前説

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すごく勝手な話をしてしまうけれど、許してほしい。

自分は、back numberのことを女々しいバンドだと思っていた。

いや、別にメンバーの性格そのものが女々しいとかいう話ではない。

ただ、バンドが歌うテイストがどうしても女々しく感じることが多かったのだ。

歌の中の主人公がどうしても女々しくて、その女々しさが印象的に残る歌が多かったという話である。

また、清水依与吏が書くそういう主人公はどこまでもリアルで切実なのだ。

だからこそ、そういうイメージが強かったわけである。

つまり、キャラクターとして女々しくなることを選ぶバンドだと思っていたわけだ。

少なくとも、僕と君の関係性を歌う歌であれば。

サウンドがどれほどかっこよくて、歌詞が紡ぐ想いの内実には女々しさが宿っていると思っていたわけだ。

ただ、そのイメージを覆す歌と出会うことになる。

今年、発表された「怪盗」が、まさにそれなのである。

「怪盗」を聴いたとき、本当に驚いた。

だって、この歌、めちゃくちゃにかっこいいからだ。

いやね、もちろん今までのback numberの歌でもかっこいいものはたくさんあった。

でも、それはサウンドの意匠の話であることが多くて。

「怪盗」は純粋に言葉がかっこいいと思ったのである。

言葉が紡ぐ眼差しそのものに、かっこよさを覚えたわけだ。

ん?

言っている意味がわからない?

それでは、この記事では、そのことについて書いていきたい。

back numberが紡ぐかっこよさについて

力強いメッセージ性

back numberの歌って、どちらかという感動をさそう歌が多いと思う。

美しいメロディーラインと壮大なオーケストラアレンジが印象的な歌が多い。

だからこそ、ドラマだったり映画の主題歌としてばっちりとハマるのである。

確かに「怪盗」のメロディーラインが美しい歌だ。

サビのラインはどこまでも耳馴染みが良い。

んだけど、それだけでは終わらない歌なのだ。

というのも、最初にこの歌に「おっ」と思ったのは、その歌の言葉選びなのである。

冒頭は、こんなフレーズで始まる。

じゃあちょっと目を閉じて
僕の腕に掴まっておいてよ

おいおいおいおい。

ものすごくかっこいい出だしじゃないか。

そんなことを思った。

今までのback numberのタイアップ曲とは違う眼差しを楽曲の中で感じたわけだ。

なんというか、君と僕の関係性がいつものback numberの歌とちょっと違うというか。

歌の主人公のエスコートしている感がひしひしと伝わってくるというか。

サビなんて、こんなフレーズで綴られる。

ここから君を奪って
夜空を抜けて
宝石みたいな 街を飛び越えて

語尾が「て」の三連発。

back numberの歌って、清水依与吏の歌詞って、とにかく心情の描写を中心的に行う歌詞が多い。

なので、主人公の感情がひしひしと伝わるわけだけど、あまりにも率直な感情を伝えるから、どことなく女々しさを感じてしまう。

でも、「怪盗」はそういうことがない。

余計な感情描写は削ぎ落とす。

<自分>ではなく、<君>に眼差しを送る。

そして、心情の描写よりも主人公の動作に言葉を割いている印象を受けるわけだ。

それにより、主人公の行動が能動的な色合いを帯びていく。

それ故、それが=歌のかっこよさに繋がっているのである。

そんな風に、思うわけだ。

あと。

この歌は君に対する眼差しも良い。

君に対して圧倒的な全肯定をしている。

余計な否定語は使わない。

全身全力で君を肯定している感じがたまらなく良いわけである。

こういう眼差しが冴え渡っているのは、この歌の主人公がかっこいいからこそ。

そんかおおとを思うわけだ。

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宝石のような歌の輝き

back numberの歌は本当にメロディーが良い。

そのことを改めて感じる楽曲である。

歌がきちんと軸にあって、サウンドとかリズムについてあんまりよくわからない人でもぐっと惹き込む凄みが楽曲にある。

小林武史がアレンジャーに加わっているけれど、back numberと小林武史がタッグを組むことで、しっかり楽曲の軸がメロディーになっている印象を受ける。

メロディーが軸だからこそ、清水依与吏のボーカルが印象的に響くし、冒頭で書いたような言葉のひとつひとつが胸に打つのである。

back numberらしくないテイストもあるけれど、back numberらしさも輝いている。

だからこそ、「怪盗」はどこまでも宝石のように美しく輝いているのである。

まとめ

ふさぎ込んだ話題があふれがちな世の中。

だからこそ、そんな鬱屈した空間から君を救い出す=盗む、といったある種のポジティブなメッセージを感じる。

つまり、これは清水依与吏らしい(ある種の)応援歌なのではないか。

故に、いつもと違う輝きを楽曲の中にみたのかなーなんてことをぼんやりと思うのである。

何にしても、新たな名曲ができたことは間違いない。

「怪盗」、色んな人に聴いてほしい歌である。

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