前説

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気がつけば、年の瀬に入った2019年。

各々年末に楽しみにしているものはあるだろうけれど、ブログ的な年末の催しものと言えば、年間ベストランキングである。

というわけで、この記事では、2019年の個人的なベストソングをランキング形式で紹介していきたい。

なお、選定の楽曲の条件は下記に設定させてもらった。

・選出ベストソングは全て“邦楽”
・シングル曲、シングル配信曲、もしくはYouTubeにMVがあがっている楽曲からのみの選出
・ひとつのアーティストにつき、選定は一曲まで

そして、この記事ではランキング形式でベストソングを発表していくが、これは必ずしも音楽の優劣を付けるものではなく、個人的な好みを可視化したものと捉えてもらえたら幸いである。

また、本来ならランキングに数曲の楽曲をノミネートさせたいアーティストもいるんだけど、このランキングに関しては一曲のみに絞らせてもらった。

この縛りを設けないと、特定の好きなアーティストばかりがランキングに出てきてしまって、それは書いていても、あんまり面白くないと思ったからだ。

色んなアーティストがランキングに出た方がワクワクするというのが個人的な見解なので、ご了承いただけたら幸いである。

とはいえ、選んだ25曲は間違いなく自分のお気に入りばかり。

自分の好みと照らし合わせながら、楽しんで読んでもらえたら幸いである。

それでは、早速行ってみよう。

本編

25位〜11位

25位:RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」

スケールの大きな映画に見合うスケールの大きな歌である。

RADの場合、歌詞がちょっと鼻につく歌もあるけれど、この歌はすっと言葉が入ってくるし、映画と相まって本当に言葉が脳内に残るのだ。

愛にできることはまだあるかい、という問いかけが実に良い。

そういう壮大な問いかけに見合うサウンドメイクも良いと思うのだ。

関連記事:RADWIMPSがヤンデレバンドじゃなくなった件について

24位:MON/KU 「S I N K」

想像を超えた展開で楽曲が進んでいく、屈指の問題作。

急にギター音が炸裂したり、怪しいビートが刻まれたりして、どんどん楽曲はカオスに包まれていくのだ。

でも、不思議とそのカオスさは快楽になるし、美しさすら感じる。

サウンドと対比されるように、ボーカルは澄み切っているからかもしれない。

23位:w-inds.「Get Down」

単純にかっこいいと思うし、そのかっこよさにはスマートさがある。

ダンスミュージックとしてのトラックはもちろんかっこいいし、洗練されたダンスはかっこいいし、耳からも目からもかっこよさを感じられるからかもしれない。

J-POPのその先を行くようなセンスには脱帽である。

これからを彩る日本ポップスの担いとして、w-inds.はもっと広く、たくさんの人に届いてほしいと願いたくなる。

関連記事:キャリアを更新し続けるw-inds.について

22位:NYAI「Jackie chan`s J」

NYAIが磨き続けてきたギターロックの爽快さが溢れるポップチューン。

人懐っこいメロディーと、懐かしさを感じさせるサウンドがツボ。

ニュートラルな男女ツインボーカルが良い味を出している。

スーパーカー的なイズムを令和的な感性で更新したユニークさを感じる快作。

21位:美波「カワキヲアメク」

声の表現力が突き抜けている。

ボーカルの感情がにじみ出ていて、だからこそサビが良い意味でとても張り詰めている。

その感じに、グッと来るのだ。

ブレスをする部分すらも“表現”になっているところに、この歌の良さが凝縮されているように思う。

言葉を堪能したい歌なので、MVで聴くと、よりグッとくるかもしれない。

20位:須田景凪「パレイドリア」

20位は、1月にめっちゃ聴いていたこの楽曲。

