King Gnuの「BOY」で感じる振り幅の大きさ

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ふと思う。

MVを作った、いわゆる<シングル曲>の立ち位置だけで今年作った楽曲を比較したとき、もっとも振り幅の大きいアーティストは誰だろうか、と。

まあ、全てのアーティストを対象にしたら流石に答えに窮すると思う。

そもそも、何をもって振り幅が大きいとするのかの判断も微妙なところだとも思うし。

ただ、今、日本の音楽シーンで国民的な知名度を誇る活躍を行い、過去には紅白出演もしたことがあるアーティストの中で、という絞り込みをしたならば、どうだろう。

ここまで問いを狭めたとき、自分は<シングル>の楽曲の立ち位置における振り幅の大きいアーティストとして、King Gnuの名前を挙げてみたくなる。

振り幅の大きくした「泡」という楽曲

今年のKing Gnuを語るとき、「泡」の存在がとても大きいことになる。

まあ、この曲はもともと前から制作されていて、もっと早い段階でリリースする予定だった楽曲なんだけど、にしても意表を突かれた一曲だったわけだ。

King Gnuって○○みたいな歌を歌いがちだよね・・・と、なんとなく色んな人がイメージを共有しかけたタイミングでリリースする上では、とても革新的な一曲だったと思うわけだ。

なんせ、楽曲の空気感も、MVのテイストも含めてアート性が強い一曲である。

少なくとも、ボーカルの甘さだったり、メロディーの美しさだけを堪能させる楽曲ではない。

加工したボーカルの感じや、複雑なリズムメイク、ミニマムなサウンドメイクがその印象を決定づける。

まあ、「泡」から何を感じるのかは人それぞれなので、最終的な感想は聞き手ごとにあるだろう。

けれど、少なくとも、今までのKing Gnuの楽曲とは異なるイメージを放った、インパクトのあるものだったように思うわけだ。

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だからこそ、輝く「BOY」

一方、最近発表しされた「BOY」は、TVアニメ「王様ランキング」の主題歌である。

不勉なので「王様ランキング」がどういうテイストの作品なのかはきっちりと把握していない。

んだけど、「BOY」のテイストだけで言えば、良い意味でアニソンであることを受け入れた一曲であるように思う。

楽曲が持つカラフルさ、全体のメロディー構成、サビの存在感が際立つメロディーの強さが、アニソン感を強くしている。

<感じる歌>というよりは、<聴かせる歌>という印象が強く、King Gnuらしいポップネスが炸裂しているように思うわけだ。

バンド以外の音の使い方がメロディーを賑やかにさせるためのエッセンスとして炸裂しているし、井口のボーカルの跳ね方もメロディーの心地よさを増幅させる方向に輝いている。

歌以外の要素の印象が相当に強かった「泡」と比較すると、「BOY」は圧倒的にメロディーの印象が強い。

もちろん、単なるポップチューンと言えないトリッキーさを抱えてはいて、それこそがKing Gnuだからこその楽曲の魅力になっているんだけどね。

「BOY」の感想

サビこそかなりポップな色合いの強いキャッチーなメロディーとなっている楽曲である。

が、それ以外のメロディーパートは相当にトリッキーだったりする「BOY」。

井口のボーカルの場合、仮にどれだけメロディーラインが難解なものだとしても、おぞましい力量と表現力にマイルドにしてしまう凄さがある。

極端な話、不気味なメロディーラインすらも、とにかく耳障りの良いものへと早変わりさせていく力を持っている。

別に「BOY」のメロディーが不気味とは思わないが、もっと引っかかりがあっても変ではない歌の中で、良い意味で井口が綺麗に歌いこなすわけだ。

だからこそ聴く分には、素麺を食べるかのようにずるずると身体の中に消化してしまう。

んだけど、リズムのキメとタメのあり方、ジェットコースターのようにハイトーンとロートーンの使い分ける流れが容赦ない。

井口だからこそ成立させることができるメロディーの乗りこなし方。

これには、脱帽するしかないほどの凄まじさである。

こういう歌を歌うことが平常運転すぎるから気がつかないけれど、こういう歌を軽やかに歌いこなしてしまう井口って、やっぱり只者ではないよな・・・と改めて思ってしまうわけである。

さらには、サウンドでも同じことが言える。

やっぱりサウンドのテイストだけでいえば、ポップな色合いが強い一曲だとは思う。

でも、聴く分にはさらっと聞けちゃうけれど、そうじゃない部分もいくつもあって。

例えば、Bメロのドラムアプローチは相当に細かいビートの感じ。

これだってさらっと聴く分には勿体ないくらいに、攻撃的なドラムアプローチを繰り広げている。

あるいは、2番のサビが終わると不意にバンドサウンドが躍動していく流れもKing Gnuだからこそ。

こういう歌でもバンドとしてのトリッキーさを部分部分で差し込む感じが良い。

<これしかできない>バンドではなく、<本当ならアレもコレもできるけれど、今回はこれ>で勝負している感じがたまらない。

だからこそ、ポップなんだけど、King Gnuらしい躍動感を感じさせる楽曲にもなっているのだ。

まとめ

何が言いたいかというと、やっぱりKing Gnuの楽曲、良いよねーということ。

平日であっても、絶対にライブに当選しないライブチケット。

この人気、伊達じゃないよなーと改めて思う。

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