前説

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変態だと思った。

前々から「変わっているバンドだ」とは思っていた。

けれど、今回で決定的となった。

UNISON SQUARE GARDEN(以下、ユニゾン)は変態的なバンドだ。

この記事では、そんなユニゾンの変態性にスポットを当ててみたい。

本編

表題曲が変態的だ

ファンである人はシラフになって聴いてみてほしいが、どうみても「Phantom Joke」は実に変態的な歌だ。

特にドラムの打ち方。

普通のロックバンドは手拍子を打ちやすいように四拍子でビートを刻みがちだけど、この歌はそんなことを無視している。

途中で三拍子を打ち込んでくるし、リズム割りが実に変態的だ。

試しに手拍子をしてもらったらいいが、絶対にBメロの入りで、その手拍子は崩れる。

なぜなら、Bメロの途端にリズムの打ち方を変えて、そのBメロ内でさらにリズムの打ち方を変えるからだ。

そのありようが、はっきり言って変態的である。

で、ただでさえややこしいリズムを打っているんだけど、ユニゾンの場合、四拍子とか三拍子とか以前に、ドラムのリズム割が異様に細かい。

スネアドラムってそんなに細かく叩くもんじゃないぜ?ってツッコミたくなるほど、細かくスネアを叩く。

しかも一定のリズムじゃなくて、フレーズごとに細かくリズムの打ち方を変える。

変態的であることがよくわかる。

ちなみにユニゾンっていうほど、BPMは速くないことが多いんだけど、なぜか速く聞こえるという不思議なマジックがある。(というよりも、速すぎるから半分にして遅いテンポで合わせても数字が合うという言い方の方が正しいとは思うけれど)

これは、ドラムの鈴木が人力なクセに異様に細かくリズムを打ち、田淵が異様にアグレッシブなベースを披露するからだ。

だから、BPM以上に速く聞こえる。

しかも、手拍子とかモッシュみたいな、そういうわかりやすい身体性と紐付いたリズムじゃないから、他のバンドにはない独特な疾走感を感じるのだ。

ユニゾンならではの「ロック」を磨いた鋭いナンバー。

それが今回の表題曲なのである。

こんなかっこいい歌をリリースしたのに今やっているツアーがB面ツアー

で、何が変態ってこれである。

普通、新曲をリリースしたら、それを満を持して披露するじゃないですか?

でも、少なくとも現状は、ツアー中でありながら、その新曲を披露する素振りを一切みせない。

これを変態と言わずして、何を変態というのか。

年内いっぱいB面に光を当てたツアーを行う予定で、もし冬フェスに出ないとなると、年内では新曲をライブで聴くことができないという鬼畜仕様。

どう考えても、変態的である。

いや、「Phantom Joke」はまだ良い。

おそらく、来年のツアーではきっと披露してくれるから。

でも、「Phantom Joke」のカップリングはどうなる?

カップリングツアーのタイミングでリリースした歌だから、この歌はツアーで披露してくれるのだろうか?

もし披露しなかったら、じゃあこの歌はいつライブで披露されるのだろうか?

そんな微妙なタイミングの時に限って、カップリングにめっちゃ良い曲を収録する。

元々はアルバムに収録する予定だったとっておきのバラードを、シングルのB面にうっかり収録してしまうのだ。

変態的だ。勘弁してほしい。

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「ぼくたちのしっぱい」について

ユニゾンが変態的なのは、アルバムのバラードの枠を一枠と決めているところだ。

良いバラードが複数できたなら、どうぞ複数曲のバラードをアルバムに入れてくれよと思うのに、アルバムのバランスを大事にするがゆえに、そういうことはしてくれない。

常に「構想」を大事にしてきたユニゾン(というか、田淵)ならではの判断だよなーと思う。

本当に変態的だ。

さて、ユニゾンの歌ってサウンドがガチャガチャしているし、歌は早口だし、独特な単語の使い方をするから、歌詞カードを見るまでは何を言っているのかわからないことが多い。

んだけれど、「ぼくたちのしっぱい」はバラードということもあって、すーっと言葉が耳に入ってくる。

バラードに相応しい言葉が並んでいるし、グッと胸にくるフレーズが多い。

極めつけは、サビの最後のフレーズだ。

「愛していたい」って歌うのだ。

斎藤が。

愛していたい」ってなんだよ、絶対こういう言葉を歌わせたらファンが盛り上がることを計算に入れて、田淵、仕込んできたでしょ??

