ロッキン・ライフ vol.7のライブレポ

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2023年8月16日(水)、大阪・阿倍野ROCKTOWNにてロッキン・ライフ vol.7が開催された。

このライブは音楽ブログであるロッキン・ライフが主催のライブイベントで、ロッキン・ライフという音楽ブログを運営しているロッキン・ライフの中の人が「今こそライブを観ておくべき」と思うバンドにお声がけをして開催する、という体のイベントだったりする。

また、世にあるライブイベントの多くは、ブッキングするカラーがはっきりすることが多いが、このライブイベントは「ライブが良い/良いはず」という点では共通していると感じている一方で、バンドのキャリアやバンドのジャンルはわりとボーダレスなので、他のライブイベントとは異なる空気感でライブが進むことも多いのが、このイベントの特徴(だと勝手に思っている)。

そんなこんなでロッキン・ライフ vol.7では、アルステイク、バウンダリー、Chevon、ユレニワ、メメタァという5組に出演してもらった。

で、ライブイベントが終わってから数日が経過した今思うこと。

「いやー今回は特に良いイベントになったなー」という感慨。

ただ、一応、音楽ブログであるロッキン・ライフ主催のイベントという体でさせてもらっているので、ただ中の人が感慨に浸るだけではなく、その感慨をテキストという形で、ブログ上にも残しておおければ、と思っている。

ただ、一般的に音楽メディアでテキストベースでまとめられたライブの感想は、”ライブレポ”という名前で掲載されることが多く、ライブレポと呼ばれるものの多くは、そのときのライブの光景やMCの内容、セットリストの情報などを客観的に記載している。

が、ワタクシ、そういうものを書くのがけっこう苦手で。

なので、自分は一般的なライブレポで記載されがちな「そのときのライブの客観的な情報」や「ライブでどんなMCをしたのか?」みたいな情報はわりと無視してしまって、今自分が抱えている”感慨”の部分にスポットを当てながら、各バンドのライブを観て感じたことつらつら述べてみようと思う。

では、どうぞ。

photo by aoi (@thnks_th

メメタァ

1番手で出てもらったのは、メメタァだ。

これはあえて書いてしまうけれど、これまでのイベントの中で1番、かっこいいトップバッターだったのではないかと思う。

とにかくライブ全体に覇気があって、オーディエンス全体に活気が生まれた印象だったからだ。

これまではコロナ禍の空気を踏まえながらでしか当イベントは開催されていなかったから、その規制が取っ払っていた部分も大きかったのかなとも思う。

で。

当然ながら、このイベントは色んなバンドのファンがいて、イベントの出だしは別のバンドのファンは”様子見”をすることも多いんだけど、メメタァの躍動的なボーカルや曲と曲の繋ぎにシャープな構成、聴きやすくてもハキハキとしていて胸に届くMCは、他のバンドのファンにもグサリと届いていたようで、イベントが始まってすぐに多くのお客さんの心を掴んでいたのだった。

この日のメメタァのライブは「僕がメガネをとったら」でスタートしていたんだけど、余談の余談で、このイベントのvol.1ではトリとしてナードマグネットに出演してもらっていて、その時のナードマグネットのMCが「自分はメガネからコンタクトレンズに変えた」というメガネ軸のものだったので、この日のメメタァの初っ端が「僕がメガネをとったら」だったのが個人的に熱かったし、そこから間髪入れずに「ロスタイム」に繋いだ展開にもぐっときたのだった。

披露された新曲もフレーズが印象に残る楽曲だったし、ここぞのタイミングでぶち込んだ「デイドリーマー」で、オーディエンスの拳はさらに上がる上がる。

この段階でvol.7は絶対良いイベントになるし、この一夜がとても刺激的なものになるんだなあと実感した瞬間でもあった。

ユレニワ

2番手に出てもらったのは、ユレニワ。

トップバッターのメメタァが、拳を突き上げながらシンガロングしたくなるバンドだとすると、ユレニワはそういうタイプとはまた異なるタイプではある。

初っ端に披露した「まじまいえんじぇる」からテクニカルかつでっかい音をぶちかましていて、空間の中にある音の全てを塗りつぶして、ゾクゾクとした高揚感を与えてくれる心地があった