今年一番病んでいたのが1月なんだけど、その時にめっちゃ背中を押してもらったのが、この歌なのである。

まあ、フレーズがどうのこうのというよりも、疾走感があって、軽快なメロディーで終わりまで駆け抜けるこの曲が、当時の自分の気持ちにぴったりとハマったのである。

とにかくイントロのシンバルの打つ速さを聴いてもらったらわかるけれど、この曲はとにかく「急かす」歌である。

一方、ボーカルはけっこう丁寧に歌っているというか、きちんと言葉を拾って聴けるというその塩梅がすごく好きなのである。

あと、2番のAメロは1番のメロディーラインと少し歌い方が変わっていて、「日に日に」と「徒然」の単語を繰り返すメロディーラインがとてもツボなのである。

たぶん、須田の過去曲と比べると、らしくないと思うんだけど、わりと素直にポップに向かい合っている感じがすっーと入ってきて好きなのである。

19位:Aimer「STAND-ALONE」

「あなたの番です」の主題歌として、存在感を示したこの歌。

ドラマがちょっと怖い感じだったから、この歌を聴くとなんだか恐怖を連想する人もいるかもしれないが、ドラマの世界観と楽曲の世界観が巧みにシンクロしているんだよなーと思うのだ。

メロ部分はキーボードが主体で静かである。

で、忍び寄るように攻撃的なギターの音が音の空間にやってくる。

綺麗なものをかき乱すように配置されたエレキギターの音が巧みなのである。

で、さんざん静を意識させたメロパートが終わると、急にダイナミックにリズムが動き出して、一気に動のモードへ楽曲が動き出す。

この静と動の対比がすごく良いよなーと思うのだ。

だからこそ、グッとサビに引き込まれる。

最後の演奏に溶け合うように、Aimerがコーラスする部分含めて、この歌が紡ぐ儚げな世界観がとても好きなのである。

関連記事:Aimerという女性ソロアーティストの話

18位:ジェニーハイ「不便な可愛げ feat アイナ・ジ・エンド(BiSH)」

ピアノを弾いている人だけキャリアが違うということもあって、ピアノの存在が際立っている。

ドラムとベースは確かにシンプルなんだけど、ハイハットが存在感を示す音を構築をしていて、サビでハイハットを細かく刻む感じが「ゲスのときの川谷絵音」感を巧みに出している。

なんとなく、川谷ソングで、女性感の強い歌の時はハイハットを細かく刻むアレンジが多い気がする。

気のせいだと思うけど。

んで、ボーカルはアイナとイッキュウが歌い分けていて、それが大人だけど大人になれない女性感を上手く引き出しているような気がする。

決して、この歌はサビでタメを作らない歌なんだけど、妙にサビが耳に残る。

サビでアコギを入れて、音をフォローしているから、というのもあるだろうけど、絵音のメロディーラインの作り方と、そこへの言葉を当てはめ方が巧みだからだと思う。

今年、川谷絵音が作った歌は無数にあるけれど、個人的に一番耳に残っているのはこの歌。

このサビが聴きたくて、何回もリピートしてしまう。

関連記事:ジェニーハイの新曲が良かったので、川谷絵音について語りたい

17位:どついたれ本舗「あゝオオサカdreamin’ night」

ヒプノシスマイクからこの一曲を選出した。

それにしても、聴いた瞬間、Creepy Nutsの絵が浮かんでくるこの歌。

そりゃあそうだ。

Creepy Nutsの二人が楽曲を作ったのだから。

Creepy Nutsの場合、R-指定が一人で複数のキャラクターに分けて、歌い分けをすることが多い。

「みんなちがって、みんないい。」は本当にお見事だと思う。

なわけだけど、この歌は声優陣がそれぞれのパートを歌っていて、だからこそ、普段のCreepy Nutsとは違う魅力が滲んでいるのだと思う。

さて、この楽曲を聴いていて、すごいなーと思ったのは、Creepy Nutsの楽曲としてもある種成立しているのに、ヒプノシスマイクというある種のキャラクターソングとしても成立しているというところにある。

