前説

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色んなバンドの楽曲を聴いていると、たまにボーカルの人、どこで息継ぎしているんだろう?こんな歌じゃ息継ぎするの大変でしょ、と思う歌を歌っているバンドがいる。

というわけで、この記事では、ボーカルの息継ぎが大変そうだなーと思う歌を歌っているバンドをいくつか紹介したいと思う。

本編

PENGUIN RESEARCH

このバンドのほとんどの楽曲を手がけているのは、堀江晶太という男なんだけど、この男はたまにライブでの再現性を無視した楽曲を作ってしまう。

「千載一遇きたりて好機」はそんな代表曲である。

聴いてもらったらわかるけれど、ボーカルの息継ぎがなかなか大変そうである。

んだけど、鬼畜なのはそこだけじゃない。

最大のポイントはキーの高さだ。

女性ボーカルですらNGを出すことがあるキーの高いサビに設定して、それを男性ボーカルに歌わせるという鬼畜な所業を行っているのである。

ボーカルも某インタビューにて、デモを聴いた段階から死期を感じていたらしい。

ボーカルにこんな気持ちを抱かせる時点で、このバンドのヤバさがよくわかると思う。

今年発売されたニューアルバム「それでも闘う者達」は、ボーカル殺人成分は少し薄まって、フレーズが印象的なメッセージの強い曲が増えた。

が、それでも他のバンドに比べたら鬼畜曲が多いのは確かなので、ぜひ聴いたことがない人はアルバムを手に取って、聴いてみてほしい。

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The Mirraz

ボーカルの畠山は一般的なボーカルと歌っている時の呼吸法が違うらしく、本人曰く「歌いながら息を吸うことができる」らしい。

なんだそれ、って思うけど、これは畠山の専売特許だ。

このような超人的な技を使うことができるため、他のバンドじゃ絶対に息切れするような恐ろしい歌と歌うことができるのである。

言葉数の多い、息継ぎのほとんどのない楽曲を、ライブでも崩すことなく披露することができるところに、このバンドの非凡さを伺うことができる。

人気という部分に関してはだいぶ陰りが出てしまったバンドであるが、このバンドのプレイはこのバンドでしか見ることができない。

息継ぎするタイミングのないボーカルが好きな人たちは、いつか機会があれば見てほしいなーと切に願うバンドの一つなのである。

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UNISON SQUARE GARDEN

ペンギンの堀江と、ユニゾンの田淵はボーカルを何度も殺人未遂に陥れる凶悪なソングライターとして有名である。

そのため、そのバンドに所属しているボーカルは凄まじい速度でレベルアップしていきがちだ。

ユニゾンの斎藤も、ギターボーカルとしての進化が本当に凄まじい。

ドラクエで言えば、毎回素手ではぐれメタルと戦わされて、死闘の戦闘を繰り広げ、レベルアップを繰り返している、みたいな話なのである。

身体は細いのに手だけは妙にいかついのは、そういう死に際の戦闘を何度も繰り返してきたからだ。

ちなみに、アニソン界隈では、田淵作曲、堀江編曲という世にも恐ろしいコンビで、曲を作ることがたまにある。

歌わされる人が可哀想である。

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RADWIMPS

「前前前世」をリリースする少し前、野田洋次郎はバンドに求める水準が高くなりすぎて、そのせいでバンド仲が悪くなった、ギターは辞める一歩手前までいった、というエピソードをどこかで聞いたことがある。

エピソードの真偽はともかく、RADの音楽はとにかく完成度が高い。

当然ながら、野田洋次郎が自分のボーカルに求める水準も高くしており、必要とあれば、息継ぎする部分を容赦なく取り除くこともよくある。

「おしゃかしゃま」はそういう代表曲である。

カラオケで歌えば、息継ぎをするところがなくて絶望すること間違いなしの一曲である。

ただ、野田洋次郎の場合、声質的に淡々と歌っているように聞こえがちなため、もしかしたら俺も歌えるかもと淡い期待をして、チャレンジした結果、惨敗していく人たちが無数にいるのである。

近年の歌でも難解なボーカル曲は多いし、スピード的には難しそうじゃない曲もトリッキーなメロディーラインなことが多いし、このバンドは本当に凄いよなあとつくづく思う。

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ヒトリエ

この記事の最後に紹介したいのはこのバンド。

元々、このバンドのフロントマンだったwowakaは
ボーカロイドというジャンルで活躍していたクリエイターだった。

そんなwowakaはボーカロイドというジャンル(道具)を活かして、人力では再現不可能なような高速化する楽曲を大量生産していった。

そして、ボカロの楽曲はどんどん人間的なものから離れていく。

が、wowakaはあるタイミングで、あろうことか、そんなボカロを人力で再現しようとした。

そこで生まれたバンドが、ヒトリエだった。

どうみても人間では歌えないような、息継ぎなんて一切無視した高速のメロディーラインも、wowakaの手にかかれば、ライブで再現されてしまった。

すごかった。

息継ぎが大変そうなのに、その大変さを感じさせないすごいバンドだった。

wowakaだからこそ作れる歌であり、wowakaだからこそ歌える歌が、そこにはあった。(もちろん、あの複雑なプレイを再現できるバンドメンバーがいるからなのは言うまでもないことなんだけど)

しかし、そのwowakaは今年の4月に亡くなってしまう。

そのこと自体はこの記事では深く掘り下げないけれど、wowakaがいたからこそのバンドは、突然の訃報により、その進退が注目されることになった。

どういう結論がくだされるのか、全てのファンが固唾を飲んで見守っていた。

そして。

ヒトリエは今年の9月から全国ツアーを始めることを発表した。

ボーカルは、ギターのシノダが務める。

僕はまだ新体制となったヒトリエのライブは見ていないから、どのようなパフォーマンスをするのかまだわからない。

だから、今のヒトリエが過去曲をどのように表現するのか、まだなんとも言えない。

少なくとも、wowakaがいた頃と同じヒトリエではないと思う。

いや、今回のツアーでも、wowakaはきっとステージのどこかで、そっとメンバーのことを見守っているとは思うのだ。

ただ、メインボーカルが変わってしまったことは事実だ。

それでも、言えることが一つある。

ヒトリエは過去のバンドじゃないよ、ということだ。

wowakaの死別によって、ヒトリエのことを「聴いてよけばよかった…」と思っている人がいたとしたら、言いたいのだ。

ヒトリエはこれからも動くし、進化していくバンドなんだよって。

色々とあって、ボーカルは変わることになった。

wowakaの立ち位置は変わってしまったし、wowakaが曲を作ることはもうなくなってしまった。

けれど、それでも活動を止めずに「四人のバンド」として、音を鳴らし続けることを選んだのだ。

確かにあの頃とまったく同じバンドではないかもしれないし、もしかしたら「ボーカルの息継ぎが大変そうなバンド」ではなくなるのかもしれない。

ボーカルが変わってバンドのカラーが変わったフジファブリックのように、もしかしたらそのバンドが持つ魅力は別のものになるかもしれない。

でも。

ヒトリエはカッコいいライブバンドだ。

それは変わらない。

だから、きっと、ライブを観た人を後悔させないライブをしてくれるのだと思うのだ。

ヒトリエにしかできない、カッコいいライブを魅せてくれるはずだって思うのだ。

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