前説

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ベストソングの記事は、月に一回挙げているんだけど、ベストアルバムの記事は三ヶ月に一回という頻度で挙げている。

前回は「2021年春、バンド・アーティストの個人的なベストアルバム10選」というタイトルだったので、今年は「夏」を銘打ってこの記事を書いてみたい。

夏はこれからやんという指摘もあるだろうが、細かいことはなしにしてもらえると幸いである。

ちなみに、この記事の紹介順はランキングでは、ありませんので。

では、どうぞ

本編

くるり 『天才の愛』

まずは、2021年4月28日にリリースされた13枚目となるくるのアルバムから。

くるりは毎回、明確なる音のコンセプトがあって、手触りが違うのが面白い。

「天才の愛」に関して、クラシック音楽の要素をまぶしながらも、ポップでありながら実験音楽的な一面も強めた意欲作。

冒頭の「「I LOVE YOU」こそ、メロディーの美しさが印象的なミディアムナンバーな歌ものとして王道的な色合いのあるナンバーだが、そこから個性豊かなラインナップが連なる。

「野球」は野球の応援歌をロック調に仕立てた独特の言葉とリズムで攻め立てる歌だし、「益荒男」は壮士演歌と地中海の音楽を融合させたような風刺色の強い不思議なナンバーである。

極めつけは5曲目に収録されている「大阪万博」であろう。

くるり印のプログレッシブな音楽である、と言わんばかりに独創的な音の戯れが展開されていく。

今までのくるりにはなかった音楽をひたすら展開していくのに、くるりにしか生み出すことができない音楽はそこにある。

ファンファンが在籍した3人体制のくるりの最後のアルバムとしても必聴の作品だし、ファンファンの音があるからこそ、この作品に無二性が確立しているようにも思う。

関連記事:僕がくるりを「ヤバイ」と感じる理由!

YUKI 『Terminal』

次は、くるりのアルバムと同日となる4月28日にリリースされた10枚目となるアルバム『Terminal』を選出。

YUKIらしいキュートさやポップネスがありつつも、制作の動機として「自分の知らない世界をもっと知りたくなった」というものがあったというように、今作では奥野真哉(ソウル・フラワー・ユニオン)、今井了介、LASTorderといった新しいメンバーと音楽を作っている。

『Terminal』という言葉にあるように、全体の雰囲気として人と人が出会う最終地点でもあり、そこからの出発地点としてのメッセージを歌う。

「Baby, it’s you」はそんなメッセージを色濃く投影した一曲であるように思う。

そんな中、「ご・く・ら・く termina」はクールなビートメイクと哲学的な歌詞で構成されて、アルバムの中で異端の存在感を放っている。

着想はゲーム「あつ森」から得たという話らしいが、そこからこういう歌を生み出すところが面白い。

「灯」はYUKI自身で楽曲を書いたというこということで、ひときわ魂がこもったフォーキーな一曲となっている。

関連記事:ミーハーな音楽好きが思うYUKIという歌手のイメージ

ネクライトーキー 『FREAK』

2021年5月29日にリリースされたメジャー2枚目のアルバム。

ネクライトーキーらしいロックサウンドが全開のアルバム。

ネクライトーキーってもっさの歌声の印象が強いので、ポップ色の強いバンドなのかな・・・と思う。

んだけど、しっかり聴くとかなりアグレッシブなサウンドで展開する、演奏そのもので魅了するようなゴリゴリのロック・バンドであることに気づくのだ。

歌詞に関しても良い意味で辛辣なものが多く、朝日のひねくれたセンスが良い意味でいかんなく発揮されている。

関連記事:ネクライトーキーはライブバンドなのだ

OKOJO 『YADOKARI』

2021年4月7日にリリースされたバンド初のフルアルバムである 『YADOKARI』。

ライブを重ねるたびに研ぎ澄まされたサウンドで描く、キラメキあるポップソングにぐっとくる。

世の中にはたくさんのバンドがいるけれど、OKOJOはとにかく素材である歌そのものにぐっとくるものが多い。

「サイチェン・マイフォーチュン」「最低なラブソング」「ええんやけど」など、メロディーの美しさが際立つ楽曲が並べられている。

タイトルであるYADOKARの持つ言葉にも多重な意味がある感じがして、アルバムを聴くとなんとなくその意味がわかるような構成も良い。

関連記事:OKOJOが生み出した「YADOKARI」というアルバムについて

Kroi 『LENS』

良い意味でヤバイバンドが頭角を現してきた。

その思わずいられないアルバムである『LENS』。

試しに「Balmy Life」だけでも聴いてほしいんだけど、ロック、R&B、ジャズ、ヒップホップ、様々なジャンルを取り込み、自分たちの色に染め上げていく凄まじさを感じさせる。