そして、気がつくとメメタァとは違う形で、でも確かにユレニワが生み出す音楽に身を寄せていて、揺れるように音楽を楽しんでいる自分に気づくのだった。

演奏が上手いので、ライブにめっちゃ入り込めし、ライブパフォーマンスそのものを没頭するような心地になれる。

それが、自分のユレニワのライブを観たときの印象だった。

セトリも強強で、「Cherie」「遺書」という楽曲の流れの中にもぐっときた。

それぞれの楽器が様々な音色に変化していき、次々に様々な色の世界を作り上げるんだけど、その流れが幻想的でもあり、刺激的でもあり、分厚いサウンドで構成されたアンサンブルで、ユレニワの庭に紛れ込んでいく心地になる。

ラストでは自分が好きな楽曲である「恋人たちのヒム」でビシリと締めて、オーディエンス全体にパンチ力のある刺激を充満させていったのだった。

Chevon

三番手に出てもらったのは、Chevon

この日の物販の様子をみても、Chevonを楽しみにしている人がいっぱいいたことは予感していた。

なので、Chevonのライブはこの日のハイライトのひとつになるんだろうなあと思っていたが、実際にライブを観ると、想像以上だった。

Chevonがステージに立って楽曲を披露すると、演者とオーディエンスが完璧にシンクロしたんじゃないかってくらいに、阿吽の呼吸でどの楽曲も盛り上がっていくからだ。

ここで全員が手を挙げたらきっと気持ちいいんだろうなあ、ってタイミングでバチっと手が上がるし、飛び跳ねべきタイミングでは全体が全力で飛び跳ねて音楽を楽しむ。

ライブハウスの控え室にいたスタッフに聞いてみると、「Chevonのライブのとき、めっちゃ揺れてたね」と言っていたので、その熱量がいかに大きなものだったかをそういう部分でも示していた。

聞いた話、Chevonが本格的にライブを行い出したのは昨年からということだったので、正直、まだライブの完成度としてはスキがあるのかな、とも思っていた。ライブを観るまでは。

一瞬でもそう思ってしまった自分を殴ってやりたいくらいに、Chevonのライブはバチバチに仕上がっていたし、谷絹茉優のフロントマンとしてのオーラや表現力は見事なものであった。

また、バンド全体としての表現力も安定感があって、「Banquet」から「光ってろ正義」に至るまでの流れで、どの歌も切れ味鋭く、ライブだからこその迫力をもって表現されていたのが印象的だった。

自分のライブイベントでも、出演してもらってから1~2年後には大きなステージや大きなフェスのステージに出演するバンドもいて、そういうバンドにはそういうバンドだからこその求心力があるんだけど、Chevonのライブにもまた、そういうものが宿っているように感じた。

きっとここからさらに多くの観客を魅了して、どんどんスケールが大きくなることを予感させる、そんなパフォーマンスであった。

バウンダリー

四番手に出てもらったのは、バウンダリー。

過去にライブも観たことがあって、間違いないライブをすることはわかってはいたんだけど、バウンダリーのライブも期待以上に胸が刺さるものがあった。

なんというか、バウンダリーのライブって観ると元気になれるし、パワーが宿るというか、身体にエネルギーが注入される心地がして、うおーって感じになるのだ。

この日のライブも、そういう力強さが宿るライブだった。

シンプルな構成の楽曲ではあるんだけど、シンプルであるが故に音として放たれると、胸にがつーんと飛び込んでくる心地だ。

また、ひとつひとつの楽曲も良かったんだけど、MCも心に残るものが多かった。

あえて詳細は書かないけれど、次に出演するアルステイクのことに触れながら「繋がり」を意識させるMCをする場面が良かったし、その日の転換BGMは出演バンドの楽曲をかけていたんだけど、自分の楽曲を口ずさんでくれるお客さんがいて嬉しかったという話をしたMCも良かったし、なんというかMC全体で、そのバンドの”ナリ”が出ている感じが個人的に良いなあと思ったのだった。

バウンダリーのライブは楽曲のテイストとMCの感じとライブパフォーマンスの温度感が全部ひとつの軸で繋がっている感じがして、それが自分的にすーっと胸に入ってきたのかなーなんてことをぼんやりと思う今の自分。

「ゆきさき」「あの言葉」「足跡」と、新しくリリースされたアルバムの楽曲で構成されたセットリストだったのも良かったし、キャッチーかつ爽快なナンバーを次々繰り出すバウンダリーのライブは終始ワクワクするものだった。

アルステイク

5番手に出演してもらったのは、アルステイク。

今回、この5バンドが出演すると決まったとき、イベントの最後を締めくくる出順として出てもらいたいのは、アルステイクだなーと思っていて実際、この日のトリとして相応しいパフォーマンスだったなあ、と感慨に浸る今の自分。。

