前説

スポンサーリンク

自分は、職場までいつも歩いて出勤している。

歩いて15分圏内に職場があるわけだけど、たまにその「近さ」が仇となって惰性を貪ってしまうことがある。

特に昼から出勤、みたいなパターンで出勤プランをたてていると、見事に惰性を貪りちらかすわけだけど、最近、その惰性のお供としてあいみょんの音楽を流していることが多い。

あいみょんといえば、最近「おいしいパスタがあると聞いて」というアルバムをリリースした。

それまでの自分のパスタソングといえば、湘南乃風の 「純恋歌」、

フジファブリックの「恋するパスタ」、

みたいなところがあった。

しかし、今回はれてあいみょんのパスタソング(まあ、これは楽曲じゃなくてアルバム・タイトルだけど)をリリースしたということで、自分の中で三代パスタにあいみょんも加わることになった。

まあ、言うほどアルバム全体にパスタ感はないんだけど、あいみょんの「おいしいパスタがあると聞いて」が良いアルバムだったと思って、その感想について書いていきたい。

本編

コンセプト・アルバムではないけど、通底しているコンセプト

日本のポップスのアルバム、特にあいみょんくらい売れているアーティストのオリジナル・アルバムってわりと色んなジャンルをてんこ盛りにすることが多いように思う。

アルバム全体を通して、色んなサウンドを楽しめるようにすることが多いし、幅広さこそそのアーティストの豊潤さとして語られることも多い。

実際、自分もサウンドの幅の広さにぐっとくることも多いわけだけど、そう考えたとき、あいみょんの今作はそこまでサウンドの幅が広くない印象を受ける。

あいみょんのカラーだけで考えても、もっとサウンドの幅を広げることができたように思うのだ。

でも、今作はわりとコンパクトにサウンドをまとめた気がするし、全体的なフォーキーなサウンドが印象に残る。

いくらでも幅が広げられる中で、わりと統一したアレンジに固めた気がするのだ。

例えばだけど、もっとフェス受けしそうなロックチューンを入れることだってできたはずだし、逆にもっとダンサンブルな一曲を放り込むこともできた。(まあ、「マシマロとかロックチューンやんというツッコミもあると思うが、この辺はあくまでも自分の感触としてである)

でも、ベースはどの歌も路上の弾き語りで成立できそうな、フォーキーな楽曲であるように感じたわけだ。

アルバムのコンセプト=アルバムの中の物語性とかある種のアートワークで表現しがちな昨今において、サウンドでコンセプトのようなものを提示するあいみょんのアルバムに、個人的にドキドキしたのだ。

だってさ、コンセプト・アルバムと言いながら、サウンドは全然コンセプト的ではないアルバムが多いけれど、今作のあいみょんの楽曲はサウンドの仕上がりにこそ、アルバム全体にコンセプトのようなものを感じるから。

もちろん、軸があったうえで、鍵盤の音が重点的になっていたり、ダンサンブルであったりと、仕掛けはたくさんあるんだけど、軸があるうえでの広げ方だからこそ、その幅によりぐっとくるものを覚えるのである。

スポンサーリンク

メロディーが素晴らしい

先程の項目で、今作は路上の弾き語りで成立しそうな歌が多い、と述べたけれど、これってつまるところサウンドの力を借りずとも、メロディーそのもので勝負できる楽曲ばかりであることを意味しているように思うのだ。

もっと言えば、どの曲もメロディーが洗練されていて、耳馴染みが良いことを意味している。

あいみょんの歌って良い意味で90年代のポップスの瑞々しさを持っている。

構造としては90年代のポップスなんだけど、それを今の世代ならではのセンスで仕立て上げている感じがする。

あいみょんの歌ってそういうバランス感覚が優れているからこそ、若者のみならず、全世代に突き刺さるような音楽を生み出しているのだと思う。

そういうあいみょんならではの感性が炸裂したアルバムだったように思うのだ。

で。

そういう感じのアルバムのタイトルに「おいしいパスタがあると聞いて」という言葉をのせてしまう辺りが、あいみょんらしいよなーと思うのである。

可愛さと不気味さと、(ある種の)エロさとキュートさを織り交ぜたあいみょんだからこその絶妙なバランス。

あいみょん自体が苦労を表に出さないようなタイプの、自然体な感じがするようなタイプのアーティストだから、全てが軽やかに見えるけれど、このバランスをこの形で成立できるのは、あいみょんしかいないよなーとつくづく思うのである。

まとめ

そうめんみたいにツルッと聴ける名曲ぞろいのアルバム。

だから、アルバムを聴き始めると普通に30分とか経ってしまう。

出勤前に聴くと危険なアルバムなのである。

出勤前の惰性をまさぼるタイミングで聴くと、その時点で「遅刻」を確定してしまう、そういう恐ろしい魅力に包まれた一曲なのである。

あと「そんな風に生きている」は、初期のスピッツのような危うさを感じて、個人的にすごくツボ。

なんかスピッツのアルバムでいうと「名前をつけてやる」とかに入ってそうな感じがしたので、すごく好きなのだ。

まだちゃんとアルバム聴いていないやという人はぜひ聴いてみてほしい。

では今回はこの辺で。

ではではでは。

スポンサーリンク

LINEで送る
Pocket