前置き

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ここ最近、自分のルーツを掘り下げる記事を書いているので、この流れに沿って、自分の音楽史において、とても大きな影響を与えてくれたSpitzのことを書いてみたいと思う。

ちなみに、スピッツの歌詞についてスポットを当てた記事はこちらにまとめているので、よかったら、こちらをよんでみてほしい。

本編

始まりはベストアルバム

小学生の頃からSpitz(以降、スピッツ)のことは認知していて、それこそ「ロビンソン」「空も飛べるはず」「チェリー」は能動的に聴いたことがないはずなのに、サビくらいなら口ずさめるレベルにはよく聴いていた。

んで、中学生になって自分で音楽をレンタルするようになって、「そういや、スピッツの曲、サビはよく聴いたけれど、フルではきちんと聞いたことないなあ。テレビだとフルは聴けないもんなあ、有線だと歌詞わからんもんなあ、歌詞カード見ながらフルで聴いてみたいなあ」と思ったことがきっかけとなり、スピッツの楽曲を借りることになる。

ただ、僕が中学生の時でもスピッツは既にまあまあのキャリアを持っていたバンドで、まあまあの数のオリジナルアルバムをリリースしていた。

で、自分の聴きたい曲は何だろうと思い、CD屋さんで色々と漁っていると、どうやらベストアルバムなるものがあることを知る。

「ロビンソン」「空も飛べるはず」「チェリー」…。

どうやら自分の聴きたい歌は、このアルバムを借りたら全部聴けることが判明する。

これを借りたら、聴きたい歌全部収録されているやん!ひゃっはー、と当時は思ったものである。

「RECYCLE Greatest Hits of SPITZ」という作品のベストアルバム。今では廃盤となったこの作品。

後に、そのベストアルバムはバンドの意向を無視してリリースされた「不本意なベストアルバム」であることを知る。

わけだけど、あのアルバムがあったからスピッツの音楽をたくさん聴くようになった。

そのことを考えると、何とも難しい気持ちになる。

けれど、少なくとも、あのアルバムは自分の音楽史において、とても大きな存在だったし、何回も聴いたアルバムである。だから、難しいよなーと思う。

兎にも角にも、スピッツにめっちゃハマった。

以降、そこから後追いで過去作品を聴くようになるし、「三日月ロック」からはリアルタイムで作品を追いかけるようになる。

スピッツの何が良かったのか?

色々ある。

が、まず一つ挙げるとしたら、他のアーティストとは発想が全然違う歌詞。

これにやられた。

今でもそうだけど、スピッツの歌詞って本当に独特である。

「君のことが好き」という感情を、こんなワードで表現するなんて!という驚きがある。

決して難解な単語を使っているわけではない。

ただ、こういう比喩を用いて、このことを表現するなんて!という面白さがあるのだ。

また、単に感情の表現や比喩表現が秀逸なだけでなく、風景描写がとても鮮やかなのである。

「夏の魔物」であれ、「ロビンソン」であれ、景色の描き方がとても美しいのだ(そして、その美しい描写が心理描写になっている面白さもある)。

まあ、具体的な草野正宗の歌詞の素晴らしさについては、他の記事で散々語っているので、よかったらそちらを読んでほしい。

ただ、美しい描写をしながらも、どこか下ネタ的な匂いを感じさせたり、時には死の匂いを感じさせる美しき不気味さを感じさせるところが、スピッツの真骨頂だよなーと思ったりする。

また、個人的にスピッツが好きだなーと感じるポイントは、シングル楽曲以外の作品の素晴らしさである。

先ほどご紹介したベストアルバム前に「花鳥風月」というカップリング集(厳密に言えば、カップリング集ではないのだが)がリリースされていて、早々とカップリング曲をまとめて聴くことになるんだけど、これがめっちゃ良かったのだ。

カップリングなのに、刺さる歌がバシバシに収録されているのだ。

しかも、シングルは売れ線でアルバム曲はマニアックで良い!という感じの「良い」ではないのだ。

いや、この曲はカップリングじゃなくてシングルでいいじゃん!このメロディーも素敵やん!みたいな歌がアルバム曲にもカップリングにもゴロゴロ転がっているのだ。

スピッツの作品!になれば、どんな歌も素敵に彩られてしまうのだ。

だってさ、「楓」も「夢じゃない」も「春の歌」も「流れ星」もアルバムからのシングルカットなわけですよ。

このことだけでも、その凄さを物語っていることがわかるだろう。

それまでは、アルバム単位で曲を聴くことはあっても、なんだかんだでアルバムには「捨て曲」があって、気に入らない曲がそれは飛ばす、という聴き方をしていたことが多かったんだけど、スピッツは違ったわけだ。

アルバム単位で曲を聴くのって楽しい!そう思えるようになったのだ。

本当に良い曲を量産できるアーティストって「捨て曲」なんてないんだ、ということを、スピッツを聴いて、痛感したのだった。

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とはいえ、一回スピッツから離れる

実を言うと、「とげまる」「小さな生き物」はあまりハマらなかった。

好きは好きだけど、昔の楽曲の方がいいなーというテンションになったのだ。

ドキッとするフレーズも特には見つからない。どこか昔の姿を追い求めてしまう自分がいて、過去を超えられないものを感じたのだ。

もうスピッツは自分にドキドキを与えてくれるバンドではないのかもな、と勝手に思ったのだった。

けれど、再び、ガツンとやられた。

やられたのは「みなと」という楽曲だった。

この歌は本当に良かった。

歌詞もメロディーも、この曲が持つ独特の空気も、スカートの澤部の口笛も、全てが良かった。

そして、その曲が収録されているアルバム「醒めない」で、また完全にやられてしまう。

50前後のおっさんが、あんなに瑞々しい作品を作るなんて!と、マジでドカーンとやられてしまったのである。

まあ、アルバムの想いの丈は別の記事で語っているので、興味があれば探して読んでみてほしいが、このアルバムがとにかくよかった。

それだけは何度でも言っておきたい。

スピッツって、本当に良いバンドなんだなーって改めて思ったものだった。

まとめ

というわけで、超駆け足でスピッツのことを語ってみたが、ほんとスピッツのことは、言い出した本当にキリがないのだ。

ベースの動き(が(どちらの意味においても)変態的で好きとか、ギターの髪型だけしょっちゅう変わるところが好きとか、ドラムが実は一番ヤンキーで(むかしのことだが)そんなギャップのあるところが好きとか、語り出したらマジでキリがない。

とにかく言えるのは、スピッツは自分の中で最初のオルタナバンドであり、その時にガツーンとやられた気持ちは今でも「醒めない」でいるということ。

今年の6月には、NHKの連続テレビ小説の主題歌となっている楽曲がリリースされる予定で、それもとても楽しみなのである。早く聴きたい。

そして、最後に、これだけは言いたい。

令和になっても変わらぬドキドキを提供してくれるバンド。それがスピッツであるということ。

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