前説

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SixTONESって、アイドルはこういうものだみたいな概念を変えていったみたいなイメージがある。

というよりも、そもそもアイドルであるとかないとかそんなもんどうだっていいじゃんみたいな凄みが昨年の活動の中にはあったように思うのだ。

デビューから最初のフルアルバムリリースまで、そういう凄みがSixTONESの楽曲とパフォーマンスにはずっとあった。

表題曲やリード曲はいわゆるポップソングやダンスミュージックというよりは、ロック色の強いナンバーをエモーショナルに歌い上げたイメージのあったSixTONES。

かと思えば、「うやむや」ではいわゆるボカロの界隈にもSixTONESの凄さを魅せつけることになった。

いずれにしても、いわゆる<ファン>以外の心を掴む音楽を生み出してきたことは間違いない。

音楽ってどうしても「界隈」が生まれがちである。

そして、界隈ごとに牽制しあうことも多く、<よそ者>に対する眼差しは冷たいことも多い。

んだけど、SixTONESはそういう枠を取っ払って、その界隈の人まで巻き込んでしまうところがあったのだ。

ジャンルに縛れない立場であるからこそ何でも挑戦ができて、それを最大の武器にしていくSixTONES。

でも、それを中途半端に終わらせるのではなく、どこまでも高いレベルで表現に落とし込んできた。

そのひとつの集大成が「1ST」というアルバムだったのだと思う。

ただ、「1ST」の完成度が高ければ高いほど、じゃあ次はどうするのか?という問題がつきまとう。

少なくとも、ここでのイメージが今年一年の活動に大きな影響を与えるはずで。

色んな意味でドキドキとワクワクがある中で、発表されたのは「「僕が僕じゃないみたいだ」だった。

このタイミングでの王道ポップソングど真ん中。

ただ、この歌が王道であればあるほど、不思議とニヤリとしている自分もいた。

本編

「僕が僕じゃないみたいだ」の話

楽曲の色合いで話題になることが多かったSixTONESにとって、「僕が僕じゃないみたいだ」はすごくアイドルというものに対して王道であるのような一曲である。

キャッチーなサビをベースにしたAメロ → Bメロ → サビというわかりやすい構成。

華やかなストリングスや各メロディーの盛り上げ方もポップスとしての王道を踏襲している。

もしかしたらデビューソングだったら「普通」という見え方になってたかもしれない一曲。

だけど、「1ST」で色んな一面と高いパフォーマンスを魅せつけたからこそ、王道であることがどこまでも武器になる。

逆に言えば、シンプルに歌に惹き込むような構成の曲となっているから、「僕が僕じゃないみたいだ」では、SixTONESの歌声にぐっと入り込めるのである。

まず、冒頭の松村北斗の美しさと甘さと切なさを兼ね備えた歌声が絶妙である。

こういうテイストの歌だからこその魅力が、歌声の中でキラメているのだ。

Aメロを歌うジェシーと森本慎太郎の歌声にもどこか優しさが放たれていて、歌声の中にある何気ない温度の中に、ボーカルとしての表現力を高さを思いしらされるのである。

ほんと、6人の歌声の個性のまじり方が良いなあと思う。

個々のソロパートがあって、ハモリのパートがあって、全メンバーの歌声が重なるパートがあって。

多彩な色合いで華やかに楽曲を彩るのである。

個人的には、1番のサビの最後のセンテンスが好きだ。

高地優吾の歌声と京本大我の歌声が混じり合っている感じが美しくて、グッとくるのである。

こういう歌割りのバリエーションの豊富さもまた、SixTONESだからこその魅力のひとつであろう。

誰もが主旋律を華麗に歌えて、ハモリができるメンバーも豊富。

こういう王道ソングだからこそ、SixTONESのボーカルとしての美しさが際立つわけである。

また、今作は全体的にボーカルに甘さが際立っているからこそ、田中樹のソリッドみのあるソロパートが刺激的なスパイスになっていて、そのバランス感も良い。

気がついたら、王道であるとかアイドルソングっぽいとかも超克している。

SixTONESだからこその表現力で、SixTONESというジャンルを生み出しているのである。

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ポップスだけでは終わらないSixTONES

「僕が僕じゃないみたいだ」も良いんだけど、それ以上に素晴らしいのが各版に収録されているカップリング曲である。

「Bella」はラテン感のあるヒップホップになっており、SixTONESのワールドワイドな部分を強く感じさせる一曲となっている。

「僕が僕じゃないみたいだ」が王道な歌メロであるからこそ、ラップが炸裂したり、ダンサンブルなリズムアプローチで展開される楽曲に良い意味でゾクゾクさせられる。

「僕が僕じゃないみたいだ」が美しい曲なのだとしたら、「Bella」はかっこいい一曲である。

「Strawberry Breakfast」はディスコ感があふれる不思議な一曲。

ひとつひとつの音色にこだわっていて、楽曲の奥の方に鳴っている音もクリアに聴こえるのが特徴。

ディスコみがあるため、サウンドに懐かしさを覚えるんだけど、古さは一切感じさせないところが面白くて。

そういうサウンドの上を軽やかに歌いこなすSixTONESの歌声が心地よい。

「Call me」はじっくり聴かせるテイストのトロピカルなR&B。

クールな佇まいんだけど、切なさも感じる一曲となっている。

とにかく英語歌詞が華麗にキマっていて、<日本人が無理して英語を歌っている>感じがまったくしないところが凄い。

こういう細かい部分にも、SixTONESのパフォーマンスの凄さが際立っている。

「僕が僕じゃないみたいだ」が王道な展開かつがっつり日本語歌詞な歌だからこそ、版違いで収録された英語歌詞のカップリング曲の感じが痛快で眩しく光る。

SixTONESがいかに多彩で表現力のあるグループであるかを実感させるラインナップである。

まとめ

4曲を通して聴くと、今のSixTONESの魅力が改めて堪能することができる。

改めて、その表現力の凄まじさにうっとりさせられる。

「僕が僕じゃないみたいだ」に限って言えば、かっこよさよりも美しさであり、甘さが際立つ楽曲だけど、そういう部分がしっかりと表現に落とし込めているのはSixTONESのボーカルが素晴らしいからこそ。

デビュー2年目となる今年も、きっととんでもない輝きを放っていくのだと思う。

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