この歌では3人のキャラクターがそれぞれラップをするわけだけど、きちんとそのキャラクターの個性がラップを通じて出ているところに凄さを感じるのだ。

なんというか、有名アーティストによるアニソンの楽曲提供って、そのアーティストの作家性が出てしまうと、良くも悪くもそのアニソンの世界観が薄まってしまうことが多い。

でも、この歌はCreepy Nutsの作家性もどついたれ本舗のチームの世界観も表現されているように感じるのだ。

躑躅森のパートは特に素晴らしくて、どもって言葉がつっかえてしまうという下りが登場する。

そこから白膠木との掛け合いに流れに進むわけだが、このやり取りがすごい。

自分は大阪人なので、関西弁の扱い方も気になるわけだけど、このキャラクターの声優を担当している二人が大阪人ということもあり、関西弁の“漫才”のやり取りも文句のつけようがなく素晴らしい。

なんとなくキャラクターがラップを展開している、というだけに見えてしまうけども、各々のプロがプロフィッシュナルな技を披露したからこそ、成立した歌だなーと感じる。

フロウのタイプも多いし、リリックの遊び心も多様だし、今年リリースされた数々のラップ作品の中でも、群を抜いた作品だと思う。

16位:10-FEET「ハローフィクサー」

オシャレな部分とゴリゴリな部分の対比が素晴らしくて、今までの10-FEETではあまり見られなかった打ち込みの多用も面白い。

冒頭は、信じられないほどオシャレな感じなのに、20秒弱であっさり裏切られる。

で、Aメロはわりといつもの10-FEETというか、TAKUMAが巧みに声色を変えて、ミクスチャー感のあるロックを展開させていく。

ラップ、歌、叫びを全部入れて、しかも歌い回しがメロ部分とサビでは違うというこの凄さ。

で、サビでは10-FEETのサウンドに当てて、ピコピコした電子音が乗っかってくる。

この塩梅が絶妙で、何度も聴きたくなるのは、いつもの10-FEETらしさと、新しさのバランスが絶妙だからなのだと思う。

あと、リズムのフックが見事で、メロ部分は歌い回しが特徴的で、怒涛の展開をみせるのがすごく良い。

でも、サビはかなり素直に歌っていて、比較的合唱もしやすいシンプルに歌メロになっている。

この塩梅も良いと思う。

関連記事:10-FEETがなぜエモくて、なぜカッコイイのかを考えてみた!

15位:sumika「願い」

王道バラードという感じのメロディーラインとアレンジ。

sumikaだからこそ、こういう王道でも、お腹いっぱいな感じにならず、むしろ王道そのものがフックになっているような感じがする。

サビにはストリングスが入っているし、ここぞでツリーチャイムを積極的に鳴らすし、音としてけっこうごちゃごちゃしていると思うんだけど、言葉がすーっと入ってくるのは、片岡のボーカルがとても力強いからだと思うし、他の楽器の音とぶつかっていないからだと思う。

