椎名林檎と西野カナとヤマサキセイヤと藤原基央から考える良い歌詞について

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良い歌詞とは、一体何だろうか。

もちろん人によって価値観は違うし、数字で評価できるようなものでもない。

なので、こういう歌詞が良いのだ!という絶対的な基準はない。

けれども、自分はこういう歌詞が良い歌詞だと思う基準はある。

そこで、この記事では自分的にはどういう歌詞が良い歌詞なのか、そして、なぜそういう歌詞が良いと言えるのか、ということをかんがえてみたい

ただし、「良い歌詞」と一口にいっても、種類がある。

歌詞というのは、ひとつの基準で良さが図れるものではないのだ。

ひとつずつ考えてみよう。

本編

①表現方法が優れている

歌って、色んなことが題材にされるわけだが、ラブソングだったら「僕」が「君」をどれくらい好きなのかを歌うことが基本となる。

当然ながら好きという気持ちを伝えたいならば、「大好き」とか「愛してる」といった言葉で伝える方が簡単だ。

逆に言えば、好きという気持ちを伝える工程をわざわざ歌にするわけだから、直接的な言葉を使わずにその気持ちを伝えるのが歌だからこその面白さになる。

つまり、いかに「大好き」ということを「大好き」という言葉を用いずに、「大好きであること」を伝えるか。

これが重要になるわけだ。

例えば、スピッツの草野マサムネや、BUMP OF CHICKENの藤原基央は、こういう遠回しな表現が上手い。

彼らは応援ソングを歌うときだって「頑張れ」なんて野暮な言葉はあまり使わない。

下手をすると、前向きな言葉すらほとんど出てこないこともある。

なのに、その歌詞を聴くと勇気が湧いてくることがある。

そういう歌詞に触れると、自分は良い歌詞だなーと思う。

だって、「好き」ということを「好き」と伝えるだけなら、わざわざ歌詞にする必要なんてないのだから。

ただし、遠回しな表現=良い歌詞、というのもちょっと違う。

この話だけに留めてしまうと、どんな単語を使ってその気持表現するのかとか、どんな比喩表現を使って感情表現するのか、といった話に集約されてしまうかもしれないが、良い歌詞というのは他の尺度からも考えることができる。

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②歌詞のメッセージが鋭い

簡単に言えば、メッセージそのものの良さ、という話である。

日本の歌はあんまり風刺というものはないが、他の人では歌えないようなタブーに切り込んでいる歌詞は「良い歌詞」と言えるのではないか。

忌野清志郎なんて、その最たる例であろう。

また、共感するかはともかくとして、斉藤和義の「ずっと信じてたんだぜ」だって、強いメッセージをもった歌である。

キュウソネコカミの「ファントムバイブレーション」だって、ある種の社会性に富んだ風刺ソングと考えることもできる。

歌詞って表現方法ばかり目を向けがちだが、何を歌うのか、というところも重要だよなーと個人的には思うわけだ。

何を題材にするかも、良い歌詞かどうかを考えるうえで重要な要素となる。

どんなにありきたりな言葉で構成された歌詞だとしても、題材やテーマが面白ければ、良い歌詞となりえるだろうという話である。

③自分の役割を理解した歌詞

スピッツみたいな難解な歌詞が好きな人は、往々にして西野カナみたいな歌詞をバカにする。

会いたくって震えるってバカか、と。

でも、この歌詞はやっぱり西野カナにしか書けないと思うし、西野カナは聴き手からどんな歌詞を書いて欲しいと思われているか考え抜いているからこそ、あんな歌詞が書けるわけだ。

「トリセツ」なんて2015年に発表されたシングルの中でも、5本の指に入るくらいに良い歌詞だと個人的には思う。

それは表現が上手いからでも、メッセージが素敵だと思っているからでもなく、西野カナが自分の役割に自覚的で、すごく計算して言葉を紡いでいることがよくわかるから、だ。

簡単に言えば、頭を使って歌詞を書いていることがわかるから、「良い歌詞だ」と思うのだ。

その昔、アイドルたちはこぞって自分で歌詞を書く風潮があった。

自分で歌詞を書く方がアーティスティックであり、より作品は作品らしさを帯びるから。

そんなノリで作詞を専門家に任せず、自分で書く人間が多かった。

だけど、そのほとんどは凡庸だった。

それは自分がどういう役割を担ってるのか、聴き手が何を求めているのかもわからず、ありきたりな言葉でありきたりなテーマの歌詞を書いてしまったからである。

松任谷由実だったり、浜崎あゆみだったり、aikoだったり、椎名林檎だったり、自分の立ち位置が自覚的なアーティストの歌詞は、総じて面白みに溢れている。

自分はどんな「キャラ」で、どんな言葉を使えば、求められている自分のイメージを保った歌詞を書けるのか、すごく計算していることがわかる。

だから、彼女たちの歌詞は「良い」のである。

表現とメッセージ内容にだけスポットを当てがちな歌詞であるが、実は③の内容が一番大切なのかもしれない。

個性とは勝手にできるものではなく、戦略的である中で育まれるものでもあるからだ。

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