前説

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三浦大知の「Backwards」がリリースされたのは、4月21日。

「Backwards」と「About You」に関しては、事前に各記事で感想を書いていたんだけれど、トータルの感想はまだ書いていないことに気づく。

ミルクボーイの漫才のツカミではないけれど、こんななんぼあったってはいいわ、って言いたくなるくらいの名曲なので、改めて「Backwards」に収録されている楽曲の素晴らしさについて、書いてみたいと思う。

では、どうぞ。

本編

「Backwards」について

三浦大知にしかできないアッパーなダンスナンバー。

数々の名曲(名盤)を生み出したNao’ymtとの夢のタッグ。

歌いながら踊るダンスじゃねえだろ・・・というのはもちろんなんだけど、そういう褒め言葉はもはや<平常>になってしまうのが三浦大知の恐ろしさである。

「Backwards」について感じるのは、単純に技術的に凄い、という枠を越えて、さらに表現そのものを研ぎ澄ませていることだと思う。

人によっては、この歌から怒りを感じる、なんて評することもあるけれど、感情を表現する言葉を用いずして感情を表現している三浦大知だからこそできる芸当だと思うわけだ。

洗練されているようにみえて、行儀よくやっているようにみえて、ここぞではっきりと躍動するボーカルに、明確なる感情が宿るわけだ。

アグレッシブかつ攻撃的なビートメイクと、ボーカルの感情がしっかりと重なり合うからこそ、どこまでも歌の中に感情が生じる。

歌って面白いもので、本人が作詞作曲を担当するときよりも、歌に楽曲を提供してもらった方が、楽曲の表情を鮮やかに表現できるときがあって、「Backwards」はそんな奇跡の真骨頂なのではないかと思うわけだ。

「About You」について

「Backwards」と同じく、Nao’ymtとタッグを組んだ今作。

「Backwards」とまったく違うテイストにヒリヒリさせられる。

あえて「Backwards」と共通点を見出すとしたら、聴いているこちら側が思わず息を飲んでしまうような(ある種の)緊張感が内在しているということだろうか。

テンポは穏やかで、サウンドの意匠もミニマムな一曲。

だからこそ、ボーカルのちょっとした揺らぎもダイレクトで伝わってくる。

歌声が空間の中に波紋を作り、少しずつ感情に揺さぶりをかけてくるような心地を覚える。

わかりやすいメロディーラインを聴かせるのではなく、歌そのものの美学を堪能させるような凄まじさがあるところも、この歌の特徴だと思う。

三浦大知ってダンサーとしての凄まじさについて、スポットが当たることが多い。

でも、ボーカルそのものも凄まじく、あえて言うならボーカルが凄まじいからこそダンスが映えているとも言える。

「About You」で魅せる、溶けるようなファルセットを鼓膜に直接くらったら、きっとそのことを改めて強く実感すると思うのだ。

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「Spacewalk」について

三浦大知は最近、自分で楽曲を手掛けることも増えてきた。

「Spacewalk」は、作詞を自分で、作曲はUTAと共作で行った楽曲である。

ダンスとしての凄まじさ、ボーカルとしての凄まじさは、最近たくさんの人が語るようになった。

合わせて、振り付けとしての才能についても語られることが増えてきた。

が、ひとつだけまだ語り足りていないよなーと思う要素があって。

それは、ソングライティングとしてのセンス。

そう。

三浦大知は、作詞作曲を行っても凄まじいのである。

「Spacewalk」を聴くと、そのことを強く感じさせる。

ある程度キャリアを重ねたシンガーが自分で楽曲を手掛けることは、そこまで珍しいことではない。

三浦大知と同じくらいのキャリアの人でも、そういう人がいくつかいる。

でも、出来栄えがまったく違うのだ。

好きとか嫌いとかについては好みの問題だから置いとくとして、三浦大知は自分で楽曲を手掛けるときもバリバリに作家性を発揮するのだ。

というか、よくあるタイプのJ-POPみたいな歌を作らない凄みが三浦大知には、あるのだ。

色んな音楽を聴いて、色んなアウトプットをしているからこそ、たどり着くことができる境地を、ソングライティングの中にもしっかり忍ばせるのである。

スタイリッシュに響くサウンドの中、どことなく快楽をメロディーラインに落とし込む「Spacewalk」。

三浦大知の楽曲でしか味わうことがない心地よさが、どこまでも炸裂しているのである。

「Didn’t Know」について

この楽曲も、「Spacewalk」とまったく同じ構成となっている。

この歌は楽曲全体の構成が独特である。

メロパートはこういう展開なのに、サビはこういう展開になるの・・・?????というゾクゾク感があるのだ。

硬派な手触りを感じさせるビートメイクの中、クールなんだけど甘さを感じさせる三浦大知のボーカルが炸裂しているのである。

自分が良いと思うに関しては一切の妥協をしない。

そういう三浦大知の完璧さを感じさせる一曲となっている。

コーラスワークだったり、音の使い方だったり、声の加工の仕方だったり、至るところで<新しさ>を提示させる音楽センス。

「Backwards」や「About You」だけでも、相当に個性の強い楽曲のはずなのに、その中でも「Didn’t Know」にしかない輝きをどこまでも放つのである。

まとめ

四曲まとめて聴いてわかる。

三浦大知の才能の潤沢さが。

音楽をアウトプットするうえで必要な技能をどこまでも努力で研ぎ澄ませてきた三浦大知だからこその作品の数々。

この四曲を聞けば、音楽って、こういう面白さ、素晴らしさもあるんだと気づかされると思う。

なんにせよ、2021年の音楽を語るうえで、絶対に外せない楽曲だと思う。

関連記事:三浦大知の「Backwards」で魅せる、突き抜けたアグレッシブ性

関連記事:三浦大知の「About You」評。〜ボーカルとしての凄まじさ〜

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