KANA-BOONの「フカ」で感じる変わらなさについて

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TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』が話題になったことで、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが脚光を浴びることになった。

なぜ、『ぼっち・ざ・ろっく!』でASIAN KUNG-FU GENERATIONが話題になったのかといえば、『ぼっち・ざ・ろっく!』はASIAN KUNG-FU GENERATIONのイズムを随所に受け継いだ作品だからだ。

というのも、『ぼっち・ざ・ろっく!』に出てくる主人公が結成した結束バンドのメンバーは全員、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのメンバーの苗字に由来している。

なんなら、誕生日は対応するメンバーの誕生日を逆から読んだものとなっているらしい。

また、作品のサブタイトルも一話をのぞいて、全てASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲名から取られている。

それだけ『ぼっち・ざ・ろっく!』のコンセプトはASIAN KUNG-FU GENERATIONに影響を受けているわけだ。

そのため、『ぼっち・ざ・ろっく!』を語るうえで、ASIAN KUNG-FU GENERATIONは外すことはできないわけである。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONは様々なアニメタイアップを手がけたバンドだ。

そして、ASIAN KUNG-FU GENERATIONは様々な作品に影響を与えてきた側のバンドだとおもている。

そういうことを踏まえても、これほどまでに正当な形で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのイズムを継承したアニメはなかったんじゃないかと思うわけだ。

まあ、自分的には『ぼっち・ざ・ろっく!』はASIAN KUNG-FU GENERATIONがバンドシーンで強く存在感を示していたときの空気感で”バンドシーン”を描いている印象で、令和の今のバンドシーンとは少し景色が違うところがポイントなのかなーと思ったりするんだけど、まあそれはそれで置いておこう。

ところで、『ぼっち・ざ・ろっく!』をみていると、ASIAN KUNG-FU GENERATIONに思いを馳せる一方で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONに影響を受けたバンドにも思いを馳せる瞬間があったのだった。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONはトリビュートアルバムもリリースされている。

その作品には、名だたるバンドが名を連ねてリリースされていた。

それだけシーンに大きな影響を与えたバンドということなわけだが、その中でも特にASIAN KUNG-FU GENERATIONのイズムを継承したバンドって誰だろうと考えていくと、自分はどうしても、KANA-BOONの名前を出したくなる。

というのも、初期からKANA-BOONはASIAN KUNG-FU GENERATION(とフジファブリック)の影響を作品から節々に感じさせていたからだ。

そして、ASIAN KUNG-FU GENERATIONを新しいセンスで再構築しなおしているところが、より印象的だったのである。

今にして思うと、ASIAN KUNG-FU GENERATIONに影響を受けたという公言するバンは多い。

でも、そのバンドの多くは、キャリアを重ねる中で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとは違う方向にシフトしていった印象である。

当然ながら、キャリアを重ねていく中で、どんどん新しい刺激を受けるし、できることもやりたいことも増えていくから、当然のことだとは思う。

同じ作風の楽曲をリリースしていたら「また、いつものやつだ」と言われる部分もあるしで、内部的にも外部的にも変化を要請された結果だとは思う。

そもそも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONだってどんどん”当時”とは異なる変化をしていくのだから、当然といえば当然の話だ。

もちろん、KANA-BOONもまた色んな意味で変化を余儀なくされたバンドだったし、作品ごとに常に違った一面を提示している。

でも、その一方で、KANA-BOONって”変わらなさ”を鮮明に出しているバンドでもあるなあと、「フカ」を聴いて改めて感じたのである。

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KANA-BOONの「フカ」の話

自分は「フカ」を聴いたとき、とてもキャッチーな歌だと思った。

しかも、ここでいうキャッチーというのは、KANA-BOONが持っているKANA-BOONだからこそのキャッチーさであるように思った。

谷口鮪の真っ直ぐに突き抜けた、甘くて人懐っこい歌声。

そして、このバンドだからこその躍動感とカラフルさを同居させた、ポップに響くバンドサウンド。

トリッキーというよりは、真っ直ぐさが際立つ楽曲構成に感じられて、そういった部分にKANA-BOONらしい真っ直ぐなキャッチーさを感じたのだった。

このキャッチーさは「僕がCDを出したら」をリリースした頃から変わっていないと思う。

バンドとして円熟した進化を感じさせてくれる一方で、初志貫徹しているKANA-BOONの魅力を「フカ」を通じて、自分は感じたのである。

2010年代に頭角を表したバンドの”今”の楽曲を聴くと、好き嫌いは別にして「変わったな」という感想を覚えることが多い。

でも、KANA-BOONはそういう大きな変化を感じさせない。

もちろん、今のKANA-BOONだからこその演奏の幅の広さを感じるし、言葉の説得力を覚えるし、深みも広がっている印象だ。

でも、それ以上にあの頃から変わらない真っ直ぐさとキャッチーさが楽曲の中で際立つ印象なのだ。

特に「フカ」を聴いたとき、それを鮮明に感じた。

そして、それはつまるところ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONに真っ直ぐに影響を受けていたあの頃のKANA-BOONから、良さが変わっていないとも言えるのかなーなんてことを思ったのだ。

まとめに替えて

そういうことを考えた時、どこまでも真っ直ぐにアジカンのバンド的イズムを継承しているのはKANA-BOONなのかなーと、ふと思うのである。

いや、もちろん、アジカン的というのは色んな切り口で語れるので、そんな単純な話ではないんだけど、ある一面からみたときのアジカンらしさは、KANA-BOONが正当に受け継ぎ、進化させているように思うわけである。

もしアニメでもっともASIAN KUNG-FU GENERATIONを正当に継承した作品が『ぼっち・ざ・ろっく!』なのだとしたら。

この世代であの頃のASIAN KUNG-FU GENERATIONのイズムを真っ直ぐに受けて、真っ直ぐに継承し続けているのはKANA-BOONなのかなーとついつい思うのである。

ということで。

ちょうど自分が『ぼっち・ざ・ろっく!』にハマっていたタイミングということもあって、よりKANA-BOONの「フカ」が突き刺さったのでした、というそういう話。

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