卓越した演奏技術と変幻自在の柔軟なバンドアプローチが冴え渡る作品である。

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No Buses 『No Buses』

自分のバンド名をアルバムのタイトルにした一枚。

5人体制となって初のアルバムとなるわけだけど、タイトルからみてもわかるとおり、このバンドの美学がこのアルバムに詰め込まれてるといっても過言ではないだろう。

00年代のガレージ系のUKロックに影響を受けた瑞々しいサウンド。

自分たちが良いと思う音を鳴らす、というこだわりがしっかりと見えるこのアルバムは、端的にワクワクする余地しかない。

ロック好きであれば必聴の一枚なのではないか、と思っている。

the LOW-ATUS 『旅鳥小唄』

the LOW-ATUSとしては初のフルアルバムと『旅鳥小唄』

界隈では盟友としても話題のTOSHI-LOWと細美武士。

声質の違う二人の歌声が美しく混じり合い、聞き惚れてしまう上質な弾き語りナンバーが揃う。

フォークソングとしての装い強く、この二人ならではの社会性の強いメッセージも楽曲の中で投げかける。

ジャニーズWEST 『rainboW』

今年はロックフェスへの出演も決定したジャニーズWEST。

『rainboW』を聴いていると、ロックフェスの出演決定、というのもダテではないことを実感させられる。

7人グループによる7枚目となる記念碑的なアルバムということもあって、とにかく楽曲の並びが豪華で激アツなのである。

冒頭、「春じゃなくても」はSUPER BEAVERの柳沢が楽曲を手掛けたハートフルな熱いメッセージ・ソングだし、「週刊うまくいく曜日」はサンボマスター山口が手掛けたファンキーなファンク色の強いユーモラスな一曲となっている。

アルバム終盤は、シングルとして事前にリリースされた「証拠」で華やかに盛り上げていく、ラストは7人の歌声が虹のように炸裂する「Rainbow Chaser」で締めくくる。

自分たちらしい立ち位置でキャリアを積み重ねたジャニーズWESTだからこその魅力が詰まった一枚だ。

関連記事:メトロックの出演が決定したジャニーズWESTの「rainboW」の感想

藤井風 『HELP EVER HURT COVER』

まあ、このアルバムは今年リリースのものではなく、去年のもの・・・なんだけど、配信が解禁されたのは2021年5月20日だったということで、ノミネートさせてもらった。

というのも、もともとは2020年発売されたアルバム「HELP EVER HURT NEVER」初回限定盤に収録されていたものだったのだ。

だけど、もはやこの作品が、どう聴いてもひとつの作品として成立している。

藤井風の美しくもソウルフルなボーカルを堪能できる珠玉のカバーアルバムである。

藤井風がいかにボーカルとして熟達している感を思い知らされる作品でもある。

関連記事:藤井風の魅力が天井を突き抜けはじめている説

東京事変 『音楽』

最後は、10年ぶりには発表された東京事変の『音楽」を選出。

やはりバンドとしての完成度は別格。

ロックであろうが、ロックから逸脱しようが、ポップに攻めようが、プログレ的なアプローチをしようが、全てがかっこいい。

圧倒的なメンバーで紡がれるスリリングなアンサンブルと、そんな豪華なサウンドの中で絶対的なものとして君臨する椎名林檎の歌声。

こんなの聴かされたら、並の音楽では太刀打ちできないよな・・・と思ってしまう。

アルバムリリースとしては10年というブランクがあるが、バンドとしても止まっていたわけではなく、進化したような凄まじさも感じさせるのが流石の一言。

関連記事:2020年になっても唯一無二の存在である東京事変について

まとめ

というわけで、4~6月までに発表・解禁された10枚を選んでみました。

何かしらの参考にしてもらえたら嬉しい限り。

では、今回はこの辺で。

ではではでは。

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