前説

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<バンド主催フェス>って言葉はバンド好きの間ではすっかり定着したように思うし、同じフェスでもバンド主催フェスが大好き!というロックファンも多いのではないかと思う。

今ではすっかりバンド主催フェスも多くなったわけだけど、皆さんはバンド主催フェスといえば何を思い浮かべるだろうか?

答えは人の数だけあると思う。

この記事では、そんなバンド主催フェスの中でも、筆者が生まれ育った街である大阪を代表する、あるバンド主催フェスを取り上げてみたいと思う。

マスターコロシアム。略してマスコロ。

PANとSABOTENが主催の、大阪が誇る野外フェスである。

マスコロの公式ホームページhttp://www.master56.com

マスコロの公式Twitterアカウントhttps://twitter.com/mastercoliseum?s=17

今回は奇跡的なご縁でPANのボーカルである川さんとSABOTENのボーカル・ギターであるキヨシさんにお話を伺うことができたので、このマスコロについて色々訊いてみました。

マスターコロシアムって何それ?という人もいるかもしれないが、なるべく色んな人が興味深く読んでいただけるように、「バンドがフェスを主催するからこそのエピソード」も盛り込みながら、マスコロとはなんぞや?というところに迫ってみたいと思う。

では、どうぞ。

インタビュー開始

–なぜ主催という立場で、マスコロというフェスを始めたのですか?

川さん:(最初にマスコロを始めたのが)2006年で、今から14年前なんですけども、その頃からフェスもちょこちょこあって、そういうのに出たいなっていうのはあったけど、PANもSABOTENもなかなかフェスに呼ばれへんし、待っててもしゃーないし自分らでやろうかって感じで、第一回が始まりました。

–なるほど。

川さん:で、自分らだけじゃできひんから、JANUSとかOSAKA MUSEとか2nd LINEとか(のライブハウスのお世話になっている人に)相談して、ライブハウスチームと一緒に(マスコロを)作ろうということになりました。場所はずっと変わらず(初回から)大阪城音楽堂ですね。

キヨシ:当時、ほんまに大阪で野外のフェスいうたら、それこそサマソニのようなイベンターがやってる大っきいのしかなかったんで、こーゆーバンドが主催しているっていうのはほぼほぼなかったんちゃうかな。10年くらい前まで遡ると、僕らの聴いてたHi-STANDARDとか(がやってるみたいな)。それくらいでしたね。

川さん:AIR JAMをみて、バンドええなあって思ったもんなあ。

キヨシ:こんなんできんねんや、みたいな。

川さん:だから、(AIR JAMの)影響はどこかしらにあるというか。チケット代が安いとか。そういうのも何かしら影響があったり。

※マスコロはスタート時からしばらくの間は、チケット代金が999円だったのだ。

川さん:AIR JAMって、あんだけの規模で1900円とかでやってて。それってすごい手頃な価格で。(じゃあ自分たちも)下げれるところまで下げようぜってなって。(だから)始まったときは、999円。

キヨシ:1000円を切るっていうね。破格も破格。

川さん:ちょっと安すぎたなっていう。

キヨシ:もう赤字も赤字で。

–(笑)。ちなみに、今年のマスコロはサブタイトルに「〜マスコロがある時、ない時。今年はある時!!熱ぅっ〜」とありますが、今年の具体的なコンセプトはあるんですか?

川さん:毎年、そういうちょっとしたものは付けながらやってるんですけど、今年もマスコロやるよって宣言したときに、なんかこう馴染み深いキーワードみたいなんないかなーってなって、大阪のイベントっていうのもあって、(大阪人には馴染みのある)551をモチーフのサブタイトルにしました。

キヨシ:あれを決めるだけで、何時間もかかったもんなあ。色んな案を出し合って。

–他にどんな案があったんですか?

キヨシ:なんかことわざみたいなんとかあったりしたよな。「見たい、聴きたい、歌いタイ!」にかけたやつとか。まあ、ほとんどダジャレみたいなんが多いんですけどね。ただ、正直このサブタイトルに、イベントに直結した深い意味はあまりなくて、キャッチーに色んな人に伝えたいなってところで決めた感じなんですよ。毎年、積み重ねてるんで。(だから)今年はがらっと変わって、こういうコンセプトでやりますっていうよりは、(昨年を)さらにブラッシュアップして追加していくって感じですね。

–では、14年のマスコロをやってきた中で印象的に残っているものってありますか?