歌詞の切なさについては別の記事で書いたけれど、歌詞が紡ぐ物語を優先的に考えたアレンジだからこそ、この歌詞が際限なく響くんだろうなーと思う。

個人的にサビのメロディーが好きで、主旋律を歌う片岡のボーカルに対する、コーラスのハモり方が絶妙である。

この歌は片岡のボーカルに対して上でハモることもあれば、下でハモることもあって、パートごとに巧みに入れ替えているわけだけど、そのバランスが絶妙なのである。

例えば、Bメロのハモリは片岡パートに対して下でハモっている。

でも、サビに入ると、先程の下のハモリに対して、もうひとつプラスでハモリの声が加わって、メロディーの彩りを増している。

こういう歌詞の物語を劇的にするための工夫が随所に凝らされていて、その工夫が刺さったからこそ、自分はこの歌がとても好きなのだと思う。

関連記事:sumikaの「願い」なんかでドキッとするわけ・・・ないだろう……////

14位:中村佳穂「LINDY」

※この作品は動画がアップされていません。

イントロのギターの音が独特だなーと思っていたんだけど、どうやら、あそこは、自作楽器で演奏しているらしい。

この歌は、同じパターンが繰り返されるこのギターのアルペジオが引っ張っている印象がある。

で、そのアルペジオに対して、小刻みにリズムを打つをするドラムの音を入れていて、そのリズムの上をとにかく自由に中村佳穂は歌う。

リズムという縛りなんて存在していないのでは?と感じさせるほど、ボーカルが溌剌としている。

譜割りもそうだし、声にビブラートを効かせて伸ばしてみたりする歌い方も一切の窮屈さを感じさせない。

音を楽しむという根本を感じるところに、この歌の名作たる所以が宿っている気がする。

13位:スピッツ「優しいあの子」

NHKの朝ドラという大きなタイアップにおいて、こういうマイペースな歌を作り上げるところがスピッツだよなあ、と思う。

大きなサビは用意しないで、実にサラッと、スルメのように聴けてしまう歌を作り上げる。

とはいえ、聴けばすーっと映像が浮かんでくる描写は流石だし、それは歌詞だけでの話ではなく、サウンド自体に映像にできる何かが宿っているからだと思う。

上手く言葉にできないけど、あのイントロだけで、北海道の景色が出てくる気がするのだ。

君という二人称ではなく、「優しいあの子」と表現する言葉選びもグッとくる。

関連記事:スピッツ「優しいあの子」と「悪役」の繋がりについて

12位:Mrs. GREEN APPLE 「ロマンチシズム」

今年リリースされたミセスの歌はどれも良くて、一曲を絞るのが難しいんだけど、個人的にはこの明るいんだけど、どこか陰りも感じさせるこの曲を今年の一曲として選ばせていただきたい。

