前説

スポンサーリンク

みるきーうぇいをご存知だろうか。

アッパー系メンヘラ、伊集院香織による一人バンドプロジェクトである。

今は東京を拠点に活動しているが、実はもともとの拠点は関西。

あの寿司くんにはじめてMVの仕事を発注したのもみるきーうぇいだったりもする。

今回はご縁があって、みるきーうぇいの伊集院香織さんにインタビューさせていただきましたので、早速その内容をお伝えしたいと思います。

では、どうぞ。

本編

2020年9月にリリースされる3rd mini album「僕らの感情崩壊音」までの話

伊集院香織:自分が成長できるようなメンバーと次はレコーディングして、より成長できるようなメンバーとやりたいなって思って、いろんなサポートメンバーと合わせてライブしてて。ライブは今でこそできなくなっちゃいましたけれど、頻繁に大阪でやっていて。で、その辺りで今のレーベルさんにお声を掛けていただいたときに、もう東京に来るっていう話になり、ただあたしがどうしようかなって思って悩んでいて、ちゃんと準備してから東京に行きたいなと思い、曲を結構何十曲レベルで書き溜めた1年間があって。それが2018年から19年くらいでした。

──そうなんですね。

伊集院香織:いよいよ上京するかと思って、2019年に上京して、1月には(今作の)レコーディングを終えてたんですけれど、世間がこの状況になり、さらに半年くらい延びて、ようやく(リリースという)感じで。気づけば(前作のリリースから)3年っていう感じで。

──3年・・・。

伊集院香織:一番いい形でレコーディングしたくて、制作期間をがっつり設けていたところとかもありますね。弾き語りとかはよく出していたんですけれど、アルバムがすごい久々になってしまった感じです。

──なるほどですね。つまり、今回の6曲は満を持した6曲が選び抜かれた6曲感じですか?

伊集院香織:そうですね。自分の中ではベストアルバムぐらいです。全然ベストアルバムの曲数じゃないですけれど(笑)。今のみるきーうぇいはこれだ!っていう6曲を厳選した感じです。

──いくつも楽曲がある中で、この6曲を世に出したいってなったんですか?

伊集院香織:そうですね。勝手に新しい始まりのアルバムにしたいとずっと思っていたんで。その新しい、みるきーうぇいの新章にふさわしい6曲を選んだ感じです。

──曲の内容で言ったら、いわゆる失恋ソングがあったり、逆にこの時期にふさわしい感じの曲もあったりと、けっこう幅が広い印象を受けたんですけれど、全体のテーマなどはなくて、1曲1曲にストーリーがある感じですか?

伊集院香織:そうですね。最終的には「僕らの感情崩壊音」というタイトルになったんですけれど、まず「ドンガラガッシャンバーン」がライブですごい評判が良かったときに、これはこれから推していきたい曲だなって思って、その「ドンガラガッシャンバーン」を軸に、自分の時事体験を曲に落とし込むのが好きなんですけれど、その「ドンガラガッシャンバーン」を含め、自分の感情が壊れるほど突き動かされた6曲に最終的になったっていう感じでしたね。

──「ドンガラガッシャンバーン」にも実体験が込められているということですか?

伊集院香織:当時付き合っていた彼氏と喧嘩したときに、もう喧嘩の理由も忘れちゃったんですけれど、この人とはやっていけないかもしれないと思ったことがあって、その彼氏の家から真昼間に泣きながら駅までの道のりを歩いていたんですけれど、すごい晴れた日で。すごい悲しいのに、気持ちとは裏腹にすごい心地いい日で・・・。で、そのときに、“恋が崩れる音を知ってるか ドンガラガッシャンバーン”っていう2行が頭の中に出てきて、傍から見たらヤバいオンナですけれど、その2行をスマホにとりあえずメモして、ちょうどその夜かその次の日かに、バンドのスタジオがあって、ノリでセッション的なことをしているときに、私がその2行をなんとなくメロディーに乗せて歌ってみたら、当時のサポートの子が「今の誰の曲?めっちゃいいやん!」って言ってくれて、じゃあそのままこれを作ろうってなって、一晩くらいでおおもとは完成した感じです。衝動的にできた曲でした。

──他の曲もそういうパッと降りてきたフレーズで作ることが多いんですか?それとも全然違うアプローチで作ることが多いんですかね?

