2022年1月、バンド・アーティストの個人的なベストアルバム5選

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2021年は春・夏・秋・冬に分けて各記事で10枚のアルバムを紹介した。

・・・んだけど、今年はなるべく期間をあげずに「自分が良いと思うアルバム」を紹介できたらと思っている。

そこで、2022年は月に一回ベストアルバムの記事を公開し、記事ごとに5枚のアルバムを紹介する、という段取りにしようと思う。

別に枚数は5枚じゃなくてもいいんだけど、あんまり莫大な量になると、音楽を聴ける時間に対して紹介する数が増えてしまうことになってしまう。

それは微妙だなーと思ったので、こういうテイストにしてみた次第。

なお、このベストアルバムの記事では<紹介するアルバムの良さを語る>というよりも、自分はこのアルバムが良いと思ったから時間があったらよかったら聴いてみてね、くらいのテンションで紹介しようと思う。

各アルバムについては個別記事が書けたら・・・と思っているが、これはどこまでやるか未定である。

まあ、軽い気持ちで参考にしてもらえたら嬉しい限り。

では、どうぞ。

本編

マカロニえんぴつ 『ハッピーエンドへの期待は』

まずは、マカロニえんぴつのメジャーファースト・アルバム『ハッピーエンドへの期待は』を選出。

今作はマカロニえんぴつがポップネスとキャッチーが炸裂したアルバム。

バンドにおけるメジャーデビュー・アルバムとして、これほどの完成度の作品もそうはないはず。

インディーズとして長いキャリアを培い、ライブバンドとしても技術を磨いてきたからこその<分厚さ>を楽曲の全てに感じる。

歌詞は<青い>要素もあるのに、サウンドと楽曲構成に妙な青さがないのが何よりの証左。

アルバムと同タイトルの「ハッピーエンドへの期待は」も、大人になることがテーマのひとつにあって、成熟にいたるまでのなんとも言えない機微を描いているわけだけど、楽曲の作り込みにスキがないからこそ、言葉の強度にぐっと引き寄せられる。

若い世代に絶大な支持があるのも、こういうところが所以のひとつかなーと思ったり。

そう。

『ハッピーエンドへの期待は』は、つくづくはっとりの深い洞察から導かれる言葉選びが秀逸だよなあと思う。

テーマだけを切り取ると、他のバンドでも歌われる内容だったりするんだけど、そのテーマに対する眼差しだったり、感情ひとつを表現するにいたる言葉選びがどこまでも秀逸なのである。

最後の「mother」まで息も尽くせぬ楽曲が目白押しのアルバムである。

関連記事:マカロニえんぴつの「なんでもないよ、」の歌詞が持つ文学性

リーガルリリー 『Cとし生けるもの』

硬派なギターが印象的なオルタナティブな毛色のロックバンドが好きな人なら、きっと『Cとし生けるもの』はどこまでも突き刺さるはず。

バンドだからこそできる実験性とユーモアを出しながらも<かっこよさ>を維持する楽曲たち。

儚さと切実さを感じさせることが多いんだけど、でもどこか素っ頓狂なところもあって、不思議な聴き心地を与えてくれる。

アルバムの”C”は炭素記号から取ってきた”C”らしく、配列次第でダイヤモンドにも鉛筆にもなれる面白い元素記号であるところから、アルバムタイトルとして付けられたらしい。

もう少し言うと、人間もCであり、人間の可能性を示す言葉として”C”という言葉に託した・・・ということなんだろうけど、インタビューを読むと「C」に宿した意味性はメンバーによっても微妙な違いがあるようなので、この辺は作品を聴きながら、各々で反芻すると面白いかもしれない。

そう。

『Cとし生けるもの』って、鳴らしている音の種類だけで言えば、基本的にシンプルである。

スリーピースバンドであることから過剰に逸脱するアレンジの楽曲は、ない。

もちろん、音の鳴らし方やアンサンブルのあり方は楽曲によって違うけれど、どの楽曲もリーガルリリーの音として然るべき場所に落ちつている。

なのに、楽曲を通して見えてくる景色や印象は楽曲によって、まったくもって違っている。

Cが持つ可能性を体現するかのように12の楽曲が、鮮やかに映し出していくのだ。

ちなみに、リーガルリリーの今のモードを踏まえるうえで、自分は「東京」という作品がとても大きいと思っていて、リーガルリリーが<良い>と思うラインが、この曲を持って大きく上がった印象を受ける(あくまでも自分的に)

