前説

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一度はメジャーに行ったものの色々とソリが合わず、インディーズに出戻り。

バンドのことを、そんな風に紹介されたら普通は「終わった」バンドだよなーと思われてしまうことだろう。

しかし、SUPER BEAVERは違う

きちんと自分たちのやりたい音楽と向かい合ったからこそ、メジャーからインディーズに戻ったのであり、自分たちのモットーを大事にしながら音楽を作り、自分たちが納得のいく形でライブする必要があったからこそ、その決断に至ったわけだ。

ビーバーはいつだってそうだった。

時代がそうだからとか、トレンド的にこうあるべきとか、そういうことを無視をして「自分たちはどうあるべきか」にコミットをして、音楽を続けてきたバンドだった。

だからこそ、長い時間をかけて、メジャーバンドですら達成するのが難しいようなことをやりのけてしまう。

日本武道館ワンマンや民法のゴールデンタイムにおけるドラマ主題歌の抜擢などは、そんな彼らの功績の一つであろう。

今となっては、日本のロックシーンを語る上でも重要なバンドとなったSUPER BEAVER。

ここまでの偉業を達成した後で、今さらになって「ビーバーってとても良いんだよ」なんて言葉にするのは、少しお恥ずかしい部分もある。

が、カッコいいと思えるバンドをかっこいいって何が悪いんだって話もある。

僕も思うのだ。

ビーバーってかっこいいよなーって。

というわけで、今回はビーバーを取り上げた記事を書いていきたいなーと思う。

本編

踊れないロック

個人的なビーバーの音楽的な魅力って「踊れなさ」にあると思う。

最近の流行りのロックバンド、特にフェスで人気のロックバンドは、ライブでもフェスでも踊らせがちだ。

ライブで観客に身体を動かせることをすぐに「躍らせる」と表現するし、MCで「踊ること」を推奨するバンドはたくさんいる。

ダンス系のビートを奏でるバンドならそれも納得のいく話だが、最近だと、わりとゴリゴリなサウンドを鳴らしているバンドや、横揺れ系のバンドであっても「踊ること」を推奨してくるように思う。

もちろん、踊り方、踊らせ方はバンドごとに違う。

いずれにしても「踊ること」「躍らせること」が、ロックというジャンルにおいても重要な要素になっていることは間違いないし、売れることを志向するなら、フェスで人気を勝ち取っていくならば「どう躍らせるか?」ということが、音楽を作る上で、ライブで曲を披露する上で、重要なポイントになっていることは間違いない。

そんなトレンドの中にあって、ビーバーは見事に逆をいく。

見事に踊りづらい歌ばかりを歌うのだ。

メジャーデビュー時代の楽曲を聴くと、大人側がビーバーに「踊れるような歌」を歌わせようとしているように感じることもあるが、再びインディーズに戻った後のビーバーの作品は、びっくりするくらいに踊りづらい曲ばかりを作る。

ツーステのようなステップすら、踏むことを許さないビート感がある。

その代わりに拳を突き上げて、一緒になって声をあげて高揚するような、そういう熱さを持った歌であることが多い。

これってつまり、ビーバーの歌はど真ん中に渋谷の歌があるということである。

ビートやリズムではなく、シンプルにボーカルの歌に共鳴をしたくなる歌ばかりなのである。

ほんと、ライブでも直球でメロディーの良さをぶつけてくる。

そして、これは次項にも繋がる話だが、メロディーが直球で響くからこそ、そのメロディーにのっかっている歌詞もストレートに響く。

おそらくビーバー自身も、自分たちが作っているサウンドがトレンドじゃないことは重々承知している。

それでも、ビーバーは流行りに流されず、ブレることもなく、自分たちが正しいと思う音を鳴らし続ける。

だから、カッコいいと思うし、胸に迫るものがあるし、何より歌がど真ん中にあるビーバーの歌がとても良いのだ。

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歌詞が良い

本音を言えば、ビーバーの歌はクサい。

歌詞もクサければ、タイトルだって大概にクサすぎる。

今時、少年ジャンプですらここまで堂々と臭いことを言ったりしないよなーなんて思ったりする。

でも、そういう臭いことを余すことなく歌詞にしちゃうところが推せるし、その歌詞を魂を込めてライブで披露する姿がとてつもなくカッコいい。

これは歌詞そのものが良いとか、書いているフレーズがとても素敵とかそういう話ではなく、ビーバーが歌うからこそ響くというか、「あ、こいつら、こんな恥ずかしい歌詞をマジに真剣に歌っているな」って率直に思えるから、言葉として書かれている以上の鋭さを持って、胸の柔らかい部分にグサってメッセージが突き刺さるのである。

ほんと、ステージに立った時の渋谷の言葉って、なんであんなに胸に刺さるんだろうなーって思う。

これは歌詞だけでなく、MCひとつひとつとってもである。

あと、ビーバーが凄いのが、そんな「刺さる歌詞」を書いているのが、ボーカルの渋谷ではなく、ギターの柳沢だというところである。(歌によっては共作であることもあるけれど)

あんなに魂込めて歌にしているのに、歌詞を書いて歌っているお前じゃないのか!!っていう驚き。

ただ、バンドメンバー内で「表現したいこと」「やりたいこと」が統一されているからこそ、ビーバーってどの歌においても一貫しているし、圧倒的な説得力を持ったライブが披露されるのである。

ライブが良い

ビーバーのことを知っている人に対してであれば、わざわざ言うことではないだろうけど、何よりもライブがかっこいい。

これに尽きると思う。

素直にライブが良いと思えるし、曲の良さとライブパフォーマンスの見せ所が見事に一致しているからこそ、ライブで曲が披露されると感動的な高揚感が生まれるし、鳥肌が立つような凄まじさを覚えるのである。これがビーバーの凄さである。

しかも、このライブパフォーマンス、ライブハウスで観るのは当然ながらにかっこいいのだが、凄いのは、それ以上に大きなステージで観たときも、そこにある熱量や凄まじさが変わらないところである。

屈指のライブバンドではあるんだけど、どこで観ても「ライブバンド」としての鮮度が落ちないというか。

そういう凄さがある。

まとめ

確かにビーバーの音楽って、ロックという文脈だけで捉え直したとしても、メインストリームの音楽とは思えないし、正直言えば、やっている音楽自体は少し古いよなーと思うこともある。

サビでメンバー全員がコーラスをするとか、一昔前のロックバンド感があるよなーって思うこともある。

けれど、流行りとかそんなのはどうでもいいよなーってことも、ビーバーの音楽に触れると思うことであるのだ。

シンプルに歌とメロと歌詞が良い。そして、それをライブで披露すると、音源の10倍増しでカッコよく表現される。

バンドが持つ1番の魅力を、全力で表現している。

だから、ビーバーって推せるよなーって思うし、流行りとは違うところで鳴らしている音楽のはずなのに、きちんと10代や20代前半の「新たなロックリスナー」にも、そういう泥臭いロックで魅了しているということである。

誰よりも実直に、自分たちの信念を曲げずに音楽を鳴らし続けてきたビーバーだからこそ、できることなんだろうなーと思うのだ。

メジャーやインディーズという「形」すら超越して音を鳴らす。

そんな、すげえバンドなのである。

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