伊集院香織:「汚れた手」はいわゆるパッと思いついた、降りてきた系です。他はメロディーだけ思いついてて、このメロディーは良いから残しておこうと思ってて、歌詞を当てはめた曲とかもあって。「大阪路地裏少年」とか「傷跡の観測」は、そんな感じですかね。

──なるほどですね。

伊集院香織:メロディーだけ思いついて、それをボイスメモで録音してストックしているのは大量にある感じですね。

──とりあえず鼻歌ベースで曲を作って、みたいな感じなんですね。

伊集院香織:そうですね。で、それに歌詞もメモ書きをもとに作る感じです。

──ちなみに、6曲とも全部映像が付くようなんですね。

伊集院香織:最初は「ドンガラガッシャンバーン」のMVをとりあえず作ろうって言っていて。ただ、「汚れた手」が自分的に大事な曲なので、それを映像にしたいなとは思ってたんですけれど、どうだろうなっていう感じでチーム内で相談していて。「ドンガラガッシャンバーン」と何かもう1曲くらいのイメージ感だったと思うんですけれど、そうこう言っている間に、(コロナによって)すごいことになっちゃって、じゃあもうサブスク時代だし、どっちかというとバンバン出して聴いてもらえるほうがいいよねということになって。

──そうなんですね。

伊集院香織:「ドンガラガッシャンバーン」は中村監督(Hiroki Nakamura)にお話していたんですけれど、それ以外の収録曲は、去年ぐらいからずっと映像を撮ってくれている子がみるきーうぇいの映像をやってみたいって言ってくれてたんで、それをチームに共有したら、じゃあ撮ってもらっちゃう?ってなって。コロナがなかったら、全曲が映像にはなってなかった気がしていて、そこは嬉しかったなと。

──ちなみに、「汚れた手」が自分の中で特に大事な歌だって今チラッと話にあったんですけれど、何か具体的な思い出があるんですか?

伊集院香織:そうですね。数年前なんですけれど、元彼とセックスフレンドになっちゃったときがあって。その時のことを誰にも言わず、ずっと隠してたんです。ある日、ファンの女の子が好きな人とセフレになっちゃって悩んでますっていう相談をTwitterでしてくれたときに、めっちゃずっと隠してたのに、私がさらっと「そのセフレはもう本当にしんどいよね。卒業できたらいいね」っていう意味のツイートをして。で、さらっと言えちゃたなと思って。そしたら急に、曲にしてみたいなって思うようになって。この曲は生々しいといえば、生々しいかもしれないので、引く人は引くんかなと思ってたんですけれど、ライブで何回もやっていくうちに、あの曲がすごい好きだって言ってくれる人がいっぱいいて。言えないことを共有できるってすごいことだなって勝手に自分の曲に教えてもらって、そういう意味でもすごい大事な曲です。

──作品について、他にも、こういうところにこだわったとかありますか?

伊集院香織:他のバンドさんとかで、例えば歌詞はもうどうでもいいという人、いるじゃないですか。歌詞にそんなに重きを置いていないみたいな人もいると思うんですけれど、私は歌詞に重きを置いているタイプで、やっぱり歌詞は見てくれると嬉しいですね。メロに噛み合う言葉みたいなのは、前までよりさらに意識したかもしれないです。

──このフレーズが一番気に入ってる、とかはあったりしますか?

伊集院香織:「ドンガラガッシャンバーン」の“恋が崩れる音を知ってるか ドンガラガッシャンバーン”というさっきの2行は、パッと出てきたビジョンで、その「ドンガラガッシャンバーン」を経験した人は多い気もして、急に大切に積み上げてたものが全部崩れ去る感じを2行にできたのは、すごいうれしかったですね。あと、これは友だちに言われたんですけど、「傷跡の観測」って曲の歌詞の最後で“生きていこう”っていう歌詞を入れたんです。何気なく入れたフレーズなんですけど、今までのアルバムでは「死にたくなるほど好きだった。」とか「ほんとは生きるのとても辛い。」って歌っていたみるきーうぇいが、今回のアルバムの6曲目をボーナストラックと捉えると、「傷跡の観測」が一番最後の曲になるんですけど、その一番最後の曲で“生きていこう”って歌っているのは、めちゃくちゃエモいなって言われて、意識していなかったけれど、確かにって思って。

──前向きな言葉を書きたいとか、そういうこともなく、気がついたらぽろっと出ていたということですか?

伊集院香織:そうですね。曲自体は暗めなんで、“笑ってまた会えるとしたら 傷と傷を擦り合わせて 血を分け合おう”っていう歌詞のあとで“生きていこう”って歌詞を入れたんですけれど、さらっと、そう歌いたかったから歌った感じがありますね。バンドで合わせているときに、さらっと最後にそれを歌った感じで、何気なく出た言葉でした。

コロナを受けて感じたことと、これからの話

──ツアーに関しては、今はまだ白紙なんですか?

伊集院香織:そうですね。本当は(今作は)7月に発売予定で、7月にリリース企画みたいなのを挟んでいたんですけど、それが飛んじゃって。今の状況だと延期の延期みたいにどんどんなっちゃってるから、悩み中な感じですね。したいけどなあっていうところです。

──配信ライブをやってみたときは、生のライブと違いを感じましたか?

