前説

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UNISON SQUARE GARDENのギタボである斎藤宏介。

その斎藤宏介がユニゾンとは違うバンドを結成をした。

タッグを組んだのは、ベーシスト須藤優。

この二人で、XIIXというバンド(バンドという呼称が正しいのかは知らないけれど、この記事ではバンドと表記することにする)を結成したのだ。

バンド名の読み方が難しい。

正しい読み方は、テントゥエンティとのこと。

この記事では、そんなXIIX(テントゥエンティ)のことについて書いていきたい。

本編

ユニゾンの斎藤が、ユニゾンとは違うバンドで歌を歌う。

これだけで界隈では、大きなニュースとなった。

しかもユニゾンとは違い、斎藤が作詞作曲も手掛ける(XIIXの楽曲は基本的には須藤優との共作にはなるが)というところも注目だった。

果たしてどんな歌を作るのか。

どんな歌を披露するのか、と。

そして、今月「White White」というアルバムがリリースされたわけなんだけど、結論を言えば、このアルバム、すごく良かった。

ユニゾン斎藤の別バンドの作品、という捉え方でこの作品を聴くと、ユニゾンとカラーが違いすぎてびっくりすると思う。

しかし、斎藤と須藤という二人の才能あるバンドマンがタッグを組んで、妥協を許さずして作った作品として捉えると、すごく納得する作品だと思う。

アルバムの話をしていきたい。

まず、楽曲はいわゆるオシャレな感じのするものが多くて、グルーヴを意識させる楽曲が多数収録されている。

映像の部分は置いといて、音楽部分だけにスポットをおくと、「グルーヴを意識させた楽曲」の意味合いがよくわかると思う。

ユニゾンはわりとスピーディーなギターと、息継ぎするスキすら与えないメロディー割が特徴である。

ユニゾンの楽曲は拷問に近い苦行をギタボに背負わせることでも有名なわけだけど、そういうユニゾンの特徴とは対極のような楽曲なのである。

もちろん、ユニゾンのような難解な歌をさらっと歌うことができるギタボだからこそ、こういうスキマの見える楽曲でも一切スキのない歌と演奏を披露している。

というよりも、斎藤のギタボとしてのレベルの高さを改めて感じるのではないかと思うのだ。

「Light & Shadow」に関しても、バンドのゴリゴリさよりも、色気が全面に出ているような楽曲になっている。

斎藤のきれいなハイトーンボイスが際限なく活かされているし、ただキレイなだけではなく歌声の中に表情が宿っている。

アルバムを通して聴くと、斎藤の音楽の好みが良い感じにあらわれている。

今の海外のバンドの空気も音楽に落とし込みながらアウトプットしたのかなーなんて思ったりする。

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バンドメンバーのソロ・アルバムではない

有名なバンドメンバーがソロ活動をすると、ソロ活動では趣味性を出したアルバムをリリースすることが多い。

そして、売れ線から外れたそのアルバムは、ある種のファンアイテム的な受け止め方をされることも多い。

そのため、ファンの本音の本音をいえば、ソロ作品は本家のバンドの作品を超えることができていない、ということも多いと思うのだ。

けれど、XIIXの場合、そういう要素がまったくない。(と僕は思う)

もちろん、作品性が違うため、個々の好みに依存する部分はあるだろうけれど、XIIXの作品は完全にXIIXのバンドとして成立している。

というか、別バンドがどうのとかなくてそういうものを抜きにして、めっちゃ良いアルバムなのである。

言ってしまえば、アルバムとしての完成度が高いという話なんだけど、ここで重要になってくるのが、須藤優だと思う。

このアルバムの楽曲は、斎藤と須藤のキャッチボールでどんどん煮詰めていったらしい。

お互いの才能をぶつけ合いながら、素早いやり取りの中で音楽を作っていたとのことなんだけど、お互いがアイデアを出したり、意見を出し合う中で作品ができたために、それぞれの楽曲の質が高く、余分なものがないように感じるのだ。

けっこうゆるいテンポのナンバーが多いから、気だるさを感じる可能性だってあるはずだ。

アルバムで言えば、インストだってあるし、アルバム全部を聴くのがめんどうになる恐れだってあるはずだ。

その辺の同じようなバンドの作品なら。

でも、XIIXの作品はそういうことがない。

楽器の音がキレイに研ぎ覚まされていて、楽器が紡ぐグルーヴに飲まれてしまうのである。

だから、スキマの部分にも美しさを感じるし、インストとか間奏にこそ、心を奪われてしまうのである。

「夕映えに紛れて」の最初のイントロのギターの音だけでも、それがわかると思う。

音そのものが研ぎ澄まされているのだ。

フレーズだけを切り取れば、トリッキーなことをやっているわけじゃない部分でも、その音の鳴り方だけでぐっときてしまうのである。

「Answer5」の間奏部分もぐっとくるところである。

ここは、ベースソロもありつつもギターソロも控えているというパートで、お互いの演奏のかっこよさを堪能できるようになっている。

うまいやつが楽器を弾くと、間奏でもこんなにも痺れるものになるんだぜ、ということを感じさせてくれるのだ。

そうそう。

アルバム全体を通して、けっこうベースが存在感を示す楽曲が多いのも「White White」のグッと来るポイントだよなーと思う。

まとめ

いわゆる斎藤ファン以外も、きっとグッと来る作品だと思う。

だから、XIIXの作品はもっと広い層に聴かれてほしいなーと思う。

この記事で言いたかったのは、それなのだ。

オシャレなリズムを鳴らしながらも、ココイチでとても鋭利な楽器の音で、内面のツボをぶっ刺してくる。

そういう類のアルバムだ。

聴ける包丁、とでも言えばいいだろうか。

完成度が高い分、殺傷能力がかなり高いという話。

個人的には、インストが終わって、「夕映えに紛れて」が始まる流れが、すごい好きである。

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