いずれにしても、 『Cとし生けるもの』は、バンド作品における2022年のひとつのマスターピースだと思っているので、ロックが好きな人はぜひ聴いてみてほしい。

関連記事:リーガルリリーが魅せる圧倒的アンサンブルについて

c.o.s.a 『Cool Kids』

田我流、仙人掌、JJJ、IO、Campanella、KID FRESINOといった豪華な客演を迎えたc.o.s.aの『Cool Kids』。

c.o.s.aの持つ人間性をこれでもかと作品性に打ち込んでいるような心地がして、その<生の声>にヒリヒリさせられる。

特にアルバムと同タイトルの楽曲になる「Cool Kids」は、c.o.s.a自身の過去の心境をフロウしている一曲で、切実かつリアルな感情が歌の中で表現されている。

全編通して感じるのは、圧倒的な赤裸々感。

そのため、どの楽曲を聴いても、独特の緊張感が内在していて、ぐっと言葉の世界に惹き込まれてしまう。

メロディーのための言葉ではなく、伝えるための言葉がそこにあることを実感する。

言葉が言葉のままにダイレクトに届くからこそ、感じること、思うこともたくさんあるアルバムだと思う。

なんにせよ、c.o.s.aが持つヒップホップを体感できるアルバムとなっている。

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SixTONES 『CITY』

SixTONESのセカンド・アルバム『CITY』も選出。

とにかく今作は、SixTONESが持つアーティスト性がより鮮やかになった印象を受ける。

SixTONESって、こういう表現もできるし、こういうジャンルの歌をこういう風に表現するんだよ、というのをアルバムを通して提示している。

だけども、それら全ては<SixTONES>というジャンルに収斂していく心地も覚える。

実際、今回紹介しているアルバムの中でも、もっともコンセプト性が通底している作品だと思っていて。

で。

なぜジャンルに縛られた作品にも関わらず、アルバムとしてのコンセプトが通底しているかといえば、それはどの歌も(当然の話ではあるんだけど)SixTONESというアーティストを通した上での表現になっているからだと思う。

アルバムを形容する際、<カラフル>という言葉よりも<一貫性>という言葉の方が個人的に腑に落ちるのは、どの歌もSixTONESとして表現が炸裂しているから。

とはいえ、ボーナス・トラック的な位置づけの楽曲も聴くことで、コンセプトアルバムという範疇では収まりがつかない魅力に触れることにもなるんだけどね(ユニット曲はそういう間口のひとつだと思う)。

なお、アルバムが持つコンセプト性については、別記事に書いているので、よかったらそちらもどうぞ。

関連記事:SixTONESの『CITY』の簡易なる妄想的レビュー

宇多田ヒカル 『BADモード』

宇多田ヒカルのアルバムを聴いて思うのは、こういう質感のアルバムが日本の音楽シーンの最前線で輝いていることの凄さである。

とにかく音への拘りがずば抜けており、自分が持つ美学を優先しながらもマニアックな音楽に陥らない絶妙さを覚える。

かといって、いわゆる洋楽的な装いのサウンドで武装しつつ、メロディーはJ-POP・・・みたいな話ではまったくなくて。

というか、宇多田ヒカルの『BADモード』を聴いていると、音楽を邦楽と洋楽で分断して語ることがそもそもナンセンスになってしまう破壊力を持っている。

実際、そういう垣根はまったくないところで楽曲が構築されていて、それが他のアーティストでは聴いたことがないタイプの音の快楽になっているように思う。

好き嫌いは置いといて、このアルバムの類似的な作品が今年、生まれることはないように思う。

それは、宇多田ヒカルの作家性が唯一無二であること。

その作家性を表現させる上で、妙な妥協が介入していないこと(タイアップ作品だから、万人に受けるような楽曲にしましょう・・・みたいなお作法を感じない楽曲ばかりが揃っている)。

とはえい、あんまり短期間で<名盤>と言い切ってしまうのも憚れる作品で。

もう少し長いスパンをかけて、少しずつ聴き込んでみたいアルバムであるし、そういう長い付き合いになりそうな予感を含めて、2022年のアルバムのひとつの傑作であると思わずにはいられなかったりする。

関連記事:宇多田ヒカルの「One Last Kiss」とエヴァンゲリオンのシンクロ率について

まとめ

マカロニえんぴつ 『ハッピーエンドへの期待は』
リーガルリリー 『Cとし生けるもの』
c.o.s.a 『Cool Kids』
SixTONES 『CITY』
宇多田ヒカル 『BADモード』

というわけで、 2022年1月、バンド・アーティストの個人的なベストアルバム5選、なのでした。

とりあえず、自分が良いなあと思うアルバムを並べてみましたらので、まだ聴いてない作品があれば、よかったら聴いてもらえたら嬉しい限り。

では、今回はこの辺で。

ではではでは。

関連記事:2021年個人的ベストアルバム12

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