キヨシ:大雨かな・・・。

川さん:今まで2回雨が降ったんですよ。逆に言うと、今まで2回しか雨が降ってないんですけど、始まって3年くらいのときの雨がすごくて。

キヨシ:2009年なんですけど、豪雨やったんですよ。これちょっと危険じゃないかっていうくらいの大雨やって、中止してもおかしくないくらいのレベルで。空も真っ暗で、雨も強のシャワーみたいな。お客さんも「寒っ!寒っ!」って。でも、みんなライブをやるとぶわーってなるじゃないですか?ステージから客席をみると湯気が上がってるんですよ。(今でも)忘れられないくらいの豪雨の中でのマスコロでしたね。

–毎年、9月に開催されてる理由ってあるんですか?

川さん:(当時は)9月って誰もイベントをやってなくて、自分らのバンド活動と照らし合わせたときに、9月がいいなってなって。夏フェスをしたかったし、季節的にも9月やったらちょうどいいなってやり始めて。で、やってたら、だんだんとその周辺にイベントが増えてきて。

キヨシ:バンド主催もあれば、イベンター主催もあって。

川さん:まあ、みんな考えてはいるんですよ。どことは被らんようにとか。それでけっこう被らんようにはできているんですけど。8月の中旬から10月くらいまで、関西の週末ってすごいバンドとか身近な人のフェスとかも、毎週にあるような感じで。

キヨシ:地方のフェスも増えたしね。

川さん:でも、後から振り返ったときにあのときすごかったなって言えるのが、今なんちゃうかなって。これが30年くらい経ったときに、あのとき毎週フェスあったなあ〜みたいな。お客さんもこれに行こうあれに行こうって言ってると思うんですけど、あんときはほんまにオモロかったなって言えるのが、今なんちゃうかなーって。

キヨシ:10年後とかになったら、もしかしたら(フェスの数が)減ってるかもしれんもんなあ。

川さん:フェスってたぶん減っていくときがあると思うんですよね。だから、なくさへんために、何せなあかんかなとか、みんながちょっと考えてないと、色んな問題が起きるんじゃないかなって気はしてますね。

キヨシ:しかも野外でやること自体、博打なんでね。物販のイベントTシャツとか何百枚と作るじゃないですか?雨降ったらもう売れないんで。晴れてる方が売れ行きよかったりするし、動員も全然変わってくるんで。野外自体が博打っすね。でも、バンドマンはやっぱり博打が好きなんで。

–なるほどですね。ちなみに、ライブハウスで主催イベントをやるバンドもいますけど、やっぱり野外でやることに、こだわりますか?

川さん:マスコロがライブハウスでってなったら、あれなんかマスコロじゃないっていう(意見が多そう)。

キヨシ:まあ、ブーイングの方が多いやろなあ。

川さん:この先はわからないですけど、今のところあそこ(大阪城音楽堂)でやるのがマスコロみたいな感じもあると思うんです。けど、どっかでもっと規模でかくして、やりたいって気持ちもないわけじゃないです。20周年とかまでいけば。

キヨシ:あと、6年・・・。6年ってバンド続けるだけでもまあまあハードル高いからなあ。僕ら、SABOTENが今年20周年なんですよ。これでも人生の半分バンドやって、やっとたどり着いたんですよね。

川さん:10周年のときはばーって盛大にやって、11年目は大阪でやらなかったんですよ。

–東京だけでやったんでしたっけ?

川さん:そうです。で、カミング神戸で発表しますってやって、11年目は大阪でやりません!って発表したら、みんな「え〜?」みたいな。俺ら的には「東京にいくぞ!」ってやったのに、「え〜」って(笑)。

–それは何か理由があったんですか?

川さん:マスコロを知らない人って関西に比べたら関東の方が絶対に多くて、マスコロの空気感を知ってほしいってことで、東京で(やった)。まあ、10周年のときは4daysでやって、けっこうやりきったなーみたいな。だから、何かを変えるとしたら、ここしかないっていうタイミングやったんで、一回東京でやろうっていう理由ですね。夏を一回(何もやらずに)過ぎて、(その後の)春に東京でやって、その年の夏に大阪でやって。

–14年も続けられていると、お客さんが変わってきたなーみたいな実感ってあったりしますか?

キヨシ:14年経ってるんで、子連れになったりしますよね。初年度はほとんどいなかったですけど、そういう人たちは。でも、年々増えてますね。

川さん:マスコロやからいけるって人も絶対おるやろうし。

キヨシ:再入場も出きて、大阪城公園もあるし、休憩できるところもあるし、全バンド張り付いて観なさいってわけでもないし、自由に楽しんだらいいし。チケット代も安いんで、ライブ行って外で遊んで噴水のところ行こうかとかもできるイベントではあると思うんで。

–なるほど。

川さん:(それまでは来たことがなかった)新しい若いお客さんが来てくれるのも、すごい嬉しいですね。

キヨシ:じーちゃんばーちゃんが来てくれるのも嬉しいしなあ。

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–ブッキングされるメンツって、何かこだわりがあったりするんですか?

