10年音楽ブログを運営した筆者が、個人的におすすめする10冊の本

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ごくたま〜にブログをやりたいですとか、ライターになりたいです、どうすればいいですか?みたいな言葉をもらうときがある。

ブログに関しては

・とりあえず、さっさとブログを開設する
・「更新できない」の理由をぶっつぶして、とにかく習慣的にブログ記事を更新する

上記しかないと思う。

ある程度、恒常的に更新できるようになったら

・どうしたらアクセスを増やすことができるか?
とか
・どうしたら自分の伝えたいことを伝えることができるか?
とか
・ブログをきっかけにライター系の仕事を得るにはどうしたらいいか?
とか、
別の角度からの解決したい問題が出てくると思うけど、まずは「やること」と「それを習慣化すること」で、ほとんどの場合、この前提に至ることができないことが多い。

なので、「ブログをやりたい」に関しては、そこで完結すると思う。

ただ、ブログを恒常的に更新するにはどうしたらいいか?の悩みを考えると、ある程度同様に恒常的なインプットも必要なのかなと思う。曲を生み出すバンドマンであれば、(基本的には)それと同じくらいのインプットをしているはずだ。音楽の場合、必ずしもインプットするべきものが”音楽”である必要はないと思うが、音楽であれば、別のカルチャーのものであれば、定期的なインプットが習慣化していない人であれば、いずれ”弾”は尽きてしまうし、そうじゃないとしたら、同じタイプのアウトプットしかできない状態に陥りがちだと思う。

「文章を書く」という点でも、それは同じだと思う。

音楽を作るとか、映像を作るとかと違って、文章であれば誰でもできるからこそ、敷居こそ高くはないものの、自分目線で面白い文章を書く人は、それ相応に、様々なカルチャーのインプットを受けているし、本(あるいはテキスト媒体)のインプットも多い。

自分は文章でご飯を食べている人からすれば、文章の技術は見習いの域を出ないし、インプットもアウトプットも”甘い”と言わざるを得ないけれど、それでも、比較的本も読む習慣があるには、ある。

ということで、今回の記事では自分が一読して好きだなーと思う本を紹介したい。いつか書店で自分が紹介したブックフェアを行うのであれば、この本を紹介したいという視座で、10冊の本を紹介してみたい。

本編

『オルタナティブロックの社会学』 南田 勝也 2014年刊

ロックを体系的に扱った本って、世にいくつか刊行されている。んだけど、ここでいう「体系的」って古典的なものが多い。要はすでに音学史として「これはこう!」とある程度確定された時期までを取り扱った本は多いんだけど、変動性があって価値がまだ定まっていない現代に近いものほど、音学史として語られることが少ない。そんな中で、自分が読みたいと思っていた時代を扱っていたのが本書だった。カート・コバーンを起点にして90年代~00年代を洋・邦問わずに「オルタナロック」を取り扱う。今の視点からみると更新されるべき内容もあるが、学びを得ることができるのは間違いない。

『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』 柴那典 2014年刊

ボカロ史を体系的に扱った本って、あんまりないなかで、ボカロ史の抑えるべきトピックをまとめながら体系的にまとめられてた本。刊行は2014年のため、あくまで2010年代前半までの話しかないわけだけど、仮に今後ボカロ史のテキストを書くことがあれば、当時までの歴史をおさらいする上で参照できるテキストであるように感じるし、刊行された当初にすぐに購入した自分の視点から考えても、印象深い一冊。

『OzaShinの誰でもわかる音楽理論入門』 OzaShin 2022年刊

表紙はアニメ絵で「狙っている」感もあるけど、中身は実用的かつわかりやすい。音楽理論の勉強をしたいけど、専門用語がよくわからないという状態の方は、まず本書を手に取ってみると、見通しもよくなるんじゃないかなーと感じる一冊。ただし、作りたいものを実用的に作るための本というよりは、タイトル通り理論を学ぶための本であるため、目的と用途を見極めて読むと、より良いのではないかと思う次第。

