前説

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9mm Parabellum Bullet(以下、9mm)って人によってどういう立ち位置のバンドなんだろうと考えてみた。

シンプルに言ってしまえば中堅バンドの一つという感じ。

中堅バンドと言ってもたくさんのバンドがいるけれど、9mmは、滝が負傷してしばらくライブ活動休止になったこともあり、場合によって活動休止をしないといけないような事態になりながらも、直接的なメンバーの入れ替えは行われず、サポートを入れながらもコンスタントに活動を行なってきたバンドである。

そういう「続けてきた」からこその渋みと格好良さを持ち合わせたバンドである。

なんだけど、メンバーの見た目がほどほどに渋いからか、今の若いロックリスナーで、9mmを積極的に聴く人はあまりいないような感じがする。

たしかに個性的なバンドが次々へと出てくる中で、世代が違う人からみたら、9mmはそこまでフックの強いバンドではないのかもしれない。

もちろん、ファンからすれば「んなわけないだろう」な案件だと思うし、よく動くギタリスト滝の名前を出さずとも、個性に満ち溢れたバンドであることは間違いない。

んだけど、20代前半よりも若い人からしたら、わかりやすいキャッチーなものが見えづらいのかもしれない。

というわけで、この記事では、じゃあ仮に9mmを聴いたことがない人に9mmの良さを伝えるにはどうすればいいのか?というところに対して、自分なりに考えながら言葉にしていきたいと思う。

9mmの話

個人的なイメージで言えば、9mmはBLANKEY JET CITYやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが築き上げた「ロック的なもの」を正統に受け継いだバンドなんじゃないかと思っている。

というのも、元々はミッシェル(というか菅原がアベフトシに影響を受けていたことが大きいと思うんだけど)に影響を受けていたこともあり、ガレージロック的な性質の強い音を鳴らしていた。

そのため、90年代の日本語ロックバンドが築きあげたロック的な要素を多分に吸収しているのである。

ただ、9mmがすごいのはただのルーツロックに終わらせていないところである。

9mmは、そこから様々なロックを取り入れていく。

パンクも取り込むし、グランジも取り混むし、ギターのリフがガチャガチャしていたり、ドラムがツーバス制度を取り入れていることからもわかる通り、メタル的なものもしっかり音として落とし込んでいる。

ロックバンドがロックバンドとして表現できる多種多様なアプローチを取り込んだ9mmは、様々はロックを知っている人ほど、その音楽性の多様性にびっくりする、専門店でありながら大型デパートでもあるみたいな進化を遂げたのである。

何より、多様性のあるロックを奏でることができたのは、メンバー全員が高い演奏技術を持ち合わせていたからである。

いま、聴いてもカッコいい。

このように、メタル的な要素をオルタナ的に落とし込んだところが9mmの一つの特徴だと思っているんだけど、様々なテクニックを武器にしていくなかで、9mmの音楽は高速の流れを組むことにもなる。

ももクロやボカロを始めとする、日本の様々な音楽の高速化とも繋がるようにして、9mmはロックシーンに不動の地位を築くようになるのだ。

ほんと、当時はフェスでも圧倒的な存在感を放つライブバンドとして君臨していたのだった。

実際、9mmは日本語ロックバンドとして様々な革命を起こしてきた。

メタル要素のあるオルタナティブ・ロックとして、強靭的な速度で複雑なリフを展開する技巧派なロックを打ち立てたとのがその一つ。

そして、もう一つ大きな要素として挙げられるのが、9mmにしかない文学的なテイストの言葉遣いだと思うのだ。

どういうことか?

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文学的である9mm

元々、菅原は読書好きということもあり、タイトルのモチーフや歌詞のフレーズを小説などから引用することもあった。

そのため、他のロックバンドにはあまりない言語感覚やワードチョイスをすることも多く、そこが9mmの魅力の一つとなることも多かったのだ。

なにより、9mmが文学的になる上で大きかったのは、デビュー当時のプロデューサーを担当したのが、元スーパーカーのメンバーであり、最近では関ジャムの「歌詞解説のご意見番」としても名高い、いしわたりであったことであろう。

いしわたりの言葉に対する嗅覚は、いしわたりが携わった作品や、関ジャムなどの指摘でもわかるかと思う。

で、9mmはデビュー初期から、そんないしわたりのセンスに触れて曲を作ってきたわけだ。

おそらく、この経験はとても大きかったのではないかと思っている。

そのため、9mmは音がソリッドなだけでなく、日本語ロックバンドという名に相応しい、日本語を大切にする、文学的な素養を持ち得たバンドになったのだ。

これは9mmの魅力を語るうえで、重要なのではないかと思っている。

実際、2017年にリリースされた「BABEL」というアルバムでも「ガラスの街のアリス」という曲は、オースターの小説から着想を得たそうだし、<アリス>というワードがタイトルに入っているのも、文学的嗅覚があるからこそだと思う。

アルバムが「BABEL」というタイトルなのも、文学的素養を持ち合わせているからな気がする。

なんせタイトルが全てカッコいいのだ。

このアルバム以外の作品や、ツアータイトルなども、言葉のカッコ良さが際立っている。

こういう点からも、「日本語ロック」に革命を起こしたと評価できるバンドなのである。

まとめ

おそらく9mmそのものに大きな影響を受けたバンドはあまりいない分、今の若い子からみると、9mmの印象って地味なのかもしれいない。

けれど、日本語ロックシーンそのものに与えた影響はかなり大きいと思う。

いしわたりのイズムを受け継いだ言葉のセンス、様々なロックのジャンルをミックスさせることで作り上げたオルタナロック、高速化するロックバンドの流れもそうだし、何よりバンドアンサンブルに対する意識を変えたのも9mmなのではないかと思っている。

なんにせよ、ギターロックが好きなら間違いなく9mmの演奏は痺れると思う。

それだけは間違いない。

もし、まだ聴いたことがないというのであれば、騙されたと思って、ぜひ一度聴いてみてほしいなーなんて思う。

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