川さん:PANとSABOTENのメンバーで、このバンドがいいんじゃないかっていうので声をかけてるんですけど、この一年活動して、あんな奴らおった、こんな奴らよかったていうのを活動の中で広げながら、マスコロにおったら面白いんじゃないかっていうバンドを毎年声かけてますね。

キヨシ:僕ら大阪に住んでますけど、どこでもライブをやっているんですよ。北海道から沖縄まで、色んなところで毎週のようにライブをやってて。ライブハウスでのライブって、ワンマンとかってほとんどないんですよ、僕らのやるライブって。大体地元のバンドとか、誘ってもらったイベントがゲストを呼んで、その中のゲストの一バンドとして参加したりとか。すると、はじめましてっていうバンドも、20年続けてても未だにたくさんいるんですよ。なので、毎年、新鮮なバンドといっぱい出会いますね。

–なるほど。

キヨシ:あと、マスコロに過去出てもらって、やっぱりこいつら良かったなみたいなバンドは声かけたり。それこそ初年度からずっとGOOD4NOTHINGってバンドは皆勤賞なんですよ、マスコロの。

川さん:(皆勤賞は)GOOD4NOTHINGだけやな。

キヨシ:そう。GOOD4NOTHINGはまず一番に声をかけるバンド。ほぼ主催者くらい。

川さん:PANもSABOTENも日本語でやりながら、曲中はメロコアっぽいところだったり、けっこうポップなところで、普通のバラードの曲があったりとか、そのバンドの感じが元々はちょっと似ているというか、それがブッキングにも反映されているんやろうなっていうのはあって。

–ふむふむ。

川さん:たぶん僕らがメタルのバンドとかやったら、メタルっぽいバンドが集まってメタルのイベントになるみたいな。バンドの活動がマスコロに現れているなっていうのは、今になって自分でも思ったりしますね。

–ちなみに今年のマスコロは、例年にない新しい試みとかあったりしますか?

川さん:今年はね、マスコロに向かうにあたって、他のイベントにマスコロの時間をもらって。こないだも、イートザロックにマスコロとしての時間をもらって出演したり。

キヨシ: COMING KOBEでもトークしたしなあ。

川さん:ライブハウスでもマスコロに出ないバンドに出てもらって、マスコロ決起集会(というイベント)をやったり。事前に何本か(ライブを)やってからマスコロに向かうっていうのは初めての試みで。昔はガチコロっていう、PANとSABOTENでツーマンやって、そこで色んなことを発表するっていうのをやったこともあったんですけど。「夏の虫インザファイヤー」っていう曲があって、それで色んな人に参加してもらいながら。

キヨシ:合作があるんですよ、PANとSABOTENで作って、PANとSABOTENでひとつのバンドになって、演奏する曲が。

川さん:元々ゲストに歌ってもらうバージョンの音源があって、「We are the world」みたいに色んなアーティストが順番に歌っていくみたいな。

キヨシ:あと、この歌はみんなでゲストで歌ってもらうっていうテーマで作ったっていうのもあるんですけど、14年やっていると、アンコールかかるじゃないですか?最後、SABOTENかPANがトリをやるんですけど、SABOTENとPANで出てきて、セッションしたりしてたんですけど、ゲストもいてると、じゃあもっとゲストも交えていきたいな、そんならカバーやるか、誰かの曲やってみんな出てきてもらって、っていうのをやってたりしてたんですけど、でも重ねていくと、そういう曲も俺らで作って、みんなゲストで出てきてもらったら、よりおもろいイベントになるんちゃうかっていうので、作ったり(というのもあります)。

川さん:あと、専門学校のESPとかにいって、ちょっと授業というか。今19歳とか20歳とかそれくらいの子らにも、こういうイベントがあるのでっていう(伝えて)。学生も制作でいずれ仕事したいとか、ローディーなりたいとか(夢があるので、その)練習の一貫として、それをマスコロでやってもらおう、やる気あるやつは来てくれよっていうのをやってます。

キヨシ:それも今年初やなあ。

川さん:より理解してくれた上で、当日、力を貸してもらおうってことで、しっかりとみんながマスコロを理解して向き合って、イベントをやったら、終わったときにもっと「よっしゃー!」って熱くなるというか。俺ら自身もそうやし、みんなでそんなんできたら、単純に感動できるんちゃうかなって。そういう意味で、学生も一緒に作っててもらいたいなーって。

