YUKIというアーティストの特殊性

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長いキャリアを積んだアーティストの場合、付きまとうのが「なんだかすっかり変わっちゃな・・・」という言葉である。

特に長い間、第一線で活躍しているアーティストほどどこかで明らかに変わってしまうタイミングがきてしまう。

その変わり方が自分の好みに寄せたものだったら良いけれど、変わる前のアーティストが好きだった場合、ほとんどが望んでいない変わり方になってしまう。

それでも応援するのか、そこから離れてしまうのかは人によって違うけれど、どうしても一組のアーティストを応援していると、遭遇しがちな問題だとは思う。

そう考えたとき、YUKIは特殊なアーティストだよなーと感じる。

もちろん、バンド時代とソロ時代は大きな変化があったけれど、ソロになって15年以上のキャリアを持つアーティストとしては、大きな方向性によるファンの絶望が、ほとんどないように感じるのだ(あくまでも個人的な意見なので、個々として色々あるかもしれないが)。

YUKIというアーティストに対して思うこと

まあ、「PRISMIC」の頃はバンドからソロに変わったところで、模索しながら曲を作っていたような感じがするし、ロック畑育ちの女性ソロアーティストというテイストが強かった気がする。

ソロデビューシングル「the end of shite」からそういう雰囲気を感じさせる。

でも、YUKIはその路線に固執することはなく、作品をリリースごとに違う側面を見せていくようになる。

YUKIの代表曲のひとつである「JOY」もそうだし、その「JOY」を収録したサード・アルバムの「joy」もそうだけど、この辺りでは打ち込みの多用した曲が目立ってくる。

6作目の「megaphonic」では、よりダンスミュージックに接近する歌が増えてくるし、7作目の「FLY」では、ヒップホップ的な要素も取り入れている。

まあ、個人的に5〜6作目の期間で一番好きな曲は、ダンス・ミュージックでもヒップホップでもない「2人のストーリー」だったりするんだけどね。

哀愁の漂うサウンドとメロディーと、切ない終幕しか予感させない歌詞。

冒頭でいきなり「ローソン」という固有名を使うセンスも含めて大好きな一曲なのである。

あと、MVの女装している加瀬亮も好きである。

あと、「megaphonic」のアルバムで言うなら「鳴いてる怪獣」なんかもめっちゃ好きなんだけど、こういう話をしていたら、話が散らかるだけなので割愛する。

何が言いたいかというと、YUKIは変わらないイメージのアーティストではあると思うんだけど、積極的に変わってきたアーティストでもあるということだ。

最新作の「forme」では、所属事務所を移籍したということもあって、今まではまったく違うアーティストに声をかけて曲を作ってもらっている。

また、自身で作詞作曲を手がけた曲も収録しているし、何よりアルバムがセルフプロデュースであり、ほとんどの曲のアレンジも自身で手がけている。

このように、YUKIのディスコグラフィーは実にカラフルなのである。

でも、YUKIとしてのカリスマ像というか、根底にあるものというか、世界観というか、そういうものは変わっていないように感じる。

言ってしまえば、どんなジャンルを取り込んでも、それを「YUKIならでは」で解釈して取り込んでいくから、どういう変化をしても、YUKIらしくなる。

そして、変わるとしても「YUKIならでは」という部分をすごく大切にしているから、変わり方そのもので絶望することはないのかなーなんて思うのだ。

ドーム規模の会場を埋めることができるアーティストの場合、当然ながらファンの数だけ、そこに虚像をみるというか、思い思いのYUKI像があるはずで、YUKI自身がそのつもりではなくてもなんだか変わったな・・・と思われることは十分にあるはずなのだ。

でも、YUKIは装いを変えたとしてもYUKIとしてあり続けてきたし、変わることと変わらないことを両立してきた稀有なアーティストだなーと思うのだ。

しかも、YUKIの世界観って、簡単に言ってしまうと「かわいい感じ」とか「ちょっとファンタジーな感じ」みたいな言葉に置き換えられると思うのだ。

当然ながら、そういう世界観って維持しやすいものではないはずだ。

でも、YUKIの場合、そこの部分を大切にして、守ってきているように感じる。

フリフリな格好でキレキレのパフォーマンスをして魅了する。今でも変わらずに。

これって、すごいなあと思うのだ。

だってさ、歳を重ねたらどうしても若い頃と同じようには、できなくなるわけで。

パフォーマンスの部分でもそうだろうし、見た目の部分でもそうだろうし。

もちろん、それ自体が悪いことではないし、歳を重ねるからこそできる魅力あるパフォーマンスもあるかと思う。

でも、そのなかで、どうしても変わることを選択する必要が出るわけだ。

けれど、YUKIにはそういう当たり前を軽やかに超えてみせる。

ここがYUKIの凄さだと思うし、ミーハーな自分が、今でもYUKIの魅了される最大の理由なのかなーと思う。

まとめ

変わるとか変わらないとかの話ばっかりしてしまったけれど、YUKIの場合、声が良いし、その表現力がすごく良いところもポイントである。

歌詞においてもYUKIらしいなーと思うフレーズがあって、それをYUKIらしい表現力で歌うからグッときたりするのだ。

簡単に言えば、作品のクオリティが高いから魅力されるという話。

音楽的な素晴らしさと、カリスマとしての素晴らしさの両方を兼ね備えているから、YUKIの魅力されてしまうという、そういう話なのである。

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