幸い、自分は斎藤ファンではないので、こういう言葉でクラっとはこないが、やられている人はそれなりにいると思う。

それをわかってやっているところに、ユニゾンの変態性を感じる。

ってなんでこの話を「ぼくたちのしっぱい」で書いているんだろう。間違えた。このフレーズは表題曲の話だ。

でも、この歌でも「愛」という単語がよく出てくるのは確信犯だと思っている。

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mouth to mouse (sent you)について

でも、今作で一番グッときた歌はこの歌かもしれない。

この歌について語る前に、下記リンクに飛んでみてほしい。

https://www.busstopmouse.com/music

リンクを飛ぶと、bus stop mouseというバンドの歌を聴くことができる。

実は、「mouth to mouse (sent you)」という歌はbus stop mouseに捧げられた歌なのだ。

そのため、「mouth to mouse (sent you)」を堪能するためには、bus stop mouseの歌を聞いてもらった方がワクワク度が倍増する。

実はこの二組、インディーズ時代にお互い切磋琢磨していたのである。

やがて、ユニゾンはメジャーに行き、bus stop mouseは社会人バンドとなって細々と活動を続け(休止なったりしていたのだが)、今年この二組が、長い年月の果てに競演することになる。

そういう物語があったからこそ、インディーズ時代に作られた、bus stop mouseのために歌われたこの歌が今回のシングルのカップリングとして収録されることになったわけで。

さて、今のユニゾンに比べたら、サウンドの図太さが見えるこの歌。

細かさがウリの今のユニゾンにおいては、良くも悪くもサッパリしている。

歌詞のテイストも、ユニゾンがまだ売れていなかった頃の、青くて泥臭い感情がどこか透けて見える。

舞洲で見た何万人が魅了されたあの景色を思い浮かべながら、この歌を聴くと、不思議とグッと来るものがあるし、そういう下積みがあったからこそ、田淵はあの日、あの時うるっとしたんだろうなーなんて勝手に想像してしまう。

話を曲に戻そう。

「mouth to mouse (sent you)」は、ユニゾンからbus stop mouseに捧げられた歌なわけだけど、bus stop mouseの歌にも、ユニゾンへの意識を感じさせる歌がある。

「music from the bus stop」という歌だ。

この歌は、今年行われたユニゾンとの対バンライブのラストで披露された歌だ。

歌詞には、わざわざ「ユニゾン」というワードが入れられている。

この歌も、お互いのバンドがインディーズの頃に作られた歌だ。

この2つの歌の関係性をここで書くのは野暮なので、細かなことは書かないけれど、男の友情を想像すると、不思議とウルっときてしまうからなんだか不思議である。

なにより、15周年という節目で、色んな展開をしてきた今年のユニゾンが、音源としてのシメで発表したのがこの歌というところに、なんだかグッとくる。

こういう昔のことも、なんだかんだで大事にするところがユニゾンらしさだよなーと思うのだ。

すましたことを言うくせに、作品とかにあの頃のロックの衝動を入れたりして「変わらなさ」を大事にするところが、ユニゾンの良さだよなーと思うのだ。

だってさ、これだけビックになってたら、昔に仲の良かったバンドと対バンなんてしないぜ?普通?

たまたま縁があったからやったみたいな言い方を田淵はしているのかもしれないけれど、きっとめっちゃ周りに要望したからこそお、実現したことだと思うのだ。

売れたとしても、そういうところを大事にするから、ユニゾンってかっこいいんだよなーと思う。

安易に時流になびかないで、己の信念を大事にするというか。

だってさ、色んなバンドが「脱バンド」「ポスト・ロック」へと舵を切っているなかで、このシングルである。

激しいギターと、躍動するベースと、生音のドラムというバンドの根本だけで魅了する作品をリリースして、若い子たちも含めて魅了しているんだぜ?

ロックバンドがきちんと「ロック」と向き合った曲でたくさんの人たちを魅了しているんだぜ?

ユニゾンって、かっこいいバンドだと思う。

まとめ

あれ?????

ユニゾンの変態性を話しているはずが、気がついたらいつの間にか別の話をしてしまっていた。

変態の話をしていたはずなのに・・・・。

まあ、硬派なロックサウンドと、バンドの変態性が見事な調和を見せた「Phantom Joke」は名盤だよ、ということが伝わればいい。

どうせ、このシングルたちが素晴らしいことは、みんな知っているだろうから。

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