「他人事」「一閃を越え」をはじめ、キラーチューンを惜しみなく披露するセットリストにもワクワクしたし、アルステイクはステージの使い方がかっこいいんだよなーと思う。

スリーピースバンドということで、メンバーの全員姿がしっかり見える立ち位置になっているんだけど、ベースののんは首にコルセットを巻いた状態でありながらもベースをぶんぶん振り回して左右に大きく動きながらパワフルにベースをプレイするし、ドラムのあむは動ける範囲の中でも躍動的に身体を使い、時には椅子から立った状態でドラムをゴリゴリに叩いてスリリングなビートを生み出すし、ボーカル/ギターのひだかは真っ直ぐにボーカルを紡ぎながらギターを掻き鳴らす。

この三人でひとつのステージを作るからこそ、アルステイクってかっこいいんだなという感じながら、思わず自分もフロアに立ってしまってライブを観てしまうのだった。

持ち時間の中で許す限り多数の曲を披露する流れではあったんだけど、ここぞの場面で披露するひだかのMCも良かった。

バウンダリーのMCに対する「応答」も良かったし、このイベントについて触れる言葉も嬉しかった。

その上で、自分が良いなあと思ったのは、このライブレポに触れた部分のMCで。

この日のライブを様子はブログで書いてくれるらしくて、それを観てもらえたら、という触れ方をしてくれた上で、でも、ライブはライブに来た人にしかわからないものがある、という言い方をしていたのがすごく自分的に良かったのだった。

というのも、ブログを書いている自分が言うのもなんだけど、SNSの情報でライブを知った気になることもしやすい世の中で、ブログや音楽メディアでライブの情報をまとめることもできる世の中だけど、それでも絶対に「生でライブを観るからこそわかること」は絶対にあるし、その「生で観るからこそわかること」にこそ、ライブの本質的な良さってぎゅっと詰まっているように思うからだ。

だって、SNSでライブの映像を観てもダイブやモッシュを(思わず)してしまう高揚感ってきっとなくて。

テキストベースでまとめられた情報だから気づくこともあるけれど、その高揚感だったり生でパフォーマンスを観たときに感じた感情は、その場・その瞬間にいたからこそ生まれるものだと思っているからだ。

そして、アルステイクのライブは、まさにその場にいたからこそのものを体現しているパフォーマンスだった。

真っ直ぐに音を鳴らして言葉を紡いでいるバンドだからこそのかっこよさを改めて感じた瞬間だった。

まとめに替えて

結論、どのバンドもめっちゃライブが良かったという話。

その上で、最後に自分がライブイベントを行う際に考えていることって、3つある。

ひとつは、自分がライブを観たいと思うバンドや、ライブがかっこいいと思うバンドだけをブッキングするということ。

もうひとつは、なるべく他のイベントにはないブッキングをしたり、出てもらったバンドにもこれまでとは違う縁ができるものにしたいということ。

最後に、基本的には全部のバンドのライブを観てもらうイベントにしたいし、全部のバンドのライブがかっこいいと思ってブッキングしているので、なるべくイベントのパッケージとして「途中で来る/帰る理由」を潰すような組み方にしたいと思っている。

もちろん、予定があれば途中で来る/帰るはあると思うし、目的のバンドを観て帰る楽しみ方も全然良いと思うし、自分がお客でライブに行く場合はそういうこともよくやる。

でも、どのバンドも良いバンドだと思ってブッキングしている以上、イベント主催者としては「途中で来る/帰る」の理由はひとつでも少なくするための組み方、魅せ方をしたいなあというこだわりはある。

なので、(今は)出順は発表するようにしているけどタイムテーブルの時間は書かないようにしているし、出てもらうバンドには無理を言って可能な限り転換時間を短くするようにもしてもらっているし、グッズ売り場は会場とは別に広く取ることで、物販を観たい場合はゆっくり物販をみてもらえるようなレイアウトにもなっている。

まだまだイベントとしては荒い部分もあるし、もっと良い形でイベントができればな〜とは思う。

・・・と言うのも、そんなことを思わず考えてしまうくらいに、今回出演してもらった各バンドのライブがあまりにもバチバチで、かっこよかったからだ、だ。

出てもらっているバンド、めっちゃかっこいいライブをしているぞ、と思ったし、もしこの5組のライブ、まだ観たことないとしたら、想像以上にヤバイから今のちに絶対観た方がいいぞ、という気持ちが超絶強くなった。

そんな一夜だったことを、最後に報告してこの記事のまとめにしておこうと思う。

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