『動物化するポストモダン』 東 浩紀 2001年刊

評論ってこんなアプローチもできるんだという新鮮さを覚えた一冊。確かに今読み直すと、これってどうなんだろう?と指摘したくなる部分もある一方で、当時の視点からはサブカルチャー的な作品をクリティカルな視点で、社会学的な要素を接続しながら構築してみせていた本書の視座は、ただただ面白かった。2024年の現代においても、カルチャーに対して、こういう論考のあり方もあるのかと参考になる一冊。

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』 ふろむだ 2018年刊

認知バイアスや行動経済学に関する本を読んだことがある人なら「知っている」トピックが並んでいる本ではあるけど、その語り口や実例の出し方が秀逸で、シンプルに面白いと感じる一冊。特に「錯覚資産」という概念は秀逸で、<何を語るか>よりも<誰が語るか>がなぜ影響として大きいのか?という切れ味のある語り口で示されていく。

『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』 若林 正恭 2020年刊

オードリー若林の旅エッセイ本。・・・ではあるんだけど、書いている内容はよくある芸人の旅エッセイ本とは一線を画す。資本主義をベースにした社会システムに素朴な疑問を投げかけ、学術書とは異なる形で、人が作り出した社会システムを浮き彫りにしていく眼差しや切り口がとにかく秀逸。芸人が書いた本で好きな本を一冊選べと言われたら、現時点ではこの一冊を選んでしまう程度には、自分的にもバイブル的な一冊。

『E.G.コンバット』 秋山瑞人 1998年刊

すでに書籍としては廃盤になっているライトノベルなんだけど、自分の読書遍歴において、この本の作者である秋山瑞人への突き刺さり方がエグい。バンドにおいてはスピッツとBUMP OF CHICKENがどっぷりハマるきっかけだったんだけど、こと小説にハマった原点は秋山瑞人の著作である自分。そんな秋山瑞人の著作でも、特にユーモア溢れる文体とSF要素(特に人工知能)の描写が鮮やかすぎる『E.G.コンバット』は、初めて読んでから20年以上経った今なお、自分の中のバイブル的な一冊。

『イニシエーション・ラブ』 乾 くるみ 2007年刊

一時的ミステリ小説にハマっていた時期があった。横溝正史や松本清張といった現代からみると古典的な作品から、島田荘司や綾辻行人のような新本格派から、東野圭吾や伊坂幸太郎や宮部みゆきのような大衆的?な作品から、乙一や西尾維新や米澤穂信のようなラノベ色がある作品まで、わりと雑多な読んでいたんだけど、ラスト一行で本当に全てがひっくり返されたと感じたミステリ小説のひとつが、この『イニシエーション・ラブ』である。文章という魅せ方で、物語ってこんなにも面白くできるんだ、文章だからこそのワクワクのひとつってこういうことなんだ!と目から鱗的になった作品でもある。

『君が手にするはずだった黄金について』 小川 哲 2023年刊

最近読んだ小説で特に印象深いものがを挙げようと考えたときに出てきた作品が、これ。短編っぽいテイストでいくつもの作品が連なっているんだけど、全ての物語を駆け抜けることで、文章が紡ぐ世界がどんどん揺らぐような心地になってきて、「僕」が紡ぐ物語にぐいぐい引き込まれることになる。文章だからこそ感じられる”自我”を通して感じることができる興奮は小説という媒体だからこそ為せる技。今一番おすすめしたい小説のひとつかもしれない。

『完全教祖マニュアル』 架神 恭介、辰巳 一世 2009年刊

タイトルが怪しすぎるんだけど、色んな意味でガチな一冊。マジで丁寧かつ親切に「教祖」になるにはどうしたらいいのかを、ユーモアたっぷりの文章で教えてくれる作品だ。なんなら商品を作ってブランドを立ち上げた人が、どのように世の中をサバイブしたらいいのか、というヒントも本書には詰まりまくっている。15年以上前の著作だが、ここに書かれている内容は何一つ色合わせていないし、人気ブロガーでもいいし、インフルエンサーでもいいし、教祖でもいいんだけど、そういう欲求がある全ての人種に読んでほしい、そんな一冊である。

まとめに代えて

もし自分がBOOKフェアを作るならこの本を紹介したい!というマインドで、ジャンル問わずに自分のバイブル的な作品を紹介してみた。もし興味があれば、よかったら読んでみてほしい。

では、今回はこの辺で。

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