前説

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いやね、セカンドフルアルバムって微妙じゃないですか?

え?何がって?

そのバンドにおける立ち位置が、ですよ。

というのも、ファーストアルバムって「その時に持っている俺たちの全力を出す」みたいなところがあるじゃないですか?

だから、インディーズの頃から磨きに磨きまくった歌を収録したりしていて、完全武装感があるわけです。

でも、セカンドアルバムとなると違う。

インディーズの頃から蓄えていたライブ定番曲は収録済みだったりするし、なにより、ファーストアルバムという作品があるからこそ、そことの対比を考える必要もある。

しかも、ファンの数を増やしていきたいけれど、昔からのファンも大事にしたいし、どういう方向性がいいんだろう、うーん、ってなってしまいがちだと思うのだ。

しかも、技術的にも、予算的にもできることが増えてきて、音楽的に新たなアプローチがしたくなる時期でもあって、余計に悩みが深くなる。

場合によっては、その悩みが音にモロに出ることもある。

しかも、初期のフレデリックとメジャーデビュー後のフレデリックでは、目指している音楽性が明らかに違うからこそ、ここからどう変化するんだろう的な要素もあるわけだ。

初期のフレデリックは、サイケデリック色が強いというか、ど真ん中を行こうとしても、はみ出してしまう所があった。

メジャーファーストアルバムは、言ってもインディーズ時代に作った良作をたくさん収録しました、っていう感じのアルバムだったわけで、この「フレデリズム」の”2”は、どう転がっていくのか、フレデリックはどう変化していくのか、不安半分期待半分だったわけだ。

本編

収録曲を聞いて驚いた

だからこそ、先行で公開されたこの歌を聴いて驚きまくった。

え???これ、フレデリックなの???

聴いて最初はそう思った。メロディーラインはともかく、音の質感はイケイケの洋楽風味のバンドのそれだった。MVもなんかテイストが違うし。

もしかしたら、彼らは今後、こういう路線でいくのか……。むむむ…。

でもその一方で、聴けば確かに「いつものフレデリック」的なものも感じてくる不思議。

元々「飄々とエモーション」で見せていた、明確なるアリーナバンドとしての飛躍への意識みたいなものが、より強く見えたこの楽曲。

フレデリックはもっと大きなものを見据えているし、本気で攻めてきているなと感じた。

しかも、そういう「攻めの一曲」がアルバムのトップを飾っている。

ってことは、「フレデリズム2」は凄いことになるんだろうなあ。アルバムの後半とかに差し掛かったら、もうフレデリックはフレデリックじゃなくなるのではないか?まったくの別バンドになってしまうのではないか?という期待と不安がさらに沸き立つ。

思えば、である。

昔はあんなに愛着をもっていた自身のマスコットキャラクターを「いないもの」にしてしまったフレデリックである。

それくらいの変革は、やりかねないよなーと思ったわけだ。

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アルバムを聴くと、さらに驚く

で、フルでアルバムを聴いた時の率直な感想。

あ〜〜〜〜そういう感じね!!!!

いやね、てっきりどの曲も「LIGHT」的な感じの音質でくるのかなーと思っていたのだ。

でも、続く「かなしいうれしい」や「エンドレスメーデー」を聴いてみると、わりといつものフレデリック的なノリノリなナンバーが続いているではありませんか?

どちらかというと、わりとファーストアルバムの系譜にあったフレデリズムを感じる作品たちが続くのだ。

だからこそ、逆に「お、そういう感じでくるのか?」という驚きを感じた。

そこからシングル曲や既出曲をバランス良く配置しながら、色んなタイプのリズムを刻む、表情豊かなフレデリック作品が続く。

どれもメロもリズムも良くて、踊れるナンバーが続いていて、どれがシングルカットになってもおかしくないような強さがあった。

そして、思うのだ。

昔のフレデリックのアルバムだったら、どこかのタイミングで、「踊る」からはとても距離の遠い、サイケデリックで独特な空気感のある曲をアルバムの中に挟みがちだったけれど、今作では、アルバムをそういう方向にはもっていかない。

アルバムの中盤にモードを変える「他所のピラニア」も、きちんと聴いていると、「躍らせる曲」なんだなーと感じる。

そうか。

だから、どれだけサウンド的に揺さぶりをかけても、どの曲もフレデリックらしいアイデンティティを感じるのか。

サウンドという衣装はどんどんチェンジしていくけれど、リズムの部分は常にフレデリックらしさを保ち続けている。

今作は、サウンド的な振り幅はとても大きいのに、どの曲もダンス・ミュージックであることが通底していて、どの曲も「踊れる」のである。

ライブ中に棒立ちになって、聴くことに集中させるような王道バラード曲は、このアルバムには収録されていない。

どの曲も身体を動かしながら、リズムに酔いしれながら、ライブを楽しむような曲が揃っている。

まさしく、「フレデリズム」が刻まれた13曲が収録されているのだ。

だからこそ、振り幅が大きいはずのこのアルバムにすごく一貫性を感じるし、聴いていて何とも言えない気持ち良さを感じるのだ。

そう、この振り幅の大きさ、というの大きなポイントで。

というのも、ここでいう「躍らせる」というのは、何もひとつの要素を差したものではないということである。

本来、「踊る」と言っても、色んな踊りがあるわけだ。

上下にぴょんぴょん飛び跳ねることも「踊り」なのだとしたら、身体をクネクネさせることだって「踊り」である。

日本のロックバンドのライブは「踊る」のパターンが一定化しがちで、ライブだと一体感を志向するバンドが多いから、より踊り方を固定化されがちである。

でも、「フレデリズム2」は本気で全曲、それぞれ違う踊らせ方をさせて楽しんでもらうように、巧みにリズムを構築している。

一貫性はあるんだけど、金太郎飴にはさせない工夫が随所に施されているわけだ。

これなら、「フレデリズム」というタイトルにも納得がいく。

そんなことを思うわけだ。

まとめ

フレデリックが持つ様々なパターンのダンス・ミュージックを収録させたこのアルバム。

タイトルもコンセプトも通底したものがあるからこそ、振り幅が大きい楽曲たちを収録しているにも関わらず、一貫したものを感じるのだ。

いや、マジでフレデリックは凄いわあ。

タイトルで、微妙とか言ってごめん。

今作も、最初から最後まで全力投球の「フレデリズム2」。

聴いてない人はぜひこのタイミングで聴くべきです。マジでマジで。

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