キヨシ:毎年、専門学校生が手伝ってくれるんですよ、研修もかねて。学生の勉強もかねて。裏方を育てようみたいな。で、イベント研修として学校が学生を連れてきてくれるんですけど、(例年は)当日会って「おはようございます」「よろしくお願いします」って、二日間終わって、「ありがとうございました」みたいなんで、終わってたんです。

–そうなんですね。

キヨシ:けど、一緒にやるんやったらより楽しくできた方がいいんじゃないかって、年々重ねていくと、そういうところも見えてきたりするんで、今年からそういうことも始めてみました。なので、毎月、学校の方に行って、授業みたいなことやって、どんなプロモーションしたら面白いやろとか意見もらったり。ほなら学生の方で、ESPにマスコロ部を作って、それでSNSのアカウントを作って発信していっていいですかとか、色んな会場にいって、マスコロのビラをライブ終わりに配りますとか、活動を一緒にやってくれてるんですよね。だから、当日迎えるのが例年とはまた違いますね。楽しみですね。これも長くやってるから、見えてくるところではあると思うんですけど。

こちらがそのSNSアカウントhttps://twitter.com/esp_mscl

–なるほどですね。

キヨシ:(あと、マスコロならではの魅力として)遊技場があるんですよ。輪投げとか、コイン落としとか、パターでボールをうって、この細い橋を渡れるかみたいな、手作りの屋台があるんですよ。それを僕らバンド側で考えてホームセンターで作って。で、それで景品が当たったりするんですけど、一等賞が(物販で売っている)マスコロTシャツの限定カラーとかで。外れてもステッカーもらえたりとか。(あと)マスコロ食堂っていう(出店もあって)、それは川さんがレシピを作って、実際に販売しているんですよ。その辺は確実に他のフェスにはないものやと思うんで、面白いですよ。

川さん:ちゃんと仕込みからやってますから。今はJANUSとかあって大きなキッチンがあって貸してもらえるんですけど、はじめのころはそれもなかったんで、家でやってましたからね。ちっちゃいキッチンで、2000人前の仕込みするって。

キヨシ:ほんまに失敗もいっぱいやってきたんですよ。僕はグッズの担当をずっとやっているんですけど、マスコロ限定のTシャツ、なんか作ってやみたいな(話を昔振られたときに)任せろっつってメンバー7人の写真をプリントして出したんですけど、全然売れなかった。そんな失敗も重ねつつ(ブラッシュアップしてきたので)今年のグッズを楽しみにしとってください。

–今年の意気込みとか思いをお聞かせ頂けたらと思います。

川さん:毎年やれることが当たり前じゃないので、ここでしっかり一つ作って、また次の一年を迎えたいなって。一年かけてPANもSABOTENもスタッフ陣も色んなことを考えて、それを作るんで、お客さんは全力で楽しんでくれたらいいし、最終的には、みんなで感動できたらいいなって。

キヨシ:14年やってますからね。ゆうても大阪城音楽堂で、バンド主催の野外イベントをやるプロフェッショナルなんで。間違いなく楽しませるプロなんで。

川さん:あっこでライブできるだけでほんまに幸せやし、そのためにもやっぱりお客さんに来てもらいたいし、長く続けたいなと思います。

–PANは今年、メンバーが抜けましたしね。

川さん:でも、ほんまに何事もなかったかのようにライブは続けて、やりましたからね。今年の4月25日にドラムが抜けて、5月1日にはライブやってましたからね。

キヨシ:でも、けっこう早いやん。そんなこともあったなあって(随分昔のことのように)思わせるのは、すごいなあ。

川さん:勢い止めずにやろうっていうのはあるので。それを迷わずできるのは、マスコロとか、ここに向かってやるぞ!とか、そういうのがあるので。

キヨシ:バンドやめれない理由も出てくるんですよねえ。

川さん:でも、やっぱり見に来てくれる人があるからです。ほんまにありがたい。

まとめ

というわけなんですが、インタビューにもあるようにマスコロは間違いなく全年齢対象だし、個々が好きなように楽しめる野外フェスなんです。子連れも安心、初見も安心、もちろん毎年参加しているファンも大安心、それがマスコロの良さであります。

今年のチケット料金は、2006年から開催されていることにちなんで2006円と、この規模感とこのラインナップを考えると、破格の値段。

出演バンドの一部しか知らないという人でも、なんなら誰も知らねえやという人も、ふらっと足を運んでもらえたらなあーなんて思います。

オモロくて感動できることは、間違いないんで。

僕が言うのもなんですけど。

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