メロディーはキャッチーなのに、サウンドはキレキレで、何より大森のボーカルがえぐい。

ハイトーンであることがエグいんだけど、裏声も違和感なく使い倒し、ジェットコースターのように作品を展開させていく。

芸達者で何でもテクニカルにやり遂げてしまうミセスだけど、個人的にはこういうエネルギーに満ちあふれている歌が特に好きだったりする。

関連記事:Mrs. GREEN APPLEの『Attitude』はタピオカみたいなアルバムだ

11位:米津玄師「海の幽霊」

曲のアプローチが他のアーティストと違うというか、海外の音楽のそこをそう取り入れちゃうの!?みたいな凄さがある。

死ぬほど新曲を期待されているアーティストが、ここまで挑戦的な歌をリリースできるところが米津玄師の凄さだと思う。

ボーカルにオートチューンをかけまくって、自分のボーカルをある種楽器のように響かせる。

だいたんにリズムのテンポも落とし、余計な音も取り除いてしまう。

たぶん米津玄師じゃなかったら、絶対に飽きて聞いてもらえないようなアレンジである。

でも、米津玄師はそういう挑戦的なアレンジを取り入れて、しかも一流のポップソングに着地させる。

見ている境地が違うよなーと思う。

関連記事:米津玄師「海の幽霊」がヤバすぎてゲロを吐く一方手前になった話

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閑話休題

毎年上位にランクインさせている米津玄師の名前おをここで出してしまったことに、自分で驚いている。

なぜなら、今年は今までとは違うアーティストにお熱になった部分があるかもしれない。

あるいは、自分の音楽における推しポイントが変わった部分もあるのかもしれない。

よくわかんないけど。

まあ、御託はこの辺にして、続いてトップ10位にいってみよう。

10位〜4位

10位:君島大空「遠視のコントラルト」

ノイズのようなギターの音が心地良くて、一般的なポップスと比べると随分秩序を見出したようなサウンドなのに、不思議と違和感は覚えない。

楽曲の軸を担う君島大空のボーカルが、バラバラになったサウンドをつなぎとめるように一本の糸ですーっと秩序を作っているように感じる。

サビの歌声ではどこか遠くに連れ出されてしまいそうな、独特な危うさを感じさせる。

というか、音像に広がりを感じさせる歌である。

音をどう配置させるかに気を使って作った歌だから、というのもあるだろうけれど、そういう他の音楽にはない広がりと音のぶつかりを感じるところにこの歌の面白さを感じる。

9位:赤い公園「Highway Cabriolet」

ボーカルが変わってからの赤い公園がめっちゃ良い。

ここから赤い公園のバンドのベクトルは大きく変わったし、すべてのピースがかっちりハマったような気持ち良さを感じるのだ。

石野が持つポップな可憐さが、赤い公園のサウンドとばっちりハマったわけだ。

赤い公園のこの歌、ポップなんだけど、キョートで、かつ絶妙な奥域をサウンドに感じる。

ギターのカッティングが味わい深い。

裏打ちのハイハットドラムはバンドがダンスミュージック的なアプローチをするときの常套手段だし、サビではちょくちょくハンドクラップを入れるんだけど、まったく嫌らしさを感じない。

2番のサビに入る直前の、ラストのサビの直前でエフェクトをかけたギターでガッとカッティングして、すぐにミュートさせる感じがとてもよい。

余韻を残すようなギター音の配置がどこか遠いたころに連れて行ってくれるような心地がするんのだ。

8位:UNISON SQUARE GARDEN「Phantom Joke」

この歌の聴きどころは四拍子と三拍子を巧みに置き換えるところにあると思う。

サビはわりと歌メロというか、わかりやすい並びなんだけど、そこに至るまでの流れがトリッキーなので、ついつい聴き入ってしまうのである。

このテンポ感で、こういうややこしいリズムをさらっと行えるのは、メンバーの演奏力が高いからだ。

ボーカルに至っては、歌いながらも、こんなややこしいギターを弾いているのだ。

色んな意味でおかしい。

2番では、そこからさらにAメロにトリッキーなリズムパターンを与え、さらに楽曲の流れに揺さぶりをかける。

と思ってリズムにばかり意識をしてこの歌を聴いていたら、ふいにサビの終わりには「愛してたい」というフレーズが聞こえてきて、そこにもまたドキリとする。

音楽的な水準、バンドとしての説得力も圧倒的に高いのに、オタク(あえてこの言い方をする)にもきちんと目配りした言葉巧みが秀逸すぎる。

関連記事:「Phantom Joke」という新曲を出したUNISON SQUARE GARDENの変態性について

7位:パソコン音楽クラブ「reiji no machi」

クラブソングのアンセムといった感じのこの歌。

イントロのメロディーラインの時点で、すでにワクワクさせられてしまう。

けっこう音の主張が強めな歌だけど、ボーカルを載せたイノウエワラビは淡々と歌うことで、結果、綺麗に楽曲が収まっている。

邦ロック的な文脈で言えば、クラブ系のサウンドに寄せたときのサカナクションが好きなパソコン音楽クラブのこの作品にハマるんじゃないかなーと思う。

というか、聴いただけでクラブミュージック感がそもそも良い。

音選びと、その音のかさねかた(刻み方)が丁寧だからこそ感じさせる魅力だと思う。

あと、この歌は、ぜひMVを観てほしい。単純にめっちゃ良いので。

6位:マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」

切ない歌詞を切ないサウンドで展開させる、屈指のグッドミュージック。

どこか懐かしさを感じさせるのは、このテンポ感で、キーボードベースで粛々と曲を展開させるからだろうか。

そして、重要な場面でギターを表に出してくるバランス。

間奏のシンセサイザーも味わい深いし、なによりはっとりの歌声が良い。

女性目線で報われない自暴自棄な思いを綴ったこの歌だし、女性目線であることがわかるように過剰に女性言葉をつかっているけれど、はっとりの歌声で歌うことに一切の違和感を感じさせない。

