前置き

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2019年5月現在、バンド音楽シーンの中で、今のところ一番最後にシングルCDでミリオンセールスを突破したバンド。

それがORANGE RANGEだ。

そんなORANGE RANGEについて書いてみたい。

本編

陽キャラの音楽だったORANGE RANGE

ORANGE RANGEのブレイク時期が自分の中学生時代と被るから実感するんだけど、当時のORANGE RANGEはマジでエグかった。

ほんと、いわゆるバンド音楽をまったく聴かない人でも、モンパチとORANGE RANGEだけは普通に聴いてるし、普通に歌える人が多かった。

クラスのほぼ全員が歌える歌ばかりを量産していたわけだ、当時のORANGE RANGEは。

すげえ俗な言い方になってしまうんだけれど、当時ってロックには二つの種類があった。

一つはBUMPやアジカンに代表される「陰キャラのためのロック」である。

学校で言えば、教室の隅にいるような奴ら向けの音楽。

決してクラスの中で目立つことはなく、クラスの中に空気のように溶け込むような人たちが聴いている、そんなタイプの音楽だった。

その一方で、クラスには陽キャラもいる。

簡単に言えば、教室でも存在感を放っているし、異性ともすんなりコミュニケーションがとれるし、楽しく学校生活を謳歌しているタイプの人間である。

で、そういう人間は決まってダンス音楽を聴くのだった。

EXILEとかモー娘。とか、そういう「踊れる」音楽ばかりを聴いているのである(もちろん、この分類には相当なバイアスがかかっています)。

そうなのだ。

当時の多くのバンド音楽は、比較的陰キャラのための音楽だったし、陽キャラの人はあまり関心を示さなかった。

が。

そんな鉄の殻を破ったのが、モンパチとORANGE RANGEだったのだ。

沖縄育ちである二組のバンドが、水と油のような陰キャラと陽キャラの音楽の趣味の壁をぶち破るのである。

これは事件だった。

昔は舐められたバンドだった

だからなのかは分からないけれど、昔のORANGE RANGEは、ネットで死ぬほど叩かれていた。

リアルの教室では大人気のORANGE RANGEは、ネットでは死ぬほど叩かれる対象だったのだ。

今にして思うと、当時2ちゃんねるを能動的に使う人の多くが、先ほどの分類でいうところの陰キャラの人が多かっただけのような気はする。

だから半ば、当てつけのようにORANGE RANGEにSAGEをしていたのかなーなんて思うのだ。

とはいえ、確かに舐められる要素がまったくなかったわけでもなかった。

ORANGE RANGEは、一般的なバンドに比べたら決して演奏は上手くはなかった。

少なくとも、ゴリゴリの先人のミクスチャーバンドと比べれば、歌も演奏も微妙だった。

初期のドラムなんかは、相当にキツイものがあったし。

ただ、それ以上に叩かれていたのは、メロディーの部分だった。

ORANGE RANGEの歌は昔から、パクリっぽいという指摘が多かったのだ。

「ロコローション」のリリース時にそのザワザワはピークを迎える。

この歌を作曲したNAOTOが雑誌のインタビューで「オレたちの中の合言葉はパクろうぜ!です(笑)。まずはカヴァーするんですよ。で、ここをわかんないようにしようとか、ここ使ったらバレるだろ、とか話し合う(笑)」という、実に際どい発言をしたために、大炎上となってしまう。

紅白出演のタイミングで、「ロコローション」に関してはクレジットの記載が変更され、カバー曲扱いになる。

そんな諸々の事情もあって、ナンバガみたいなロックバンドが好きなタイプからは特にORANGE RANGEは舐められていた。

というか、嫌われているフシがあった。

そんなORANGE RANGEはどこか、境遇が今のWANIMAに似ていると思う。

ただ、ORANGE RANGEとWANIMAに大きな違いがある。ひとつだけ。

レンジは本人の意に沿わずに大きなステージに立たされ、強引にスポットを当てられたような気がするのだ。

一方、WANIMAは明確なる意志をもって、しんどいことも覚悟して、自ら進んで「メジャー」の舞台に上がった。そんなふうに見えるのだ。

まあ、これもまた、俺の偏見でしかないんだけど。

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ある意味で大人の期待に潰されたバンドだった

いずれにせよ、ORANGE RANGEはおそらく自分たちが想像する以上に売れてしまった。

そして、モンパチと違い、うっかり大人がコントロールするレールに乗ってしまったORANGE RANGEは、本人たちの意向とはズレた、限りなく商業主義な音楽を量産することになる。

