前説
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某芸人が某番組のツッコミのフレーズにて、「King Gnuの歌の歌い出しくらい繊細」という言葉を使ったらしい。
その言葉をみたとき、思ったのだ。
果たしてKing Gnuの歌の歌い出しは、それほどまでに繊細なのだろうか、と。
本編
おそらくこのツッコミは、この歌を指して作られた比喩だと思う。
確かに「白日」の歌い出しは異常に繊細である。
井口のボーカルの繊細で優しい部分が前面に出ているような歌い出しだ。
しかも、この歌に限ってはサビよりも歌い出しの方が印象の強い歌だと思う。
だからこそ、歌い出しに触れたツッコミが成立するんだろうなーと思うのだ。
そういう歌が世に出ることがすごいし、あの歌い出しだったからこそ幅広い人の心に刺さったのかなーなんて思うのだ。
でも。
つくづく思うのだ。
井口のボーカルって必ずしもそれだけじゃないよなーと。
つまりは、繊細なだけが井口のボーカルのウリじゃないよなーと。
そのことをなんとか証明したいと思い、「どろん」を聴いてみた。
この歌も「白日」と同様、イントロなしで速攻で歌が始まる。
さて、「白日」と比べてどのように感じるだろうか。
きっと、歌い出しのボーカルは繊細さよりも力強さを感じると思うのだ。
少なくとも、「白日」と比べたとき、そういう特徴ははっきりと見えてくると思う。
とはいえ、だ。
この歌の歌いだしが繊細さを感じないかと問われたら、そんなことはないと答える人が大半であろう。
力強さの中に繊細がある、というふうに言い換えられるかもしれない。
なんせ、かなり美しく響かせた高音が耳の中に流れ込んでくるのだ。
そして、この心地良さの原因を言葉にするならば、きっと「声が繊細だから」と答えてしまうと思うのだ。
むしろ、荒々しく歌っても井口の声は繊細さが消えない、という意味で、より＜King Gnuの歌の歌い出しは繊細＞であることを強めただけのような気さえしてくる。
むむむ。
じゃあ。
「どろん」や「白日」が収録されている、他のアルバムの曲はどうだろうか？
「Teenager Forever」もイントロなしで歌い出しから始まる歌である。
さあ、この歌ならきっと繊細さをあまり感じないはず・・・・
と思って何度もこの歌の冒頭をリピートするが、悔しいことに悔しいくらいに井口のボーカルから繊細さを感じさせる。
まあ、ミシン針の穴に糸を通す繊細さではないかもしれない。
あえて言葉にするならば、剥がれかけているかさぶたを丁寧に剥がしていくような、そんな感じの繊細さ。
強さもあるんだけど、その力の調節を丁寧にコントロールしている心地を感じさせるというか。
そういう類の繊細さを十全に感じるのである。
んだろうなーと？
自分で何を言っているのかわからなくなってきたけれど、要は繊細という言葉はまったく的を射てないと感じることはなかったということだ。
むしろ、ただただ井口のボーカルって繊細さだよなーと改めて実感することになってしまったのだった。
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King Gnuの歌い出しはやはり繊細なのか？
こう書いてしまうと、千鳥のノブは正確無二なツッコミである、さすがだ、という話になってしまう。
けれど、思うのだ。
King Gnuの歌い出しは繊細なだけじゃないんだぜ、と。
そう言いたくなってしまう自分もある。
King Gnuのボーカルは二人いるのだ。
個性の違う二人のボーカルが歌い分けることで、立体的に音楽を生み出している、そういう快楽があるのだ。
そうなのだ。
常田が歌い出しを担当すると、おおよそ曲の雰囲気ががらりと変わるのだ。
その代表として、上記の楽曲を挙げさせてもらった次第。
もちろん、常田も相当に繊細な歌い出しをすることができる。
そのことは、「壇上」なんかの曲を聴けば、わかるところではある。
が。
King Gnuの常田は基本、繊細になりすぎている空気を破ろうとする歌い方をすることが多い。
ガレージ感を出した歌い方をすることが多いように感じるのだ。
この感じが、たまらなくいいのだ。
繊細な声の井口がいて、そことは対称的な表現をする常田がいて。
繊細なところから荒々しいところまで、一組のバンドで丁寧に泳ぐことができるのが、King Gnuの強さだと思うから。
ヌーという動物が、川を渡っていくように、２つのボーカルが様々な表現を横断していくのである。
まとめ
でも、やっぱり「白日」を聴き直すと、井口の声って繊細だよなーと思う。
そして、繊細なだけじゃない強さや表現力もあるからこそ、よりたくさんの人に突き刺さるんだろうなーと思う。
そのことは、間違いないよなーと思う。
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