伊集院香織:そうですね。弾き語りの配信とかだとお客さんと交流しながら、コメント読み上げながらできるので、ファンの人との交流ができるのは今の時代やからこそだなあと思って。バンドでも、下北沢のライブハウスから配信したんですけれど、お客さんも撮影してくれる人とか一部のスタッフさんだけっていう感じで。ただ、その一部のスタッフさんがちょっと乗ってくれたりしたら、すごいありがたくて。スタッフさんもやっぱりライブを欲してたんかなと勝手に思って、それがすごい、勝手に感動的でした。30分ずっといてくれて、30分ずっとリズム乗ってくれていて。もちろん、配信ライブを観てくれているお客さんに向けてしてくれてるんですけれど、その時にちょっとだけ1人のために歌う大切さを感じて。たぶんBUMP(OF CHICKEN)の藤原基央さんの言葉だったと思うんですけれど、ライブで一人ひとりに歌いたい。みんなというか、一人ひとりに向かって歌っているつもりだからというのを言っていたときがあって、1万人とか平気でいるのに、そんなことを言ってくれるんだと感動したんですけれど、その気持ちの大切さをちょっと思い出したというか。それで画面の向こうの人一人ひとりに届いていたら良いなと思って、コロナ期でちょっとだけ、改めて一人ひとりへ届けることの大切さみたいなのを思い出せた感じがよかったです。

──やりやすさ的にはどうなんでしたか?

伊集院香織:元からめっちゃ盛り上がってみんなで同じ振付をしてみたいなところがマジでないバンドだったので、「ドンガラガッシャンバーン」で「バーン、バーン」ってみんなが言ってくれるぐらいで。元からそれを欲してないというか、一人ひとりが聴いてくれたらいいとは思ってたほうのバンドなので、その辺りはあまりギャップなくできた方だと感じます。

最後に再びアルバムの話

伊集院香織:3年前に出したアルバムまでのスタンスが、気に入る人は気に入ればいい、あとは知らんくらいのテンションだったんですけれど、この3年くらいの間で自分の中で変わったのが、ぱっと見、ザ・メンヘラじゃない子とか、女子も男子も意外と恋愛のことになったら、めっちゃメンヘラになってたりするんだなと、この3年くらい気づきがあって。普段、バンドとかはあんまり聴かない子とか、いわゆるメンヘラバンドみたいなのだとちょっと引いちゃう子とかでも、たぶん私と一緒やでというのを感じて、より間口を広いアルバムにしたいと思って。それは「ドンガラガッシャンバーン」ができてくれたおかげで思えて。この曲ならいろんな人が共感できるんじゃないかなって思って作れた曲でして。

──それは東京に来たから、そういう心境になったというのもあるんですか?

伊集院香織:そうですね。関わる人が変わったから。東京に来て、私ひとりが主体で、でもそれを手伝ってくれるチームの人たちがいてっていう中で芽生えた感情だったかもしれないです。

リリース情報

発売日:2020/9/30(水)
商品タイトル:3rd mini AL「僕らの感情崩壊音」
収録曲:全6曲収録
価格・品番:1800円(税別)UMCK-1658
収録曲
M1:「ドンガラガッシャンバーン」
M2:「大阪路地裏少年」
M3:「汚れた手」
M4:「出席番号」
M5:「傷跡の観測」
M6:「カッターナイフとカセットテープ(ver.2020)」
商品予約はこちらから↓↓
UNIVERSAL MUSIC STORE
https://store.universal-music.co.jp/product/umck1658/

みるきーうぇいプロフィール

#アッパー系メンヘラ、伊集院香織による一人バンドプロジェクト「みるきーうぇい」。

本人の実体験から生み出される痛々しい魂の叫びが同じような経験のある若い世代を中心に絶大な支持を受けている。

自身が体験した”いじめ”を題材にしたMV「カセットテープとカッターナイフ」がSNSを通じて紹介したことも起因し、大きな話題を呼ぶ。

2016年、1st single『カセットテープとカッターナイフ』を前代未聞のCDではなくカセットテープで初全国流通。

インディーズウィークリーランキング第5位となり、完全自主レーベルのインディーズバンドにして快挙の数字を叩き出す。

2019年には自身の楽曲をモチーフに、半自伝小説「放課後爆音少女」を執筆。

伊集院香織名義にて、小説投稿サイト「LINEノベル」に投下すると、月間ランキングにて1位を獲得。

自身でショートストーリーを描き、それに主題歌を付け発信する新しい“音楽と小説の融合”を生み出すアーティスト。

■みるきーうぇい オフィシャルHP URL
http://milkyway-music.com/
■伊集院香織(みるきーうぇい)オフィシャルTwitter
https://twitter.com/kaori__milkyway
■伊集院香織(みるきーうぇい)YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCICpTrWbTDPiBufE4cerGjw
■伊集院香織(みるきーうぇい)Instagram
https://www.instagram.com/kaorimilkyway9/
■伊集院香織(みるきーうぇい)note
https://note.com/milkywaykaori/followings

スポンサーリンク

LINEで送る
Pocket