たぶん、それは本人にとって、とてもきついことだったのだろうと思う。

が、ORANGE RANGEはブレイクした後も、比較的その期待に応える作品をリリースし続け、モンスター的な売り上げを叩き出していく。

そして、2010年にベストアルバムリリースを最期の仕事として、レーベルを移籍することになる。

ここがまた、彼らにとってひとつの転機となった。

ORANGE RANGEはそこから少しずつ、自分たちがやりたかったことを始めるようになったのかなーと思うのだ。

なぜなら、リリースする作品のタイプは明らかに変わったからだ。

活動スケジュールも比較的マイペースなものに変わっていったし、ロックフェスにも積極的に出演するようになる。

何より変わったのは、アー写とかビジュアルのテイストだと思う。

言葉は悪いが、ソニー時代は「女ウケ」を狙っていたような気がするのだ。

けれど、ビクター内にあるプライベートレーベルに移動してからは、ロックバンド然するようになったというか、硬派なイメージに移行したような気がするのだ。

これもひとつの戦略なのだ、と言われたらそうなのかもしれないが、昔は売れることを志向させられまくっていたバンドが、それでも完全に潰されることなく、最終的に自分たちの居場所を確保して、息長く活動できる道を選んだって、凄いことだよなーと思う。

思えば、僕が子どものとき、ORANGE RANGEを聞いていた陽キャラの多くは、こう言っている。

「え???モンパチとかレンジって、まだいるんだ?(笑)」

そうなのだ。

流行りで音楽を聴いている人は、いつだってこんな反応をするのだ。

もちろん、陽キャラと分類される人の全員がそういうタイプだとは言わないが、実感として、多くの人が、こういう反応をしがちである。

BUMPみたいに今でも圧倒的存在感のバンドですら、今の姿をみると「懐かしいな〜まだいるんだ〜」という顔をする。

まあ、その人にとって、音楽は思春期の時にハマった「想い出」みたいなものなんだろうし、そういうマイルドな音楽ファンがいるから、米津玄師とかあいみょんみたいな、次なるブレイクアーティストが出てくるだろうと思う。

その態度に、良いとか悪いもないと思う。

単純に価値観が違うだけだと思うから。

ただ、言えるのは、ORANGE RANGEは自分たちの音楽を忘れず、大人に流されながらも、きちんと自分たちを見失わずに活動してきたというこた。

だからこそ、今でもシーンで存在感を放つバンドになっているんだろうなーということだ。

死ぬほどネットで叩かれていたバンドは、長い年月経て、その評価を変えてきたように思うのだ。

当時はORANGE RANGEがあまり好きではなかった僕も、今フェスとかでORANGE RANGEみたら、不思議と上がっちゃうもん。

ライブが楽しいし、かっこいいなーって思うもんね。

まとめ

ちなみに個人的なORANGE RANGEの音楽的な功績って、ミクスチャーロックに新たな境地を作り出したことだと思っている。

それまで、ミクスチャーロックってDragon AshとかRIZEみたいに、怖い感じの兄ちゃんがやっている、怖い感じの音楽ってイメージがあった。

でも、レンジは自分たちのユーモアを織り交ぜ、沖縄的な音色をミクスチャーロックに取り込むことで、ミクスチャーロックをより身近なものにした。

ヤンキー的なもの(という言い方が正しいかはわからないが)をポップにして売れたという意味でも、ORANGE RANGEとWANIMAは似ているなーなんて、勝手なことを思う。

まあ、生粋のミクスチャーロック好きからしたら、あんなのはミクスチャーロックではないと言うのもしれない。

が、遠いところにあったロックを、色んな人の身近なものにしたという意味で、ORANGE RANGEは凄いバンドだよなーと思う。

あと、なんだかんだで曲の認知度だけで言えば、我々世代のミスチル感もあるしね。

ほんと、初期の曲はどの歌を聴いても、みんな知ってるもんね。

「musiQ」は伊達にダブルミリオンを突破してないよなーと思う。

調べたところ、21世紀にデビューしたアーティスト(バンド以外も含め)で、ダブルミリオンを突破したアーティストはORANGE RANGEだけらしい。(モンパチもダブルミリオンを達成しているが、彼らは90年代から活動しているのだ)。

ある意味ではミスチルレベルのモンスターバンドのはずなのに、こんなにも距離が近いバンドというのも珍しいなーと思う。

これも、彼らがレーベルを変えて「キャラ変」したからなんだろうなーと思うし、色んな意味で自由になったORANGE RANGEのこれからが、楽しみだよなーと思う。

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