なんか言葉にするとありきたりなことしか言えないんだけど、この歌はそれ以上の魅力を感じるんだよな〜。

間違いなく今年を、そして今後のマカえんを代表する名曲だと思う。

関連記事:今のマカロニえんぴつは最強な説

5位:King Gnu「白日」

冒頭でも述べた、本来なら複数曲をランクインさせたかったが、なくなく一曲だけにしたバンドといえば、このバンド。

アルバム、シングル含め、このバンドが今年リリースした曲はすべて聴き込んだし、多くのリスナーが同意見だと思うのだ。

そして、どの曲もそれぞれの良さがあるわけだけども、あえて一曲選ぶなら、やはり「白日」かなーと思うのだ。

この歌の求心力は凄まじいと思う。

この歌はイントロなしで、いきなり井口のボーカルから始まるわけだけど、そこがまず良い。

グッと入り込んでしまう。

もはや女性の声なのでは?と思わせてしまう澄み切ったハイトーンボイスがいきなり場の空気を変えるのだ。

この手のハイトーンボイスのバンドって微妙に攻撃力が足りないというか、無理して高い声で歌っている感がある場合も多いけれど、井口の場合、そういうことは一切感じさせない伸びやかさがある。

綺麗だけど、強さもあるとでも言えばいいだろうか。

井口の声だけでも十分に攻撃力が高いのに、そこから常田の声が登場する。

この切り替えが鮮やかで、より楽曲にぐっと入り込んでしまうのだ。

このツインボーカル制度がとても良いのだ。

あえて言ってしまうなら、井口のボーカルは歌謡曲的で、常田のボーカルはロックンロール感があるんだけど、その対比が見事で、このコントラストが完璧に決まったのが「白日」からなのかなーと勝手に思っている。

二人のボーカルが表現力が磨かれて、故に二人の武器が鮮明になったというか。

もちろん、良いのは声だけじゃなくて、バンドアンサンブルもキレキレだからこそ、King Gnuはめっちゃヤバイわけだけども。

ほんと、ライブとかで、「時には〜」って聞こえてきたときのゾワゾワ感、ヤバイもんなあ。

やっぱりこれだけこの歌が人気出たの、納得いっちゃうよ。

関連記事:なんでKing Gnuってバズったの?

4位:私立恵比寿中学「曇天」

ほとんどイントロなしで、いきなり歌が始まるところが、まず好きで。

最初の歌い出しが終わり、サウンドが展開されたときの空気が幻想的でぐっとくる。

あと、コーラスの挿入の仕方が特に好きなんだよなーと思うのだ。

目の前で、風が舞っている感じがするというか。

ちょっといつもよりも背伸びをしたエビ中が、大人になってしっとりと歌う感じが良い。

元気いっぱいというよりも、感情込めて丁寧に歌っている感じがして、そういうギャップにもぐっとくるというか。

メンバーの歌い分けも巧みで、素早くボーカルをチェンジするところがいいし、サビでも基本的にはユニゾンしないで、一人でパートを担当するところがすごく良い。

サウンドはシンプルで音数も少ないからこそ、それぞれのメンバーのボーカルの個性をよく見えていて、エビ中というグループのレベルの高さを痛感させられる。

あと、吉澤嘉代子のソングライティングが光り方が素晴らしい。

エビ中は色んな作家性と巧みな融合を果たしたけれど、吉澤嘉代子とのタッグが個人的には群を抜いていたと思う。

関連記事:エビ中こと私立恵比寿中学のニューアルバム「MUSiC」を全力で推していく記事

閑話休題

以上、10位〜4位まででした

どうでしたでしょうか?

いやーほんと、ここまで長々と読んで頂き、ありがとうございます。

残すところはトップ3。

あのアルバムがまだ出ていない、このアルバムがまだ出ていない、色々あるかと思いますが、こうやってアルバムをいくつも並べていると、自分は基本的にはポップスが好きなんだろうなーと思うのです。

ってか、マジで2018年も良いアルバムがたくさんだったなーと実感するばかり。

くだらない雑談はこの辺にして、最後トップ3、行ってみましょう!!!!

どうぞ!!!

