサバイブの仕方って、まさしくそういうことの連続だったように思う。

ここにBE:FISRTの軌跡を細かく書くようなことはしないけれど。

だからこそ、「Blissful」が描く多幸感のある世界観や、朗らかな愛の空気をどこまでも感じることができるし、00年代の音楽のイズムを音楽のベースに敷いているからこそ、そういう余白を感じやすい印象を受ける。

BE:FISRTのパフォーマンスと、それまでの道程。

楽曲軸とアーティスト軸が綺麗に噛み合っているからこそ、味わい深い楽曲になっている。

そんな印象を受けるのだった。

もう少ししたら、アルバム全体を見通しながら言葉を紡げたらと思うが、一旦「Blissful」を入り口にした、感想の感想みたいなものをここに記しておきたいと思う。

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