Sexy Zoneの『ザ・ハイライト』の話

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好きな音楽ってたくさんあるんだけど、作品にぐっと入り込むのって<その作品にしかない魅力>が宿っているときだと思う。

極端な言い方ではあるが、仮に完成度が高かったとしても、他のアーティストでもこういう<色>の作品は見かけるなーと思うと、その作品が<好きなタイプ>とは思えても、それより上を超えることは難しくなる。

自分の中での好きのラインが一定のところで留まる、という言い方をしてもいいかもしれない。

それは別に悪いことではない。

むしろ、そこまで突き刺さるなんて凄いはずなのだ。

んだけど、そこを飛び越えた先にしかない世界もあって。

<これは、とんでもない作品に出会ったぞ>の興奮にたどり着くには、そのアーティストにしかない<色>が作品内で炸裂していることが重要だよなーと思うわけだ。

前置きが長くなってしまったが、Sexy Zoneの『ザ・ハイライト』はそんなアルバムだと思っている。

そんな、というのは、そのアーティストにしかない<色>が宿っている、という意味だ。

なぜ、そう思うのか?

この記事では、そのことについて書いてみたい。

本編

他の作品にはないポップな手触り

ボーイズグループという括りで音楽シーンをみたとき、たくさんのアーティストが存在していることに気づく。

その争いは熾烈を極めており、技術的に優れているグループもどんどん増えている。

軽やかにかっこいいパフォーマンスを行うグループも増えているわけだ。

ただ、気がつくと、<同じ方向>に向いてパフォーマンスを磨いているグループが増えている印象も受ける。

実際、世界を活躍の視野に入れているグループほど、世界基準の美学をベースにした楽曲を歌うことが多い。

そういう状態が背景にあるため、少し引いた目線で見たとき、どうしても作品ごとに似たような<色>を感じてしまうこともあるわけだ。(これは実際にそうというよりも、目線の引き方の問題だと思っている)

そう考えた時、Sexy Zoneが生み出すポップスって、横一列で並べたときも群を抜いた独自性を感じる。

『ザ・ハイライト』のアルバムをもって、それが決定的になった印象だ。

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『ザ・ハイライト』の魅力とは?

そこで、『ザ・ハイライト』の話をしてみたい。

『ザ・ハイライト』はコンセプト・アルバムといっても差し支えがないような、アルバムの世界観に統一性を感じる作品であ。

楽曲ごとに提供者が異なっているにも関わらず、だ。

楽曲提供者ごとにどういう発注を行ったのかはわからないけれど、聴いている分には間違いなくそう感じる作品になっている。

「Forever Gold」からその色合いが全開である。

80’s感のある洋風のダンスナンバー。

懐かしさが際立つ作品であり、あえて言えばブラウン管のテレビ映像が似合うような音像で包み込まれていく。

この絶妙なノスタルジーが楽曲の魅力を不動のものにしており、Sexy Zoneのメンバーのキャラクターもあいまって艶ややかな世界観を構築していく。

少なくとも、昨今のポップソングとは違った美学をもって、楽曲を構築していることを感じさせてくれる。

この「Forever Gold」で幕開けた『ザ・ハイライト』は、その後も絶妙なノスタルジーを漂わせていくことになる。

「Desideria」や「THE FINEST」の段階で、それは決定的なものになる。

緩やかなリズムの中で生み出される、キレとコクのあるグルーヴ。

心地よい中にもスリリングさを覚える、そんな世界に誘われていく。

そう感じさせる音像には、確かなノスタルジーが宿っている。

先ほどから述べているノスタルジーって、要は昔の音楽のフォーマットを焼き直しているんでしょ?と思う人もいるかもしれない。

が、『ザ・ハイライト』の音楽って、昔の音楽を拝借してそれっぽいものを作りました、という感じはまったくないのだ。

音の鳴りひとつひとつに丁寧にこだわったからこそ感じることができる何かがそこにある。

なので、懐かしさは感じるのに、古さは感じなくて。

懐かしさは感じるのに、今までに出会った音楽とは違う心地よさや美しさを感じるのである。

この感じって単なる焼き直しでは出せないし、アレンジにこだわっていればできる、というものでもないと思う。

音のひとつひとつにこだわったうえで、それぞれのボーカルが自分たちの表現をきちんと落とし込んでいるからこそできる空気感であるように思うのだ。

そう、Sexy Zoneだからこそ生み出せた世界が広がっているように思うのだ。

「Iris」の、クールなんだけど、踊りだしたくなるようなワクワク感を持っている感じも見事だし、iriが楽曲を手掛けた「Dream」はしっとりとした展開の中で見え隠れするホットな色合いのチラ見せが見事だ。

さらに言えば、全体的な洒脱な楽曲が並ぶからこそ、岡崎体育が楽曲提供した「休みの日くらい休ませて」の、賑やかな感じも冴え渡っているし、その流れから、ボルテージを上げるかのように、アルバム屈指のパーティソングである「LET’S MUSIC」に繋がっていく流れも良い。

そう、楽曲順の秀逸さも『ザ・ハイライト』の魅力を不動のものにしているなーと思うのだ。

アルバムってわりとラストはエモさを爆発させることが多い中、『ザ・ハイライト』においては最後まで通底したコンセプトを貫くかのように、ノスタルジーのあるアレンジで構成された「Ringa Ringa Ring」で締めくくる流れも良いのだ。

聴いてない人はぜひ聴いてほしいみがある色合いである。

まとめ

サウンドにこだわっているからこそであるはある確かなんだけど、そのサウンドが生み出す景色とSexy Zoneが作る景色と混ざり合いが見事だからこそ、であるということは改めて伝えておきたい。

例えばであるが、楽曲提供者であるiriや岡崎体育が同じような景色を描けるかと言えば、きっとできないはずで、『ザ・ハイライト』が確固たるものになっているのはSexy Zoneの表現力があるからこそ、という話なのである。

改めて、『ザ・ハイライト』が素晴らしいアルバムだなーと感じたという、そういう話。

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