3位

崎山蒼志「むげん」(with 諭吉佳作/men)

若き非凡なソングライターがついにガチンコでコラボした感があって、どこを切り取ってもドキドキする出来になっている。

どちらかというと、普段の二人の得意分野は封じ込めているようにも感じるこの歌。

でも、二人だからこその世界観が圧倒的にできあがっているのだ。

不思議なリズムの中で二人は溶け合っており、ふたつの楽器が打ち鳴らす音が波紋のように広がりを感じさせるのだ。

不規則に奏でられるピアノ旋律を追うだけでも、そのことを強く実感する。

そんな歪なリズムの中を、二人は軽やかにメロディーにのって、どこまでも純粋に、二人の声の中に溶け合っていく、とでも言えばいいだろうか。

崎山はギターとしての非凡さに注目が集まりがちだが、ボーカルとしての才能も卓越している。

そのことを改めて感じさせられる。

そして、崎山の独特のビブラートが、諭吉の声と重なることで、さらに大きな魅力を増すのだ。

そういえば、「白日」や「曇天」もそうだが、この歌もイントロなしで速攻で歌が始まっている。

どうやら自分は、無駄なところを削ぎ落とした感じのする音楽が好きなのかもしれない。

彼ら彼女らはまだ10代である。

その気になれば、若いうちから色んな音楽を聴くことができる世代だからこそ、今までの音楽家では思いつかないようなアイデアを容赦なく音楽に取り入れている、とは思う。

そういう瑞々しさが今作でも、炸裂している。

でも若いからとかそういうことがどうでもなくなるくらいに、円熟した音楽性も同時に感じてしまう不思議さがある。

ただ、あえて言うならば、そこには作為はない感じがする。

理屈で音楽を作っているのではなく、感性でこ極上のポップスを見つけてきたような、心地を感じさせられるのだ。

なんにせよ、二人の声が音楽に溶け合う感じがたまらなく好きなのである。

関連記事:存在がチートのような崎山蒼志の話

2位

三浦大知「COLORLESS」

この作品は、ちょっと「良い」の次元が違いすぎると思う。

未だに、この歌があくまでもシングルの曲のカップリングとして収録されることが信じられない。

コアとポップのバランスの取り方が絶妙な歌だと思うんだけど、その次元もまた他のアーティストとは違うように思うのだ。

例えば、星野源とな米津玄師、あるいはKing Gnuなんかは、サウンドは海外的なもので、メロディーはポップスにする、みたいな発想のバランスの取り方をしがちである。

でも、三浦大知のこの歌はそういうバランスの取り方をしない。

サビの譜割りを聴いてもらえたらわかることだが、サウンドやリズムの打ち方を取ってみても非常に挑戦的な音楽だし、日本的とか海外的という言葉すらねじ伏せてしまうような、圧倒的な個性がそこに宿っている。

アンビエントな装いもあるんだけど、三浦大知はこの歌でバリバリにダンスを踊っているところにも面白さが宿っていて、端的に言って、三浦大知だからこそこの歌をポップスとして着地させることができているんだろうなーと思うのだ。

ってか、この歌は振り付けのレベルが異常に高いところも圧巻のポイントで。

ライブで観たら、きっと迫力がやばいんだろうなーと思う。

まあ、まとめると、サビとメロの構築が他のアーティストと違うし、そういう日本の歌謡曲の常識を打ち崩すような楽曲なのに、きちんとポップスとして成立させているところも凄いし、そこが圧倒的だったという話。

