前説

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バンド音楽の良さって孤独との寄り添い方にあると思っている。

いわゆるDJイベントでかかるようなダンス・ミュージックは「アガる」歌が多いんだけど、内面にある孤独に寄り添ってくれるかというと、微妙なことも多い。

いや、厳密に言えば、きちんと孤独と向き合っている歌も多いんだけど、孤独の向き合い方がちょっと違うとでも言えばいいだろうか。

もしかすると、バンド好きの人がtiktokに苦手意識を持っているのは、そういう「物事に対する向き合い方」が自分と異なる人が多いからなのかもしれない。

それは、さておき、この記事では人によって違うイメージで語られることもあるけれど、内実は孤独と深く向き合っていると感じるバンドを紹介したいと思う。

Mrs. GREEN APPLE

ミセスの音楽は明るい歌が多い。

でも、どの歌も底抜けに明るいのかといえば、そんなことはない。

どこか人生を悲観する眼差しがあったり、何かを悟ったような寂しげな物言いがフレーズに差し込まれる。

人よりも広い視野で物事を見てきた大森だからこそ、どこか達観した寂しさが歌全体に宿っているように思うのだ。

この5年は、そんなミセスがある種の温かさを宿すための道のりだったのではないだろうか。

「Theater」を聴くと、そんなふうに自分は思うのである。

この歌が第一章のある種の集大成なのかなーと思えば、この歌が描く物語にぐっとくるものがある。

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サカナクション

サカナクションの歌には「夜」というワードがたくさん出てくる。

今までリリースした歌の多くも、明るくない歌が多い。

常にどこかネガティブな視座を向けてきたサカナクション。

歌全体にどこかしら影を感じるからこそ、孤独を知っている人間ほどサカナクションの歌詞に引き込まれるのかなーと思う。

難産した歌詞のワンセンテンスにふれると、そこにある哲学を感じてゾクゾクすることもしばしばなのである。

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クリープハイプ

クリープハイプの歌の主人公って人間関係に失敗している人が多い。

そういう失敗した人をリアルに描けるのは、クリープハイプがある種の孤独を知っているバンドだからだと思うのだ。

おっさんになってもヒリヒリさせられてしまう救いのない歌詞に、胸が掴まれる。

でも、孤独を知った人だからこそ、人に優しくなれることもできるのではないか。

微妙に優しいまなざしを持った今のクリープハイプの歌を聴くと、そんなこともふと思ったりするのである。

関連記事:クリープハイプの歌から感じる独特の歪みについて

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リーガルリリー

https://youtu.be/pGdxti5GIZs

ナンバガやくるりがデビューした「1997」年がタイトルになっている、この歌。

思えば、この辺りからロックはオルナティブな色合いを強くしていき、孤独と対峙するようなものが増えてきた印象を受ける。

そういう世代のロックのバトンを受け取るような音を鳴らすリーガルリリー。

だからこそ、どこか共鳴するものがあるのかなーと変なことを考える。

根暗(という言い方が正しいかはわからないが)なニオイをするロックサウンドを奏でている印象を受ける。

そういう独特の暗さに共鳴できるのは、97年から孤独に対する色合いが濃くなったロックに影響を受けてきたからなのかなーと勝手なことを思うのである。

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RADWIMPS

RADWIMPSの内面にある屈折を歌った歌が多い。

人生を上手く生きることができない葛藤とか叫びを歌にしたものも多い。

恋愛ソングが多いから、ある種「リア充」的な消化をされることもあるけれど、単なる恋愛ソングの歌い手にならないのは、恋愛と合わせて内面も強く歌い続けるからだと思う。

言うなれば、歌のひとつひとつに哲学が反映されているわけだ。

まあ、RADは表現が過剰であるが故に、時にその孤独が暴力的に映ることもあったのかもしれない。

が、いずれにせよ孤独を対峙してきたバンドであるとは思うのだ。

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SEKAI NO OWARI

このバンドが歌う「世界」はその時代時代で大きく変わる。

ただ、間違いなく最初の頃はセカオワが歌う「世界」は内面にあったように思うのだ。

屈折した人間が持つ、独特のよじれが音楽になった、そういう孤独さが内在していたように思う。

やがて、10年の月日が経って、その「世界」は大きく外側に向けて放たれることになるけども、どれだけ大きくなってもその本質は変わっていない印象を受ける。

光を描きつつ、その光の下で色濃くなる影も丁寧に描いている印象を受けるわけだ。

そう、今もその視座は変わらずに、音楽を鳴らしているように思うのである。

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まとめ

ロックの良さのひとつは、孤独との向き合い方にあるように思うし、好きなロックを並べると、そういう色合いが強いものが多い気がする。

音楽のどこの部分を好きになり、どのように消化するのかは人それぞれだと思うけれど、ロックが自分の側にある印象を受けるのは、きちっとそういう影にいる人にも視座を向きてきたからな気がするわけだ。

一見すると明るいように聴こえる音楽にも、そういう眼差しが宿っていると感じたとき、その音楽は強い味方になる印象を持つ。

そんなことを思いながら、今日はいくつかのバンドを紹介してみたのでした。

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