tetoが出てきた当初、それこそ2016年とか2017年くらいのときはこんなことを思っていた。

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衝動をウリにしたバンドは僕の中では銀杏BOYZが不動でそれに勝つことはないし、こんなロックがあったなんて……っていう意味で衝動を突き動かされたバンドはandymori以降いないから、知らねえよtetoなんて、そんなバンド。なんだよ、テトって。ドラクエの主人公かよ。

そんなことを思っていました。

いや〜2016年の俺がいたら、即効殴りますね。グーパンにして全力で。いや、グーパンは痛いからシッペくらいにしときます。痛いのは嫌なので。

で、本題なんだけど、tetoかっこいいすわ。

バンドサウンドのカッコよさとか、ロックのカッコよさってこういうことでしょ?みたいなものがきちんと音で鳴ってるバンドというか。

音だけでそういう要素を説得力もって説明できている。しかも、ライブではそれが倍々になっているっていうんだから、そりゃあもう難癖の付けようがない。

変に媚びず、リスナーの様子を伺いながら音を鳴らしている感じが一切しないのだ。どっかのポルカと真逆の音楽的構築。

やりたいと思っていること、自分はこれが良いんだと思うことを全力で表現したとき、初めて技術とかそういうものを抜きにして「かっけえ…」って気分になるんだけど、tetoってそういう要素がある。

ただ、僕が感じるtetoのかっこよさって単に「女に媚びてないから」みたいな、そういう精神性とか衝動性というよりも(もちろん、そこも大事な要素であるんだけど)、純粋にベースにある音楽がすごく良いんだっていうところで。(まあ、ここがすごく良いから、巷でもこんなに話題になっているんだろうけど)

もちろん、純粋に楽曲が良いってのもある。

口ずさめるメロディーと、ノイズを聴かせまくった荒いギターサウンド。

洋と和のそれぞれのロックミュージックの良いところをきちんと継承したうえで、衝動的なパフォーマンスをするものだから、新しいのにノスタルジーも感じさせる不思議な心地のバンドサウンドになるのだ。

音楽における「新しい」って結局のところ、組み合わせの妙になると思うんだけど、tetoの音楽ってまさしくそれ。

ありそうだけど、なかった。

だから、他と比較してどうとかって話にならないから全力で推せる。

そんなバンド。

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メロディーが良い

例えば、もう廃盤になっちゃったけれど、彼らが最初に出したepに収録されている「Pain Pain Pain」。

この曲、普通にメロディー、良いもんね。

Aメロは言葉をたくさん詰め込んで、早口でまくし立てるように展開されている。(個人的にはここの部分は少しミイラズ臭を感じたが)

サビでは、絶叫のように声を張り上げ、哀愁ある歌声で美しいメロディーをエモーショナルに歌いあげる。

で、Bメロ。

テンポ感も表情もまったく違うAメロとサビを文句ない形でブリッジしているので、疾走感は最後まで損なわれることなく、気持ちよく最後まで聴くことができるのだ。

「36.4」も似たような構成だ。

Bメロの繋ぎ方がすごく綺麗だから、とてもワクワクする音楽になっている印象を受ける。

tetoの歌って全編通して疾走感があるんだけど、じゃあ死ぬほどハイペースにドラムを叩いているのかといったらそんなことはない。

スピードとかテンポという要素でグイグイ曲を前に進めているんじゃなくて、きちんと口ずさめるメロディーを、口ずさめるテンポ感で成り立たせた上で、曲を進めている。

だから、聴いていて、グッとくるんだと思う。

いわゆる「踊らせる」ということを無視しているビート感だからこそ、tetoの音楽にロックンロールを感じさせるわけだ。

で、テンポよりも、メロディーがちゃんと軸にあるからこそ、ボーカルの切迫した歌声が迫って聞こえるし、疾走感もあるんだけど哀愁も感じさせる絶妙なバランス感が宿るんじゃないかなーと思うのだ。

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ボーカルが良い

喉を閉めて強引に高音を作ったような「女ウケ」を狙った甘い歌声じゃないっていうところで既にポイントが高いんだけど、tetoのボーカルは純粋にボーカルとして表現力が高いんだよなーと思う。

サビではこれでも食らえってばかりに声を張り上げて、絶叫にも似た力強い歌声で魅せることが多いわけだけど、一方、メロ部分はすごく丁寧に歌うことが多い。

メロ部分とサビ部分の歌い方の対比がきちんとあるから、サビに入ったときのエモーショナルな部分がグっとくるのである。

このバンドはどういう形でアレンジを固めているのかは知らないけれど、バンドサウンドはメロディーに対しての当て方がすごく良くて、「余計なこと」をしないからメロディーの持つエネルギーが損なわれることはない。

でも、退屈させないように細かく音とリズムのパターンを変えて、曲を進める器用さもある。

「暖かい都会から」も3分ちょっとの曲だけど、最初はギターのノイズから入り、そこからエコーのかかったボーカルだけになり、そのボーカルに寄り添うように、ゆっくりとフェードインするベース。

やがて、曲の開始30秒でその空気を割って入るかのようにドラムの音が響き、それを合図にバンドのエンジンを全開させて疾走感を生み出していく流れなんだけど、ほんとこの流れが完璧で、一切退屈しないわけだ。

そして、tetoの得意なメロディーパターンである
言葉を多めに展開する早口なAメロと、あえて言葉を少なくして絶叫を効果的に効かせてメロディーのインパクトを強くさせるサビと、そのブリッジを綺麗に行うBメロと、全ての流れが美しいのである。

で、そのメロディーに対するバンドの音が本当に過不足なくて、カッコよくて、ボーカルの衝動性を良い感じにドライブさせている。

2回目のBメロが終わったあとのサビでは、ギターはパワーコードを弾かずにカッティングとアルペジオを行う。

で、やがてドラムがタムをドカドカ叩いてからスネアを連打して、ベースが「ド・ド・ド」とアクセントを入れて、また1番同じサビ、バンドの音に戻る流れもすごく良い。

どこを切り取ってもセンスしか感じないわけだ。tetoの音楽は。

衝動的という言葉だけでは片付けられない魅力があるからこそ、同じタイプの音楽性を志向するバンドと比べても、tetoの存在感はまったく違うわけである。

ライブチケットはすぐにソールドするのに、そのわりにYoutubeの再生数は伸びないところも本気のバンド感がする。

間口を広くするんじゃなくて刺さる層にきちんと刺していく音を作っている。

いや、tetoすごいよ。

こりゃあ売れるし、バンド好きがこぞって推す気持ち、すごくよくわかる、そんなバンドなのでした。

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