「日本の音楽」で、世界の頂点を狙おうとしていることをひしひしと感じる。

関連記事:三浦大知のライブ、凄すぎる問題

1位

Official髭男dism「ビンテージ」

「Pretender」がリリースされたとき、あ、今年のナンバーワンはこの歌かもしれないと思った。

それくらいに、自分のツボにジャストミートしたのだ。

そして、「Pretender」は国民レベルで愛される歌になっていった。

だから、今年のランキング1位は「Pretender」の世界線も大いにありえた。

しかし、だ。

改めて、振り返って、今年リリースされたヒゲダンの歌で一番好きな歌は何かを問われたとき、その答えは「Pretender」ではなかった。

そう。

この「ビンテージ」だったのだ。

というわけで、僕はこの歌を一位にさせてもらった。

「宿命」や「イエスタデイ」を年間ランキングに入れている人なら何人か目撃したし、ランキング的には「Pretender」の方が、収まりは良いと思う。

それでも、僕はこの歌を一位にしたい。

なぜなら、この歌が一番好きだし、たぶんこの歌を今年一番よく聴いていたからだ。

この歌が好きな理由は、大きく分けて、ふたつ。

歌詞とメロディーだ。

ヒゲダンの楽曲としては、かなりポップスに舵を切った作品である。

例えるなら、ゆずなんかが歌っても違和感がなさそうな、ザ・ポップスである。

アレンジもシンプルだし、音楽的な観点で言えば、そこまで面白い歌ではないのかもしれない。

でも、その素朴さ良いし、シンプルだからこそ、味わい深いメロディーが迫ってくるのだ。

そして、何よりも良いのは歌詞である。

ダメな部分も肯定しよう、というスタンスがとても良いし、そういう傷を“ビンテージ”と名付けてしまうそのセンスがすごく好きなのだ。

令和最初のM-1も、ツッコミがボケを肯定しながら笑いに誘う、というのがある種のフォーマットになっていたように思うが、「ビンテージ」はまさしくそういう“肯定の精神”が色濃く反映している作品のように思うのだ。

そういう優しさみたいなものが、特にこの歌は滲んでいるような気がする。

だから、とても好きなのだ。

この歌を書いたボーカルは、その後、結婚を発表するというドラマチックさ含め、この歌が紡ぐ誠実さをみたし、ブログを運営するうえでも、この歌詞が語ることを自分の座右の銘にしたみたいなところがある。

というわけで。

自分の中では、この歌が文句なく第一位なのでした。

関連記事:Official髭男dism「ビンテージ」はもはや謝罪案件である説

まとめ

というわけで、無駄に偉そうながらも25枚の楽曲を選出させてもらいました。

1位:Official髭男dism「ビンテージ」
2位:三浦大知「COLORLESS」
3位:崎山蒼志「むげん」(with 諭吉佳作/men)
4位:私立恵比寿中学「曇天」
5位:King Gnu「白日」
6位:マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」
7位:パソコン音楽クラブ「reiji no machi」
8位:UNISON SQUARE GARDEN「Phantom Joke」
9位:赤い公園「Highway Cabriolet」
10位:君島大空「遠視のコントラルト」
11位:米津玄師「海の幽霊」
12位:Mrs. GREEN APPLE 「ロマンチシズム」
13位:スピッツ「優しいあの子」
14位:中村佳穂「LINDY」
15位:sumika「願い」
16位:10-FEET「ハローフィクサー」
17位:どついたれ本舗「あゝオオサカdreamin’ night」
18位:ジェニーハイ「不便な可愛げ feat アイナ・ジ・エンド(BiSH)」
19位:Aimer「STAND-ALONE」
20位:須田景凪「パレイドリア」
21位:美波「カワキヲアメク」
22位:NYAI「Jackie chan`s J」
23位:w-inds. 「Get Down」
24位:MON/KU「S I N K」
25位:RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」

当然ながら、聴けてない楽曲だってたくさんあるし、なんであの作品が入ってないねん、というツッコミは人の数だけあるとは思う。

でも、自分がランキングを付けてアルバムのランキングを決めるなら、このラインナップが一番腑に落ちたので、この形にさせてもらいました。

まあ、このランキングをひとつの取っ掛かりにして、2019年の音楽を振り返るきっかけにしてもらえたら嬉しいかぎりです。

ぜひ一度聴いてみてくださいな。

では、今回はこの辺で。

ではではではでは。

関連記事:2019年個人的ベストアルバム25

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