前説

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星野源の音楽ってとてもワクワクする。

「創造」もまた、そういうたくさんのワクワクとキラメキが詰まった一曲だと思う。

ただ、星野源の歌に詰め込まれたワクワクって他のアーティストのそれと少しテイストが違うのだ。

どういうことか?

「創造」の感想を交えながら、そのことを書いていきたい。

本編

タイアップ先への圧倒的なリスペクト

星野源の作品はタイアップ曲が多い。

そして、そのタイアップの組み方がどこまでも本気というか、そのタイアップだからこそのものを徹底的に作ろうとするのである。

もっともわかりやすいところだと「ドラえもん」だと思う。

「ドラえもん」の映画主題歌として「ドラえもん」というタイトルをつけた歌を歌ったアーティストは後にも先にも星野源しかいない。

当然ながら、ドラえもんというワードそのものが商標となっているわけで、普通こんなタイトル使わないし、アイデアはあってもその前の段階で頓挫するはず。

しかし、星野源はそれをやりのけてしまう。

ややこしい手続きを踏むことになっても、「ドラえもん」というタイアップ曲を世に生み出すのだ。

「ドラえもんのうた」のメロディーを間奏に取り入れたり、ドラえもんの世界観やエッセンスを巧みに吸収した言葉選びなど、星野源にしかアイデアを散りばめた、ドラえもんのタイアップだからこそ生み出すことができた傑作となっている。

星野源は、タイアップ先の世界観をなんとなく匂わそうというレベルを超えて、徹底的にタイアップ先と組みいる。

普通なら権利の壁で断念するようなアウトプットも、取り込んでしまう(この辺りは星野源のみならず、周りのスタッフの尽力があるからこそだと思うが)。

スーパーマリオブラザーズ35周年テーマソングとなった「創造」も、そんなタイアップ先への愛が十全煮に詰まった作品である。

まずは、サウンド。

任天堂のゲームをやったことがある人なら、楽曲のサウンドを任天堂のゲーム作品が彩っていることがわかる。

ゲームのサントラはもちろん、ゲームの効果音や起動音なんかも積極的に取り入れることで、他の作品には独特の世界観を構築している。

任天堂の歴史が「創造」という楽曲の中に図鑑のように詰め込まれているのである。

ポイントなのは、単純にゲーム音楽を楽曲のエッセンスにしましたという感じではなく、どこまでもタイアップ先への愛を感じる構成であるところ。

大きなポイントとしてあるのは、いわゆる任天堂のテレビゲームだけでなく、任天堂のゲーム以外のおもちゃの音も使っているところだと思っていて。

この辺りは「創造」のYouTubeのコメントに細かな指摘があるので、あえてここでは割愛しておく。

何にしても、凄まじい数のアイデアが「創造」に組み込まれていることがわかる。

かつ、その音の全てが、きっちり作品の音楽的快楽を研ぎ澄ませるものとして機能しているのである。

ここも大きなポイントだと思う。

ここまで借り物の要素が複合的に結びつき、作品のワクワクに結びついている作品、そうはいないのではないだろうか。

星野源の愛とリスペクトとアイデアと、それをしっかり形に落とし込む圧倒的な努力が為せる技である。

愛があるのは、サウンドだけではない。

歌詞も任天堂へのリスペクトに満ち溢れている。

歌詞に登場する「花 手札」というワードは、任天堂というメーカーが元々花札を作っていた会社であることを知っていれば「あっ!」と思うワードだし、「枯れた技術の水平思考」は任天堂の有名クリエイター横井氏の言葉で、著作である「ゲームの神様 横井軍平のことば」でもこの言葉が登場している。

「独創」という言葉は、任天堂の第3代社長・山内溥氏が任天堂の目指すべき道として掲げた言葉であり、任天堂を愛しているものならニヤリとさせられる言葉が曲のいたるところに散りばめられている。

サウンドと同様、歌詞でも任天堂の歴史が図鑑のように積み上げられているのである。

かつ。

任天堂のリスペクトを込められたワードを積み上げつつも、きっちり星野源としての作家性も浮かび上がらせる。

ここが凄いよなーと思っていて。

単なる任天堂の借り物の歌、という感じではなく、結局のところ、星野源の圧倒的なアウトプットに昇華されているのだから。

ニュートラルで、どこかシニカルで、でも希望や期待もどこか感じさせられる星野源らしい眼差しが、この曲から浮かび上がってくる。

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単純に作品として素晴らしい

今作は任天堂に対するリスペクトという軸から評価されることが多い作品なのかなーと思う。

でも、今作はそういうものを差し置いて、単純なる星野源の新作として聴いてもぐっとくる作品である。

スピード感のあるリズムアプローチ。

情報量が多い中でも、丁寧に余白やタメを使い分ける鮮やかさ。

マリンバを取り入れるユニークさもあるし、サームサウンドを丁寧に取り込みつつも、楽器ひとつひとつの音色にもこだわる。

だからこそ、ずっと本気モードのジェットコースターに乗っているような、ある意味ずっとサビを堪能しているような、そういう騒々しいワクワクがこの楽曲に満ちているのだ。

あと、サビの星野源のボーカルの重ね方も良い。

単純にいつもの星野源のボーカルで挑むのではなく、複数の声色をした星野源の声を重ねることで、より楽曲の魅力を広げていく。

星野源の<創造>がいかんなく発揮された、星野源にしか到達することができない名曲なのではないかと思うわけだ。

まとめ

サウンド、ビート、音使いや音色、歌詞、メロディー、そしてボーカル。

どれもが圧巻となっている今作。

星野源の創造的アイデアが爆発している。

星野源にしか作れないクリエイティブが、輝いている。

新世代の才能があふれがちな音楽シーンだけど、まだまだ星野源が(良い意味で)異端であることを証明した今作。

やっぱり、この人、とんでもなくすごい。

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